試合を目指して
<試合を目指して>
女子選手達は練習を終えるとプールサイドに一列を作り、揃ってプールに向かって軽く一礼をする。それを終えるとすぐに水泳道具を片し、帰り支度を始めた。
彩香「あっみんなちょっと待って!!」
とめられる声に反応すると、振り向きながら沙羅が答える。
沙羅「なんですか??森下コーチ。」
それと同時に残りの女子選手達も沙羅のそばに集まり、彩香のほうに目を向ける。相変わらず冷たい表情の4人。
彩香は、そんな4人をプールサイドの隅に集めるとその内容を話し始めた。
彩香「みんな、このままずっと自分達で練習続けていくつもりなの??それで本当にいい結果が出るのかな?」
きつめなコーチらしい言い方と、女性同士の会話。そんなバランスのとれた話しやすい喋り方で話を進める。
沙羅「正直、自分達にも分かりません。だけど、もう自分達だけしか信じられないし・・・自分達でやらないといけない事だと思うから。」
維持を張っているようにも感じる意志の強いその答え。
彩香「でもそーやって、もう何回も大会でベストタイム出せていないよね?」
ずっと更新されていない泳ぎのベストタイム。それはもう数年にまで及んでいた。それを聞いて少しむっとした表情に変えると、沙羅がきつい言い方で言い切った。
沙羅「次の大会は違います!!絶対にベストを出しますから!!」
信憑性も核心もない、言葉だけの本意。強い気持ちをその言葉から確認すると、綾香は女子達を苛立たせないように優しく言葉を投げかけた。
彩香「男子も同じなの。もうずっとベストタイムを更新していない。来月の大会・・・・男子に負けず、女子も必ずベストタイムを出せる自信がある??」
それを聞くと、4人同時に強い表情でしっかりとうなずいた。
彩香「わかった。無理して水元コーチの練習をしなさいとは言わない。でももし、気持ちが少しでも変わったら、その気持ちを隠さずに正直に言って。いつでも水元コーチは受け入れてくれるから。そして、お互いに来月の大会でベストタイムが出せるように頑張りましょう!」
無理な事を言わず相手の気持ちも考えて・・・・・そんなうまい説明力で話をまとめる彩香。遠くでは男子選手達と一緒に単純な素直さで盛り上がる晴人の姿があった。
晴人「よし!来月の大会は、この調子でベストタイムを出すぞ!!」
笑顔で盛り上がる5人。
結果が全ての水泳。どれだけ選手の心を掴んでいても、その結果がタイムに出なければ選手達の信頼は勝ち取れない。男子選手達の練習が晴人の練習メニューに変わってから初めて迎える大切な大会。その運命を分ける大切な大会の日が刻一刻と近づいていった。




