店長と木島の悪巧み
<店長と木島の悪巧み>
木島「このままではまずいです!どんどん選手コースが盛り上がってきている・・・・・ついにあの、クレームの鬼だった大久保さんまで味方につけてしまった!これは何とかしないと・・・・・」
夜のスタッフルーム・・・・・暗がりの中、1つだけ照明を照らし街の街灯のような独特な雰囲気を作り出す。そんな灯りの少ないスタッフルームで、テーブルを挟み席に座り木島と店長が想像と違う方向に進んでいくその事態について話し合っていた。
店長「あいつには、それだけの力があるって事なのか・・・・競泳コーチとしての。」
晴人の力を認めてしまう、そんな表情を見せる店長。そんな店長を見た木島は、怒りを込めた歯軋りをすると、身体を震わせながら机のテーブルを強く叩いた。
木島「諦めてしまうんですか店長!あの2時間2コースを使えば、どれだけの営業が出来ると思っているんですか?選手コースがなくなるのが、このスポーツクラブの為なんです!」
邪魔な選手コース、もう一度その自分の思いを正すかのように木島が熱く語った。すると、表情を強張らせる店長が、両手をテーブルにつき、体重を支えながらゆっくりと立ち上がり遠くを見つめる。
店長「その通り!今の時代に、競泳なんていらないんだ!・・・・古いんだよ!!選手に熱いだけのコーチなんて古い!!!それでは、会社は成長できないんだ!!」
あまりにも熱がこもった店長の力強い立ち振る舞い。それを聞いた木島は、自分が怒られているわけでもないのに、思わず身体を激しくビクつかせてしまった。そんな木島が少し怯えながら店長に訪ねる。
木島「店長、何か・・・・手立てでもあるんですか?」
ゆっくりと木島を見下ろす店長・・・・・・
店長「やつもここまでは良くやってきたと思う。だが、あいつの快進撃もこれで終わりだ。本社から、辞令が降りたよ。」
木島「えっ・・・・・・?まさか・・・・首ですか?」
期待の表情を浮かべる木島に対して店長は、静かに首を横に振った。
店長「いやいや、さすがにそれはない。まぁ私たちにとっては、それに近い事だ。転勤だよ、水元の転勤が決まった。競泳のない、大人だけのスポーツクラブにな。」
ニヤッと笑った店長の表情の裏には、ただ転勤を喜ぶだけではない競泳に対する深い思いが隠されているようだった。




