大チャンス
そもそもわたしの前世の夢、というのが何か具体的に言うと、かわいい男の子になっていろんなイケメンとごにょごにょしちゃう、いわゆるビッチ受けになりたいというなかなかみだらな物である。
こんな野望を持った私が美少年に生まれ変わったということは、前世の面白味の無い可哀想なアラフォー女に神様がチャンスを与えてくれたんだろう。たぶん、いや絶対。
これを捨てるわけにはいかない。
そしてなんと幸いにも私は全寮制男子校という王道すぎる学校に通っているのだ。神様ありがとう!
まあとりあえず、記憶が戻る前の自分を振り返ってみるが、いたって普通…とはいかず、なにせこんだけ美少年なので相当可愛がられてきている。男に。
まあそこは問題ではない、むしろもっと可愛がられなきゃ意味がない。目的はその先のにゃんにゃんなのだから。
「ねえユキ、さっきから何ぶつぶつ言ってんの?遅刻するよ?」
そうそう私の現在の名前は逢沢ユキ…
「ってそうじゃなくて!!え?!遅刻!?」
「うん、俺もう出るよ?何回か呼んだのに全部シカトしちゃってもう知らないからね〜」
ひどい、こんな美少年置いてくなんて…
ってそうじゃなくて、いや、うん。
まあ遅刻はもう間に合わないだろうし、この学校そこらへんゆるいしまあいっか。
さっき私に話しかけてきたのは同室で幼馴染でもある、大西 槙。
たれ目でなみだぼくろのある色っぽい瞳に、薄い唇はおもわずキスしたくなる。髪はくるくるでなかなかの高身長。正直タイプすぎる。
しかし、槙はいちゃこらしたい対象としては見れない。だって幼馴染だし、同室だし、気まずくなると困る。本当に良い人だし、そもそもノンケのはずだ。
槙とはずっと仲良くいたいのだ。だから絶対一線は越えられない。