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【もう出ねぇ! 五・七・五の! 在庫がねぇ!】第12話 学祭バトルレボリューション その12

 特設ステージからポケモンサークルが撤退。すると今度はハイジさん、桜井、円谷くん、そして花屋敷妹チームの黒子とメガバシャーモが上がっている。そして黒子がマイクを持ちアナウンス。


「天正遣欧少年使節とは、九州のキリシタン大名である大友、大村、有馬の名代として、ローマへ派遣された4人の少年を言う」


 ハイジさん、桜井、円谷くん、メガバシャーモがポージングから、ギターロックのイントロと同時にダンスを開始。


「僕たち天正遣欧少年使節~GO! GO! GO!」


「戦国生まれキリシタン育ち九州のバテレン大体友達」


 ラップパートは円谷くん。そして完走。


「俺たちの友情に亀裂が入る前にやりたかったんだよな」


 不揃いのダンスだったが、ハイジさんは満足げ。そうだろうな。あのコントのコピーは絶対楽しい。


「星野の介入がない俺たちの学祭をやりたかった」


 やっと桜井から星野への不満の声を聴けたよ。マジでよかった。少し俺たち先輩も救われた。あんまり悪い子のところへは、“せんぱい”が来て罰を下す、という大学民話があるからな。そろそろ桜井のところへも“せんぱい”が来そうだった。良崎か一年生の時は来たもんな、“せんぱい”。


「あんまり桜井を、誤解しないでやってくれ。みんなが抱くコイツへのヘイトは勝つためにやってたんだ。裏学祭ぐらい、コイツが単体で楽しんでもいいだろう」


 ハイジさんが桜井の肩を叩いてフォロー。桜井も気が抜けたようにはにかむ。


「ここに来てギャップ萌え、惚れてまうやろ……」


 良崎さんまでもヨロコビ組入りか? だが今の桜井の笑みはバキューン! だった。ロボットが笑ったような笑顔だ。


「ここで桜井の好感度を上げちまうと多分星野にとって都合が悪いんだろうがよぉ、いいじゃあねぇか。桜井は桜井、星野は星野! な?」


「今だけは単品の桜井です」


 円谷くんがキラキラの笑顔で桜井の肩に手を乗せる。


「違うだろう桜井くん。今は天正遣欧少年使節の桜井、だろう?」


 腕組みをしたメガバシャーモもコクっと頷く。


「……シャモッ」


「やめろよぉ~。俺さっきメガバシャーモにラス1落とされてんだから!」


 え、なんだ桜井のあのテンション。あいつ、星野がいなけりゃあんな顔をしていたのか。


「……」


「……」


「……」


 そんな砕けた表情の桜井を見ている三人娘! “本妻”サキちゃん! “幼馴染”雨宮さん! “相方”星野! 「桜井くんのああいう顔がもっと見たい」そんな風に思っていたら、雨宮さん&サキちゃんは星野をハブろう。勝負はそれからだ。そしてその3人に忍び寄る雨宮さん&サキちゃん強奪の魔の手、新たに桜井に目がハートはポケサーの姫四天王カナエ、姫を取り戻したいポケサーと、いよいよ桜井が学祭の主役になってきてしまった。


「次何歌う?」


「パーフェクト『青春アミーゴ』やれよ、円谷くんと桜井でよぉ」


「それいいね」


「おう、今はそうやっとけよ。明日っから亀裂ビシビシ入れてくからな。明日のミスコン、一番手のルール決めんの俺だから。もうプルトニウムの分裂ぐれぇやべぇ亀裂を入れてくからな~」


 ハイジさんメチャ楽しそう。道理で俺たちと学祭巡ってくれないわけだ。円谷くんと桜井とメガバシャーモのカルテットが楽しすぎるもの!


「んお? おぉいおいおい差し入れですよ~。農学部オリジナル日本酒“銀河鉄道”! 学祭はコイツだぁ。うん、今年の“銀河鉄道”もいい出来だ」


「シャモッ……シャモッ!!」


 上機嫌で酒を飲むハイジさんにメガバシャーモが何かバシャーモ語で訴えている。


「シャーモッ!」


「飲みたいんじゃないんですかね?」


「シャ!」


 桜井の助け舟にビシィッと指さすメガバシャーモ。


「酒飲もうとしてんじゃあねぇよポケモンがよぉ!」


 酩酊しちゃったハイジさんがメガバシャーモにグーパン。


「お酒飲むのはいいよ。でもみんな観てるとこで覆面外すのはダメじゃない?」


「覆面じゃねぇよ。これはメガバシャーモの素顔だろ?」


 メガバシャーモがクチバシの先に触れるとパコッとクチバシが上下に開く。そしてストローをくわえる。


「シャモッ」


「アッハッハッハ! 負けたよ飲めよ。引火すんなよ~」


 ハイジさんのテンションも異常だ。そんなに楽しいか、あのカルテット。円谷くんと桜井なんて最近いつでもいるだろ。そんなにメガバシャーモが楽しいメンツか? ……もしかして、ハイジさんがあんなに楽しいのは、俺たちと一緒にいないから……? それはしょうがないしょうがない。だってあの人もう30近いんだから年齢的な違いはあるよ。


