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【もう出ねぇ! 五・七・五の! 在庫がねぇ!】第10話 学祭バトルレボリューション その10

「エキシビジョンマッチ第2試合!」


 コォォオーンと鹿威しのような音の後、オーロラビジョンにリーマン仕様の短髪に勝負服の緋色の着物の破天荒侍が暗い場所でインタビューを受けている映像が。


「ありがたいことに在学中は5回も裏学祭本戦に出場させてもらいました。5年目は留年ですけど、悲願の優勝も果たすことが出来ました」


 ドキュメンタリー番組風に、2年前の、まだ長髪だった頃の破天荒侍が、裏学祭で刀を振りぬいて勝利を決めた瞬間にパネルが映る。


「しかし、あの勝利が……。誇らしかった。どんどん誇らしくなっていく反面、マグレだったのではないかという疑問が確信に変わりつつあるのでござる」


 2年前の裏学祭ロイヤルランブル。最後まで残っていたのは、破天荒侍と深山みちるだった。激戦の上に破天荒侍は深山みちるを場外に落とし、優勝をつかみ取ったが、その後の成績、戦歴を観れば、どちらが強いかという問いでの答えは異口同音。「深山みちる」である。実際、裏学祭で深山みちるから勝利した破天荒侍は、その2か月後のタッグトーナメントで4秒という史上最速記録でKOされている。


「昨年のエキシビジョンマッチは……。円谷英雄殿は、手を抜いていた。いや、手を抜いていたのではない。観客の為に、試合を盛り上げるために苦戦をする振りをしていた。その後も強くなった手ごたえは感じたが、それでも、英雄殿、深山殿の激戦を見せつけられ、花咲憐殿、鹿井響子殿の力を見て、もう一度、大学最強を臆せず名乗れるようになりたい。大学最強を恥じない箔として戦えるようになりたいのでござる」


 ――戦いたい相手とは?


「深山みちる」


 ドッワァー!!!!


「深山みちる殿に挑戦し、あの時の勝利はマグレでも、今度の拙者はマグレじゃないと証明したい」


 場内暗転。そしてバッとスポットライトに照らされ、闘技場に佇むリーマン仕様の短髪に緋色の破天荒侍。


「まだ叫ぶな、喉が持たなくなるぞ」


 バシバシバシッと三方向から花道がライトアップ。いっちょやる前のルーティンである脱力と瞑想を終えた深山みちるが真剣な顔で闘技場へ。


“スペシャルエキシビジョンマッチ 破天荒侍vs深山みちる 完全決着デスマッチ”

・時間無制限1本勝負

・反則裁定ナシ

・場外ナシ


「これがあるから深山みちるは本戦出場がなかったのか」


「それだけ、破天荒侍を買ってるってことですよ」




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




 破天荒侍 男 25歳

 素早く軽快な身のこなしで駆け回り、すれ違いざまに相手を斬り付ける破天荒な剣をふるう野生の剣術家。小柄ながらもパワーもあり、防御されようとフルパワーの攻撃を当てれば深山みちるを場外まで吹っ飛ばす馬鹿力もある。メンタルが強靭とかそういうレベルを超えており、致命傷を受けても心の力で持ちこたえる、特殊スキル『ド根性』の持ち主であり、自分のペースを崩されることはない。円谷英雄との試合で「挑戦者の魂」「王者の魂」を知り、ネオ破天荒侍に覚醒。さらに深山みちるから神速域の足さばきを教わり、スピードにさらに磨きをかけた。前進する最高速度では深山みちるには敵わないが、それに対する後退するスピードに境地を見出し、高速バック走という唯一無二の特技を持つ。在学時よりも明らかにパワーアップしている。


 深山みちる 女 26歳

 円谷英雄と同じく“最強”の称号を持つ一人。最強の身体能力・反射神経に加え、それらを強化する超能力『ウォーターワールド』を持ち、ケタ外れの速度・跳躍力・耐久力でありとあらゆる格闘技とアクロバットを駆使し敵を翻弄する。超速攻からのヒット&アウェイの蹴り技が得意だが、いざとなったらバチバチとした近距離での殴り合いもできるオールラウンダー。人智を超えた速度は神速と呼ばれ、速度そのものでは破天荒侍や鹿井響子も神速に足を踏み入れてはいるが、神速域でも精密に技や足さばきをコントロールできるのは深山みちるのみである! 30秒間息を吸えないという限定(リスク)つきで『ウォーターワールド』がさらに強化される『グランブルー』を発動することが可能だが、フルパワーで使用すると反動で自滅してしまうことがある。文学部地下闘技場の公式戦では8勝2敗、タッグトーナメントでは優勝以外していないというとびっきりの最強中の最強である!


