【もう出ねぇ! 五・七・五の! 在庫がねぇ!(終)】第21話 学祭バトルレボリューション 最終夜
「星野、外れたのか?」
「外れてなかった。少し痛めたみたいだから今少し休んでいるが、外れてたらもう没収試合だろうがよミスコン自体がよ」
「待てよ陣内」
「どうした」
「俺の記憶では英雄を気絶寸前まで追い込んだのは、深山みちるだけだ」
「マジか」
「もし星野が万全だとして、あのまま英雄にトドメを刺そうとすれば、もしかしたらだったぞ」
「そうなりゃ星野が地上最強か。ハハハ。……なんつうかな。こう、星野と英雄を比較してだ。HPと防御力が全然違うだろ」
「ああ」
「それに星野は女子だしな。だから少し星野はカワイソウに見えちまうんだが、英雄と星野は暴れすぎた。バチが当たってしかるべきとは思う」
「そうだな。英雄は順当。星野はちょっと不憫。そういうことにしておこう」
ハイジさんとマスカラスマンがだべり。
「陣内くん。ちょっといい? みんなもよく聞いて」
「アッハイ」
鬼畜お姉さんから呼び出し。
「泥仕合認定になったので次で最後ね。人気投票で終わり」
「あ、はい。無効試合と没収試合の2連続はそうなって仕方ないと思います。すみませんでした」
「なんで陣内くんが謝るのかしら?」
「いえ、一応謝りましょうかと思いました」
「大丈夫よ。陣内くんに減点は少ないから」
あることはあるのか……。
「ちなみに得点はこちら」
総合成績
1位 花屋敷 -24p
2位 リーベルト -22p
3位 雨宮 -21p
4位 水原 -17p
「うわぁ、花屋敷ドンマイ」
「なぜドンマイなのかしら?」
「え、あ、はい」
「今までは最終ラウンド取った人がそれまでを無視して最終的に勝利、のような勝負が続いたけれど、今年は得点は普通通りよ。1位が5点、2位が3点、3位が1点、4位が0点。何か言いたそうね陣内くん」
「えー、水原ドンマイってとこですかね。明星さんに文句は言ってないです!」
水原さん、ここで1位をとっても勝負をひっくり返せずひっそりと敗退。
「あとアレっすねー。人気投票で1位取れなかった奴が通算1位で学園アイドルになっても誰が認めるかっていうとこ考えると最後取ったら優勝って理にかなってたんだなーって思いました」
「思います」だとたてつくように聞こえちゃうからな。「思いました」で止めると表現がやわらかい。
「異論はねぇな?」
でもそういうこびへつらった口調の反動で横柄な態度でこっちに接しられちゃうと頭に来ちゃうなぁと思いました。
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
「最終決戦ー! さぁもう恨みっこナシのこまかいことナシだ! 意気込みを語れ」
実況の中野くん、なかなかいい見せ場なのにそんなにいいフレーズ用意してなかった模様。
「はい。王手です! 姉の無念は妹のわたしが晴らす! ヒーローショーはいつも、勝利で終わるモノなのです! 花屋敷、投票用紙には花屋敷!」
花屋敷バァ~ン!
「小細工は抜きです! 雨宮センセーションが去年なら、今年こそ勝って雨宮レボリューション! そして来年は雨宮キングダム! 実はわたしは! この中で一番の体育会系なのです。最後は熱くいきましょう! 友情・努力・勝利! さぁ星野さんも英雄先生も! せーの、雨宮レボリューション!」
星野は三角巾で腕を吊り、英雄先生はデコに冷えピタ。全員で掌を重ね上にドーンってあげる体育会系っぽいムーヴ。
「えぇー今年も大変でした。見てた人はわかるでしょうが今年も大変だったんですよ。しかし、どうですか。ミスコン4連覇したヤツがいた4年間に自分も同じ大学にいたってスゴクないですか? そういうことです。頑張ってくださぁい」
「一応、わたしも負けてしまいましたが、楽しかったです」
貫禄の良崎と一応の水原さん。
間。
「結果発表~。4位、水原さん。3票」
別に傷つかない御様子。
「3位、花屋敷さん。23票」
メガバシャーモが頭を抱える。しかし花屋敷は! 毅然! 悪態もつかないし落ち込みもしない。毅然と笑顔で客席にお辞儀。
「……」
「……」
リーベルト -22p
雨宮 -21p
「2位! 雨宮さん、26票」
天を仰いだ星野。桜井がピッチを去るサッカー選手のように高い打点で拍手。しかし相当に表情は険しい。まぁ桜井ほぼ何もしてないんだけどな!
「ということで1位は! リーベルトさん! 39票!」
「39だァ!?」
「39はナイな。何をしたリーベルト」
味方であるはずの小林氏とマスカラスマンが真っ先に疑う大差。
「何もしてないですよ! なんですかその言い方は! あなたたちはわたしが勝つために尽力してきたんでしょう! わたしたちは何度も感じましたよ、あなたたちセコンドの力を!」
まぁ確かに良崎がこんなに大差で勝つのはおかしい。だってアイツ、本当にセコンドのチョイスが優秀だっただけで顔以外はダメ人間じゃないか。……本当にそうか?
――「憑き物は落ちましたか?」「熱くなりすぎるんじゃありませんよ」
時には父へのコンプレックスで冷静さを欠いたチームの頭脳をたしなめ……
――「愛しているの! プロレスを!」「信じるか信じないかは、あなた次第!」
茶番小芝居とはいえ、ある程度の演技力を見せつけ……
――「おい次そのネタで星野イジメたら殺しますからね」「お前を助けてあげましょう」「偽陣内は、何も悪いことしていないんですよ!」
自分より弱いものを叩くだけの小悪党ではなく“慈悲”“思いやり”を節々に忍ばせ……。さらに『恋』ダンスの披露など、そういえばコイツにしては今回成長が観られ、人間が出来ていたのだ!!
さらに、主な得点源はまだ時間稼ぎの悪印象がない序盤に集中し、中盤以降アドバンテージをとっていないが地味に得点を重ねた。マイナス要素を最小限に抑えたのは水原さんだろうが、今回に限って言えば良崎もマイナス要素は少ない。
雨宮チームは、終盤に展開した雨宮革命までの星野の悪事が足を引っ張り、最後の最後で英雄がやらかしたし、それに結局打っただけで活きなかった桜井の彼女・サキちゃんの布石も悪印象! 花屋敷チームは序盤快調だったが、旗色悪くなり始めた中盤から取りこぼしや素のトーク力をはじめ、各スペックが低下。特にセコンドがそれぞれメガバシャーモは喋れない、黒子は顔を出せないため、チーム内の会話で魅せることが出来ずトーク力低下に拍車をかけた。そのつまらなくなってしまった時間帯に時間稼ぎの策に出たことで評価の低下は加速する。そのため! シンプルに顔面で勝り、トークでも好感度を落とさず、セコンドともかみ合った良崎が勝つのは、必然だった!
「また来年、勝利者インタビューで会いましょう」





