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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
はじめての大会
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1つのチーム

<1つのチーム>


翌日、選手の練習時間。不安そうな顔でスタッフルームからプールサイドにつながる階段を下りようとする晴人。そんな晴人の心中を察してか彩香が晴人に教えるように言う。


彩香「あの子達・・・・来てますよ。」


彩香が言うあの子達とは、もちろん女子選手達の事。練習に来ているのはいつもの事。晴人は女子選手達が来るかどうかより、どんな態度をとるのかが不安になっていたのだ。


晴人はプールサイドに降りると、男子選手達4人の前に立ち、気にかけている女子選手達をなるべく見ないようにしながらいつも通りの話を始めた。


晴人「よし!昨日はお疲れ様!!今日からまた練習が再スタートする!!気持ちを入れ変えて、頑張っていこうな!!」


いつもならそんな晴人を無視して泳ぎ始める女子選手達。それなのにこの日はなぜか、話をする晴人の方にゆっくり近づいてきた。


沙羅「コーチ!!」


いつもと変わらないきつい表情の沙羅。そんな沙羅の態度に、一瞬空気が凍りつく。

沙羅「・・・・・今日から、私達4人もお世話になります。」


女子4人「宜しくお願いします。」


あれだけコーチを信用しないと言い切り、自分達で何とかすると言っていた女子選手達が、4人揃って晴人に深く頭を下げた。全てを振り切って、プライドも捨てて・・・・そんな強い意志がその言葉と態度から感じられた。それは晴人にとっては嬉しくも感じるが、大きなプレッシャーにも感じられた。


何があってもベストタイムを出したい・・・・・・全国中学校に出場したい・・・・・・・それを叶える方法として選んだのが晴人に教わるという答え。そのプレッシャーを感じながらも、晴人は大きくうなずき気持ちを高ぶらせた。


晴人「よし!!今日からみんな1つのチームだ!!!!一緒に目指そう・・・・・インターハイと・・・・・全国中学校!!!!」


ばらばらでまとまりもなかった8人の選手達。その8人が1人のコーチと出会った事によって、ついに1つになる事ができた。彼らが目指すのは、インターハイと全国中学校。少しずつ1つ1つが改善され、目標に近付いていっているのが、誰の目からもわかった。


そんな選手コースのやり取りを、プールサイドが見えるのぞき窓から見下ろす一人の中年女性・・・・・その女性は、冷たく深い恨みが込められた目でプールを睨んでいる。手に握るコブシは、怒りがこめられて震えがとまらない。そして、歯ぎしりのように歯と歯を噛みしめると、そっぽを向くように後ろを振り返り、荒々しく歩き消えて行った。


その女性の行動は、これから起こる大きな問題の前兆をしっかりと表していた。



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