「アッハッハッハ!」


「ハハハハハ!」


 女子会というものがあるように、男子会も盛り上がるんだな。桜井も円谷くんもメチャクチャ笑っている。


「もっと酒と食い物を持てぃ!」


「京都弁の女の子を連れてくるんだ!」


「これを観ているであろう父さん! そしてみちるちゃん! ボクは、今日は帰らない」


「シャモッ!」


 アハハ。


「シャモッ」


 メガバシャーモが隅で正座していた黒子に飲み終わったグレープフルーツジュースの紙パックを見せ、パッケージをなぞる。


「お買い求めになった商品が、どこの工場で作られたかがわかるようになっています!」


 超滑舌&美声。


「コイツなんでもこのクオリティでできるの?」


「まぁ大体」


「しゃべんじゃねぇよてめぇポケモンだろぉうが!」


 グーパン。マスカラスマンと良崎がカミナリに撃たれたような顔をして硬直してしまった!


「俺たちの……」


「ええ、わたしのたちのですよアレ」


「……飲みなおそうリーベルト」


「ええ。酒がまずくならぁ!」


「飲んでる酒がまずくならぁ!」


 はい亀裂入ったー。


「そんで聞きたいんだが桜井」


「はい」


「さっきのライコウ起用ってアレなんなの?」


「いやー普通に雨宮さんに借りたライコウです」


「来いメガバシャーモ、一発入れようぜ。も一発『膝』だ」


 膝芸人の座すら奪われたマスカラスマン。


「待ってください待ってください! アレです」


「なんだ、どうした」


「四天王戦で選出しませんでしたけど、俺が今日使ってたファイアローは星野から借りたやつです」


「バシャーモ! 『膝』だ! ……一応聞くか。サキちゃんからは何借りた」


「サキちゃんはポケモンやらないんで何も借りてないです。モンハンは一緒にしますけど」


「バシャーモ! 狩技使おうぜ!」


 桜井が困ったように円谷くんに目配せ。


「おっと目があったね。じゃあ勝負だ!」


 3DSをパカッとオープン。


「……仕方ない。勝負だ円谷くん!」


エイジ

・ゴウカザル

・ボルトロス

・ボーマンダ

・ジバコイル

・ゲンガー

・ポリゴン2


りょう

・ゲッコウガ

・ガブリアス

・ライコウ

・カプ・コケコ

・テッカグヤ

・フシギバナ


「雨宮から借りたライコウ使うんなら星野から借りたファイアローも使えよぉ!」


「負けらんないんですよ、この勝負だけは」


「だからこそ星野をこの試合で蔑ろにすんな」




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




「じゃあ二日目ってことで、“ギブアップチキンレース”な。カモン変態デンテスト」


「ディムイィィィット!!!」


 良崎さん地団駄。良崎は3年連続、雨宮は2年連続、水原さんは被害は受けていないがずっと観てきたし、花屋敷妹も姉から聞いたであろう存在、変態デンテスト。その正体は歯学部の漆原治虫くんなのは男子だけが知っている秘密だ。


「おはようデンテスト」


「グッモーニン」


「んじゃ任せたわ。ほら、鬼畜が出勤する前に」


「イエッサー」


「一応ルール説明をすると、コース内で一番多くギブ宣言をした人の負けです。頑張れ」


 ハイジさん寝てない。夜通し桜井、円谷くん、メガバシャーモ、黒子と飲んでたため進行がメチャクチャだ。そして、「友情に亀裂が入る」と言った通り、桜井と円谷くんが呼ばれていない。昨年桜井はデンテストに対し否定的な態度をとり雨宮さんを守ろうとした実績? がある。これは一服盛られたかぁ?


「グッモーニンエブリワン。朝は歯磨きからです。オープンザアイドルマウス」


「ジ、じゃないのか?」


「はいそこうるさい。加齢臭がするので帰って寝なさい」


 変態の土俵では英雄さんすら一蹴!