 スタート地点に立ち、破天荒侍と向き合った深山みちるは両足とつま先と踵を軽く打ち付け、金属音を鳴らす。靴底に金属板を仕込み、破天荒侍の刃を靴底で受けるようだ。今のはその情報の同期。破天荒侍が愛刀<豊洲>を抜くと、深山みちるもノーガードダラリ戦法からやや力む独特の構えに。


「武器と超能力の使用を認める。ファイッ」


 ダッと深山みちるがスタートダッシュ! 急加速で神速に乗るが、破天荒侍は初手バック走! 深山みちるの速度が少し相殺され、破天荒侍が後出しが可能に!


「せいっ!」


 破天荒侍が切り払うが、深山みちるはフロントハイキックでタイミングを合わせ、靴底で攻撃を受ける。だが、足一本で自重を支えている深山みちると、両足が地についている破天荒侍ではダンチで破天荒侍有利! 二の矢三の矢と次々に斬撃を繰り出す。深山みちるは防戦一方! 斬撃を逸らして地面に伏せ、攻めづらい場所から超低空スピアタックル! 破天荒侍をなぎ倒すが、位置が低すぎてマウントポジションが取れない。立ち上がったのは深山みちるが先! サッカーボールキックを狙うが、一度スピア→サッカーボールキックでKOされたことのある破天荒侍はゴロゴロ転がってサッカーボールキックを回避。追撃でストンピングが来るが、それもゴロゴロ回避! だが距離を詰めればサッカーボールキック、距離が離れればストンピングの牽制でなかなか立ち上がることが出来ない。意外と破天荒侍が生存しちゃってるため、深山みちるが膠着を嫌い攻撃を中断。バックステップし、構えを取り直す。そして破天荒侍が立ち上がった瞬間に神速速攻を仕掛け、跳び膝蹴りを放つが破天荒侍は前方にハリウッドダイブ! 深山みちるが破天荒侍の頭上を通り越し、跳び膝蹴りを地面に誤爆! 妙な形でファーストダメージが入った。しかし深山みちるは体制は崩れたまま即座に背後にいる破天荒侍を確認。意外な形の好機でカタが雑な技を繰り出す破天荒侍の刀を目掛けて……


「んッ!」


 『グランブルー』発動! 蹴りのモーションのみを超強化し、カウンターで破天荒侍の刀を蹴り飛ばす! 放物線を描いて破天荒侍の後方へ飛んでいく<豊洲>! 破天荒侍、深山みちる両者が刀に猛ダッシュするが、破天荒侍が先に刀を奪取。間に合わないと感じた深山みちるは刀強奪を諦め、逆に加速して破天荒侍を抜き去って距離をとり、腰からナイフを抜いて逆手に持つ。


「蹴りと刀ではリーチと相性が悪すぎましたね。蹴りで斬撃を防ぎながら蹴りはできないです。破天荒侍、まだまだやれるじゃん!」


 深山みちるに「追いつける」という初めての状況、深山みちるにとっては神速が全く通用しない初めての状況。一旦慎重になる。深山みちるにとっては、技のパターンはバレてても防げない速度、ということが大きな強みだったがそれが通用しない。


「せいっ」


 破天荒侍が先手を打つが、深山みちるが堅実にナイフで防御。英雄戦では全くお話にならなかった深山みちるのナイフの技術も多少は向上しているようだ。破天荒侍が英雄よりもすっげぇ弱い説はこの際無視だァ……。


「せいっ!」


 カキーンと深山みちるのナイフが破天荒侍の二撃目で飛ぶ。すっごい弱い説は立証されませんでした!


