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【もう出ねぇ! 五・七・五の! 在庫がねぇ!】第17話 学祭バトルレボリューション その17

通算

リーベルトチーム-20pt

雨宮チーム-17pt

水原チーム-17pt

花屋敷チーム-14pt


「……。……!」


 バァ~ン! ドドド! 星野、会心のジョジョ立ち!


「全員射程距離内に入ったな。しかし! 花屋敷! 次もお前を血祭りだ! 次は、“野球拳”!」


 ドドドドドドドドド……

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


※野球拳を行った際の残機

リーベルト:下着、下着2、ジャージ(下)、ジャージ(上)、Tシャツ、王者のタスキ

→6回負けられる。

水原:下着、下着2、ジーンズ、ブラウス、上着、帽子

→6回負けられる

雨宮:下着、下着2、スカート、ブラウス、カーディガン、メガネ、マスカラスマンベリアル

→7回負けられる。

花屋敷:下着、下着2、ホットパンツ、Tシャツ、帽子

→5回しか負けられない。


 バァ~ン!!!


「ポケモンの主人公気取りめ! たった5回でお前は丸裸だ!」


 確かに花屋敷の服装はラフ。ゲームの主人公の初期設定並だ。スポーティな恰好は野球拳では残機が少ないという大打撃!!


「野球拳が嫌なら、もう一つある。“笑ったら即退学・お笑いのシカク”だ」


「なんなんですかお前は。負けたら裸か退学ですか? 死ぬ気ですか!? それにもう卒業した人もいるんですよ」


「じゃあ卒業したヤツは東京追放で。それに“野球拳”なら脱ぐのはわたしじゃなくて雨宮だしね?  Just US Japan so...Win-Win。超ウィン-ウィン。陣内とか脱がせたいんじゃあないのぉ~?」


 コイツ狂ってるな。


「もちろん、自由枠を立てても構わないよ。無粋だけどね。それに、花屋敷チームは、二軍のイケメン、メガバシャーモ、黒子で枠使い切ってるから自由枠ないし、リーベルトチームは円谷くん、水原さんチームは村上千穂。この二人を変えずに起用してるけど、ここで変える? わたしたちはここまで、そんなに結果出していない英雄をずっと使っているよ。先に引っ込めるのかなぁ~? 円谷くんは女の裸体なんて見飽きてるだろうからモチベーション上がんないかもしれないし変える理由にはなりうるけど、やっぱり父親に敵う息子はいないねぇ~」


 プッツ~ン。


「乗るな円谷!」


「うん?」


「いや、今プッツ~ンって」


「言ってないよ。そっちこそ気にしすぎだよ、何を勝手に人の家の事情を勘ぐってるのさ」


 なんだかんだでキレてるじゃないか。こんなにキレた円谷くん初めて見たぞ。


「ノリが悪いなぁ~。英雄、外れる?」


「あぁん!?」


「悪いね。みんな平等に賭けるってのに、みんながみんな、雨宮はいらん! って思ってるみたいだ。ここでカードを切る。自由枠を申請! 桜井の彼女、月島(ツキシマ)咲(サキ)を自由枠に! こっちなら乗ってくれるだろ!」


「本当にそれはやめてやれよ……」


 ※雨宮チームの自由枠が英雄から咲ちゃんに移ることで被害を受ける人

1位 雨宮さん→無価値と判断され恋敵に取って代わられる

2位 咲ちゃん自身→恋敵の身代わりで野球拳

3位 桜井→彼女がさらし者

4位 英雄→息子より先に戦力外


 パン。乾いた音の直後、星野が頬を抑えて目を見開いている。


「雨宮……」


 雨宮さんがキレた。雨宮さんが星野にビンタを食らわせた。


「星野さん、いい加減にしてください」


「雨宮……てめぇ、誰に向かってそんな口きいてやがる」


「やり方が観るに堪えません。こんな勝ち方しても、わたしは嬉しくない! これから先、勝ってもわたしは誇れない。ここからはわたしが仕切ります。桜井くん! 作戦板を」


 一喝! 星野が黙りこんで動かない。雨宮さんが星野に打ち勝ち、独り立ちしたのだ。なんだろう、目頭が熱くなる。あの子もやっぱり、“人間”だった! 何をされても何を命じられてもイヤイヤやっちゃうような着せ替え人形ではなかった! 桜井がいい感じのニヤニヤを浮かべ、雨宮さんに作戦板を渡す。