「診察ですよ~。血圧計りましょうか」


「ギブアップ」


「ギブアップ」


 良崎-1ギブ

 雨宮-1ギブ


「ンフフ。上がってきてますねぇ花屋敷さん! 僕のですが!」


 デンテスト、自らの手首で脈をとりつつテンションを上げる。こらえる花屋敷妹! ギリギリと歯を食いしばっているが、口角が下がりすぎて歯が見えてしまった。


「今日もキラッキラですね」


「ザキ!」


 花屋敷-1ザキ


「ザキ?」


「死ねってことか?」


「僕に死ねってことですか?」


 問い直すデンテスト。


「ザキ」


 死ねってことのようだ。


「これは一本取られたなぁ! これはギブじゃないからいくらでも言えますよ陣内さん!」


「構わん。続けろデンテスト!」


「ザラキ!」


 複数で死ねって言われてる。花屋敷の背後に回り、肩越しにヌゥと花屋敷の視界に入るデンテストの闇の仕草。


「キャアアアアギブ!」


 花屋敷-1ギブ


「交通事故! 心臓麻痺!」


 アイツデスノートでも持ってんの? デスノートでも40秒は耐えなきゃいけないぞ! 


「次から死ね相当もギブとみなす」


「ギブ」


 良崎-2ギブ


「ギブですよこんなもん!」


 良崎-3ギブ


「わたしの負けでいいですから終わりなさい! ギブですよ!」


 良崎-4ギブ


「構わん、続けろデンテスト!」


「チクりますよ!」


「チクるだぁ~? 誰にだ。鬼畜にか? どこにいるってんだ鬼畜がァ。呼んでみろ。呼んでみろよ鬼畜をぉ。どうしたデンテスト? キレがないぞ」


「さぁせん、ちょっと疲れが……水原さんは……。水原さんいいや。あの人何やっても許してくれるから後でじっくりやりますわ」


「おい待てコラ。話が違うだろうが。水原はノータッチだろ?」


 一番キョトンとしているのは水原さんだ!


「ちょっと話を聞いていないです」


「インチキだ!」


 星野怒髪天!


「陣内さん、どういうことですか?」


「ん?」


「これはダメですよ。ギブアップです。ギブギブギブ」


 水原さん-4ギブ


「まだ足りないですね。ギブギブギブギブ」


 水原さん-8ギブ


「こんなインチキはダメです。ギブ」


 水原さん-9ギブ


「……。ギブ」


 水原さん-10ギブ


「はじめて見た。水原さんが怒ったぞ!」


 マスカラスマン戦慄!


「ええ、怒ってます。ギブ!」


 水原さん-11ギブ


「作戦でズルいことするのはしょうがないですけど本当のインチキはダメです。ギブギブギブギブギブ」


 水原さん-16ギブ


「まだ足りないですか? わたしが負けるにはまだ足りないですか? ギブ」


 水原さん-17ギブ


「水原さん怒らせたらマジで終わりですよ陣内さん」


「怒りよりも悲しみが勝ってきたわアンナちゃん。これは、ナイわ」


 陣内-1ナイ


 水原さんからの1ナイ! 重い。カナダの木こりグレゴリー家の家長ジョセフの斧の一撃より重い!


「あぁ、あぁーあ、あああああ!!!!」


 「陣内さんを許してあげてください」。その一言が今回は絶対にない。ハイジさん最大の後ろ盾がなくなり、罪に耐えきれず自我が崩壊してしまった! 断末魔三段活用!


「残念です。陣内さん、残念です」


 陣内-1ナイ、2ザンネン


「うぅごめんなさぁい……終わりでーす……」


 浄化! 試合終了!


「しょうがねぇよ陣内さん。俺たちにはまだ来年がある」


 キレがなかった上に口を滑らせたデンテストが地に伏せたハイジさんの肩を叩く。


「来年が、あるッ! まだリーベルトもいるッ!」


「うっせぇ黙れ消えろ」


 ……。


「許してあげます」


「水原」


「みんな、このことは、鬼畜お姉さんにも桜井くんにも円谷くんにも言わない。何もなかった。そういうことで、手を打ってくれませんか?」


 どこまでもッ……これでまだ許そうとするってもうバカだろう水原さん……ッ。だが! 嫌いじゃあねぇぜその優しさ!


「水原さんが言わなきゃわたしは許してませんでしたからね」


「もう二度としないでください。桜井くんを出し抜くようなマネも!」


 なんてこった! 先輩譲りだぜ、バカ優しいのはよ! へへっ。そしてもう星野もあんまり卑怯すぎる手が打てなくなった。やっぱり水原さんって必要だったな。


「バギクロス!」


 花屋敷だけは許してないようだ。


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