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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
大人のクレーム
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翔太と大久保の衝突

<翔太と大久保の衝突>


翌日の練習。晴人はいつも通り6時30分になると、プールサイドに集まった選手達の前に立ち説明を始めようとした。すると、晴人の正面にたつ男子選手の拓也が、プールを指差しながら一言呟く。


拓也「水元コーチ。誰か泳いでいますよ・・・・・・」


6時30分までは、小学生のスクール生が泳ぐ時間。その時間が過ぎると、選手と大人の会員が泳ぐ時間になっている。小学生がまだ泳いでいるなんて事はないはず、いつも選手が使っているこのコースに大人の誰かが泳いでいるなんて事もないだろうと晴人がプールを見ると・・・・・そこに、昨日選手コースに文句を言ってきた大久保が我が物顔で泳いでいる姿が見えた。


翼「大人が泳ぐコースは、向こうの4コースですよね?」


いつもは大勢のフィットネス会員でごったがいしているプール。時間も早いこの時間は、残りの4コースもまだガラガラの状態だ。それでもその4コースを無視して、大久保は選手コースへの挑戦状のように、あえて選手がいつも使っている残りのコースを使って泳いでいた。


翔太「何だよあいつ・・・・・・昨日の大人だろ??関係ねーよ。アップ始めようぜ!」


翔太はそう言うと、そのフィットネス会員が泳ぐコースに飛び込み、その挑戦を買って出るようにいつもより激しい泳ぎでウォーミングアップを始めた。


晴人「おい!!翔太!ちょっと待て!!」


プールに飛び込み泳ぐ翔太には、そんな晴人の言葉はもう届かない。一直線に大久保に向かって泳ぎ進む。右側通行がプール利用のルール。それは、競泳の選手コースでも大人のフリーコースでも同じルールだった。それを無視するように、翔太はまっすぐ中央を泳ぎ一直線に進んでいった。


バン!!!


交差するクロールの手と手、それがすれ違う瞬間に激しくぶつかり合う。狙っていたかのような翔太の仕業だ。プールの中央で動きを止めた2人は、予想通りの言い争いを始めた。


大久保「いたっ・・・・・いたたた・・・・・」


大げさに腕を抱え込み、その事態をアピールする大久保。


大久保「なんだね君は?怪我でもしたらどーするんだ??」


大久保は翔太を睨み、腕をさすりながら言った。それに答える翔太は、まったく悪気もなく反省も感じない強気な態度。


翔太「俺達が泳ぐコースで、勝手に泳いでいるあんたが悪いんだろ!!!」


大久保はさする腕を払いのけると身体を翔太に近づけ、喧嘩前を思わせるような態度を示した。


大久保「何??俺達のコースだぁ??ここはみんなのプールなんだよ!!そのプールを君らに使わせてあげているのは、私達大人の会員だろ?」


冷静な大人らしさと、こんな若造になめられるかと言う強情な態度、それが入り混じった説得力ある強気で翔太に訴える。それにも動じない翔太は、若者らしい負けん気で食って掛かる。


翔太「何?俺達はあんたらと違って、本気で水泳やってるんだよ!!あんたらは向こうで楽しく、無理ない健康的な水泳をやっていればいいだろ!!?」


見下したようななめた言い草だ。その態度を見た大久保が更にエスカレートしていく。


大久保「なんだその態度は!!それが大人に対する態度か??プールを貸してもらっている立場を君達はわかっているのか!!?」


翔太「俺達が目指している水泳は!あんたらとは違うんだよ!!!」


明らかにお互いの言い分がぶつかり合っているその状況。伝えたい事がお互いに分かり合っていない。その状況の深刻さに居ても立ってもいられなくなった晴人は、服を着たままプールに飛び込み2人に駆け寄り割って入った。


晴人「落ち着いて下さい大久保さん!!翔太も落ち着け!!」

それでも睨みある2人の目と目。お互いに自分の言い分を譲らないその姿勢を見て、晴人は何も出来ず、首を機敏に横に振り、繰り返し2人の顔を見続けた。

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