「細かすぎて伝わらないモノマネ、高校時代の雨宮」


 星野が勝手に行動を開始。人差し指と中指を立ててエアタバコを挟み、蓮っ葉な雰囲気に。


「あのオッサン前払いって言ったのにゴネて学校にチクるとか脅してきてマヂさぃぁく……。なんか手持無沙汰だし痴漢の冤罪で適当なリーマンの人生潰してやろぉっと☆」


「雨宮さん、これ以上殴らない方がいい。印象悪くなりすぎる」


 雨宮さんが獅子舞のようなリアクションの憤怒の表情で星野に迫る。桜井が制止するが……。


「これは殴ってもいい」


「ええ、わたしも殴っていいと思いますよ」


 先輩たちからは許可が出た。っていうか、可哀想だけど、雨宮さんはああいう子だから、いじめっ子とかに「――で金稼いで来い」とか言われたら泣く泣くやってしまいそうな危うさがある。ついさっきまでの雨宮さんならな! 今はもう違う。自己主張ができる。自分で判断できる! だがまだ弱いところがあるので俺たちが支えていかなきゃいけないのだ。


「星野、お前少し黙ってろ」


「なんだよなんだよ桜井まで。悪いことは全部わたしのせいか? ここまでの雨宮の全得点、わたしが獲ってきたようなもんだろ。いいときだけ利用して、首位が射程距離に入ったら使い捨てか?」


「お前は確かに頑張ったが、心証が悪すぎるし、今のモノマネは完全にダメだろ。ちょっと黙ってろ」


 そうだよな。桜井も桜井で、彼女が野球拳をさせられそうになったのだ。


「そうだ星野。俺を外すなんて判断をするようじゃあお前も相当疲れてると見える。しばらく黙ってろ」


「英雄先生、アンタはアンタで別口で反省材料あるだろ……。一人だけ50歳だよ?」


「グッ、年齢のことは言うな。メンタルのアンチエイジングを欠かしていないだけだ」


 心証は悪いがキレ味は落ちていない。キレ味はバツグンだが、雨宮さんと桜井に叱られた今、星野の刃渡りは2センチくらいしかない。もう急所中の急所に接近してピンポイントでしか使えないだろう。


「いいか星野。黙ってろ」


「……チッ」


 星野、本当に沈黙。腰に手を当て不満そうにため息。


「……」


 雨宮さんが桜井と作戦板を眺めているが、星野が不在のためお互い無言。そもそも仲いいのだろうか? 桜井の雨宮さんに対する気持ちが不明すぎる。


「おい、オジサンの意見はいらねぇか?」


「ここはわたしにやらせてくださいよ! やらしてくださいよ、やれますよ! 今日わたし何もやってないです! もういい加減許してください! わたしはなんなんですか! わたしが主役なんです!」


「本気かい? ええ?」


「本気です。やらしてくださいよ!」


「ならぶち破れよ! 遠慮するこたぁねぇよ、やれぇ、メガネ!」


 飛竜革命の今再び! まさに雨宮さん革命! しかも藤波辰爾と同じく、髪を切るという荒業さえも雨宮さんはやってのけている。藤波辰爾はハサミだったが雨宮さんは七星剣! だが気になるのは英雄が星野のことは星野と呼ぶのに雨宮さんは一貫してメガネ呼ばわり、そしてプロレスで被せてくるという小賢しさは、この雨宮革命さえも星野の釣り針ではないかと思わされる。


「では……次のラウンドは、“笑ったら即退学・お笑いのシカク”で行きましょう!」


 やっぱり星野は仕込んでいないな。星野の仕込みだったらもっと賢い。雨宮さん単体は意外とバカだった!


「“笑ったら即退学・お笑いのシカク”は、えー」


 雨宮さんがメモを読む。どうやら星野の作戦メモのようだ。


「一回も笑われたことのない、お笑いサークル所属の資格(シカク)すらないようなダメ芸人のネタで笑ったら即退学、既に卒業した人は東京都追放」


 退学よりデカいリスクはそうそうないというツッコミが一瞬でケシズミになる「東京都追放」! 水原さん、英雄、円谷くんのリスクがデカすぎる! ヤクルトスワローズファンのチホ・ムラカミィは、まぁ北海道に戻るだけだろ。神宮球場には野球観に来られなくなるが、交流戦で北海道に行くこともあるだろう。あと日本シリーズ。


「そんな最弱のお笑いの刺客(シカク)と対決してもらいます!」


「飛竜革命かと思ったら橋本真也みてぇなこと言い出したよ。おいおいおい、本当につまんねぇんだろうな?」


「メモによると本当につまらないとあります。笑ったら退学なぐらいですよ? 刺客となるのは、悪学部の学部生でお笑いサークル所属とあります」


 ハイジさんが雨宮さんを立てる構え。


「ああ、悪学部か。なら確かにそうだわ」


「ええ、確かに笑ったら退学するくらいのアレですよ」

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