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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
モンスターペアレント
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本当の理由

<本当の理由>


晴人「よし!明日の練習はオフ、休みだ。しっかり休んで、また来週からの練習に集中するように!!」


練習終わりの挨拶。それを終えると、疲労たっぷりの選手達が水泳道具を片し、帰り支度を始めた。みんなが更衣室に向かい始めるその時、道春がいなくなるのを見届けると、深刻な顔をした拓也が迷うようにゆっくり晴人に近づいてきた。


拓也「水元コーチ・・・・・・話があるんですけど・・・・・・」


拓也の思い悩んだその表情。それを見た晴人は、また別の新しいトラブルかと思い、恐怖心で怯えた顔を作った。


拓也「道春は、マザコンなんかじゃありません!!」


大きな問題を言われる事を身構えていた晴人は、拍子抜けのような安心感を笑顔で表現した。


晴人「なっ・・・・なんだよ拓也!別に俺は道春をマザコンだなんて疑ってないぞ!」


安直なあっさりした晴人の返答を聞くと、拓也は顔を更に深刻な表情へと変えた。


拓也「昨日あった道春のお母さんからのクレーム。みんな知ってますよ。」


それを聞き、すぐに晴人も真剣な顔に表情を切り替えた。


拓也「この問題、そんな簡単な理由が原因じゃないんです。」


拓也が言う簡単な理由、それは『道春のマザコン』。何かを知っているようなその態度を見て、晴人が釘いるように問い詰めた。


晴人「よかったら、話を聞かせてくれないか?」


拓也は、目線を下に落とし、言いづらそうな表情を作る。それでも、何とかその重たい口を開く。


拓也「道春の家、片親なんです。父親は道春が小学校の頃に事故で他界しています・・・・親一人子一人の家庭環境なんですよ。だから、道春は人が引いてしまうくらいの母親っ子なんです。お母さんも、必要以上に思えるほど道春の事を大切にしていて・・・・・・・・・でもそれって、2人しかいない家族なんだから当たり前のことなんじゃないですか?」


複雑な家庭環境、その環境下にあるからこそ表に出てしまう色濃すぎる家族愛。でも、そこまで苦労をしてきたのだから、そうなってしまうのは間違っていないのだと拓也は言いたいのだ。


その全てを話すと、拓也は目線をまた晴人に戻し、力強い涙目で訴えた。


拓也「水元コーチ!!何とかこの問題・・・・解決してやって下さい!!!」


晴人自身の為の問題解決。


最初は、間違ったトラブルに巻き込まれてそんな事のせいで会社まで辞めさせられるという被害者じみた気持ちが大きかった。それでも、実はそうではないのだと気づかされる拓也の言葉。


2人の家族の為の問題解決。


単純にマザコンだからとか、モンスターペアレントだからとか、そんな言葉で片付けてはいけない。拓也が伝えたその言葉からそんな深い意味が感じられた。


それを知った晴人の気持ちは、いつの間にか何かが切り替わった大きな変化を見せていた。

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