「? !」


 深山みちるのボディブローが思いっきり破天荒侍に入ったァー! 破天荒侍の息が詰まる! ナイフを弾いたことで破天荒侍の気持ちに隙が生じたのだろうか。


「くっ」


 破天荒侍が刀を戻す手を掴んで妨害し、今度は顔面に一発! もう刀の間合いでも蹴りの間合いでもない。もっと短い拳のリーチ! 腕をねじり上げて背中にも一撃、下を向けばアッパーと、ボディ、顔面と隙が出る度にパンチの速射砲! 破天荒侍が刀を手放し、ガードを上げればそれを払ってもう片手でブロー、もはや防御が通用しない。


「ん!」


 そして『グランブルー』足払いで体勢を崩し、渾身の後ろ蹴り! 破天荒侍がワイヤーアクションのように吹っ飛ばされ、仰向けに倒れるが、深山みちるも『グランブルー』連発で息が上がり、追撃に行けない。


「どうした」


 額がパックリと割れた破天荒侍が刀の代わりに鞘を構える。深山みちるもらしくなく眉間に皺をよせ、呼吸を整えながら破天荒侍を睨みつけている。以前の破天荒侍なら倒せていたのだろう。しかし、今の破天荒侍は倒せない! しかも英雄情報では今、深山みちるは絶対的フィニッシャー『地獄の断頭台』そして『神威の断頭台』を欠いている。


「どうした。刀を手放させただけで勝ったつもりか!」


 深山みちるが破天荒侍に刀を返却。互いに距離をとり、仕切り直しに。しかし深山みちるが構えない。


「決め手がない。ハァ?」


「かめはめ波!?」


 深山みちるが少年なら誰もが通る道、両手を前に突き出すかめはめ波の構え。そしてそれを右わき腹に持っていき、気? をチャージ。


「それが深山殿の技か?」


「これはその一部です。実を言うと、わたしは今、必殺技として頼ってきた『断頭台』シリーズが使えません。というか今後の為にもう使いません。そしてこれから出すのが、ポスト『断頭台』の筆頭『画竜点睛』」


「夫婦は似る、ということか。円谷殿に影響されているな」


「そんなつもりはありませんが、相手が油断してくれるならそれに越したことはないです」


「そうであったな。油断などしていい相手ならわざわざマッチを組んでもらうこともなかった。済まなかった」


 破天荒侍が一旦納刀、柄に手をかざし、前傾姿勢で必殺技の構え。対しても、深山みちるはかめはめ波!


「いざ尋常に!」


 破天荒侍が駆けだしたと同時に! 深山みちるがかめはめ波の構えの手を再び突き出し、パァンと叩き合わせて大音量をブチかます!


「××××××××!」


 あまりの音量に聴力が一時的に失われてしまったが、ハイジさんが口の動きで「俺のスーパー猫騙しだ!」と言っている。そしてそのスーパー猫騙しを至近距離で食らった破天荒侍が目を回す! それを見逃す深山みちるではない。ハイジャンプで破天荒侍の肩に飛び乗り、再びハイジャンプ! そして、破天荒侍の脳天に隕石のようなダイビングフットスタンプ! 破天荒侍の全身が雷に打たれたように痺れて脱力し、深山みちるが助走をつけてレッグラリアート! 破天荒侍の喉に入り、膝から崩れるが、破天荒侍、まだ持ちこたえる!


「何が画竜点睛だ……笑わせるな! 『断頭台』はもう使わないだと? さぁやってみろ、画竜点睛を!」


「……違うもん」


「何を!?」


「決まらったのは画竜点睛じゃないもん」


 深山みちるが駄々っ子のような理論の後、火の出るようなローキック。まともに防御できない破天荒侍の足を崩し、頭に手をかけ地面に叩きつけるスラムダンク! そして破天荒侍に狙いを定めて大跳躍!


「なんだ、結局『断頭台』!?」


「破天荒侍逃げてー!」


 メゴッ!


「『地獄の断頭台』二枚刃!」


 深山みちるが放ったのは、通常の『地獄の断頭台』じゃなく両膝をそろえて放つ『断頭台』二枚刃! 破天荒侍がついにダウン!


「簡単なことだった。片膝で放つから股関節に負担がかかるという問題! 両膝を揃えて撃てば問題なかった!」


 深山みちる:必殺技『地獄(神威)の断頭台』→『画竜点睛』


「でも、深山みちる、途中まではマジでエリアルジャンプからのダイビングフットスタンプを『画竜点睛』にするつもりでしたよね」


「深山みちるの必殺技候補を、聴力と平衡感覚を潰された状態で一つこらえ切る、そうそうできるもんじゃないぞ」


「破天荒侍、前より強くなっているのはわかるんですが、こう言っちゃなんですが深山みちる、このあとロイヤルランブル本戦出ても問題ないですよね」


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