大会会場
<大会会場>
人通りが激しいとある駅。そこから徒歩数分と程近くにある大きな水泳場。50mのプールでコースも全部で10コース、観覧席も広く大きく数多くの国際大会も開かれている立派な水泳会場だ。そんなプールに色々なスポーツクラブの数多いコーチと、1000人を超す選手達が集まった。
選手が泳ぐプールを、上から見下ろせる大きな観覧席まで歩き進むと、笑顔たっぷりの晴人は伸びをしながら大きな声で叫んだ。
晴人「うわ~久しぶりだなぁ~水泳の大会会場!!」
自分が選手だった頃を思い出して・・・・そんな表情を見せる。その横で、休みの中付き添いでわざわざ来てくれた彩香も同じように懐かしい表情を見せた。
彩香「そうですね・・・・ほんと、思い出します。」
4人「水元コーチ!!」
そこに、教え子である4人の選手がやってきた。
晴人「おーみんなか!!今日はしっかり結果出していこうな!!」
これまでの練習に手ごたえを感じている晴人。その言葉には確かな自信がみなぎっていた。
晴人「体調は大丈夫か??」
翔太「はい!!もうバッチリです!!ただ・・・・・道春だけは、お母さんがいなくてホームシック気味ですけど・・・・・」
道春「ばっばか!!そんなわけないだろ!!」
道春の『マザコン』ネタを言いながら、みんなで笑いあう。そんな選手達の姿は、本当に自然体でリラックスをしている。どこか安心感まで漂わせていた。
ウォーミングアップ。レースまでの時間を使ってプールで簡単なアップをすることができる。その時間だけはコーチもプールサイドに行き、泳ぎを見たり、もちろんコーチとしての簡単なアドバイスをする事もできた。晴人もそこで、男子選手達4人に、レース前のアップ指導を始める。
松山「晴人!!」
その指導をしていると、遠くのほうで晴人を呼ぶ声がする。1000人を越す選手達とそのコーチがひしめき合う人ごみの中、少し探しながらその方向に目を向けると、そこには競泳コーチの師匠である松山が立っていた。
晴人「松山コーチ!!」
2人は横に並ぶと、プールでアップをする選手達を見ながらの簡単な会話を始めた。
晴人「松山コーチもいらしてたんですね!」
知らない人ばかりの大会会場。その雰囲気にのまれていた晴人は、なんだか身内に出会えたようで、嬉しい顔になっていた。
松山「ああ・・・・お前の所と同じように、うちの選手も大切な勝負の大会だからな・・・」
その勝負をする選手を顎で『こいつだ』と指す動きをしながらの松山の言葉。
晴人「彼女ですね・・・・・勝負するのは・・・・・」
松山「そうだ。日本選手権・・・・その標準タイムをもう少しで切れそうなんだよ・・・・・・」
晴人にとっては、聞きなれているその『日本選手権』という言葉。その出場タイムの厳しさを知っている晴人は、その言葉を聞いて気を張った表情へと変えた。
晴人「自分もこの何週間か、彼女の泳ぎと練習タイムを見させてもらいましたが・・・・可能性は十分だと思います。松山コーチ!期待しています!!」
そう言った晴人が目線を松山からその奥に変えると、そこに沙羅達4人が、ウォーミングアップの準備をしているのが見えた。それに気付いた晴人は、松山に軽い会釈で挨拶をすると、ゆっくりとその女子選手達のほうへと歩み寄っていった。
晴人「ついに来たな、大会当日。ベストが出せるように・・・・・頑張れよ。」
無理に関わりすぎないように・・・・・そんな事に気を使いながら、落ち着きを持って話しかけた。すると、リーダー的存在の沙羅がまたしてもきつい顔を見せる。
沙羅「私達のやり方でも、結果が出せる所を必ず見せますから。」
相変わらず気の強い沙羅。そんな捨て台詞のような挑戦的な言葉を残すと、すぐにプールに入り4人でウォーミングアップを始めた。




