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【もう出ねぇ! 五・七・五の! 在庫がねぇ!】第1話 学祭バトルレボリューション その1

「学祭の季節が来るな」


「学祭ですねぇ」


「学祭……」


 サークルの部屋の窓からハイジさん、良崎、星野がそれぞれ腕組みをして、サークル棟前を行き来する学祭の準備に浮かれ学生たちを眺めている。


「これ以上は負けられねぇ」


「手は抜きませんよ」


「わたしを忘れんな」


 この3人は昨年、学祭のミスコンで大激戦を繰り広げた。そもそも星野、桜井、雨宮さんのトリオとの出会いが昨年のミスコンであり、それをキッカケにハイジさんは星野の資質を見抜き、後継者に育てようとしていた。失敗したが。


「インチキだが、オフィシャルなルール発表前にお前らにはルールを教えておいてやる。去年と一緒だ」


 ※去年の学祭ミスコンのルール

①ミスコン候補1人に対しセコンドを3人までつけていい。

②セコンドを3枠使い切らなかった場合は、余りの枠を自由枠としてラウンドごとに変えることが出来る。

③自由枠のみ、学籍のない者をセコンドにつけていい。

④学籍のない自由枠は1競技につき一人までしか使えない。

⑤ラウンドで勝利すると、次のラウンドで競うゲームとそのルールを決めていい。


「作戦を立てろ。特に星野、お前と雨宮は昨年、俺たちの卑怯なジャッジのせいで勝ててたのに負けちまったからな。ただしリーベルト。お前には一つ条件がある」


 卑怯なジャッジの被害者じゃなくて加害者が「卑怯なジャッジ」というぐらいの大卑怯なジャッジ!


「なんです?」


「お前のセコンドには絶対にこばやっちゃんを入れろ。お前に2年連続で負けてるってことは、2年連続でお前のセコンドをやってるあのヒゲに2年連続で負けてるってことだ」


「むしろ陣内さんが使わないんなら絶対に小林さんはもらいますよ」


「あぁ。最近気づいたんだよ。アイツ、実はスゲェ有能なんじゃねぇかって」


 小林桜氏、そのスペック! 見た目が中年なことを除けば、人当たりが良く誰とでも仲良くなれるコミュニケーション能力! そのフランクさは最早サイコの域である。留年し続けているが、長らく会員50名を超える学内最大手演劇集団『演劇部』の長であり、「大学首脳陣:企画担当」の肩書を持ち、権藤教授や鬼畜お姉さんからも信頼が厚い「プロ大学生」、そしてサッカーへの情熱がパない。何気にハイスペック。長年側近に置いておきながらその有能さに気付かなかったか。


「わたしの去年の勝ち方は、非常に不本意なものでした。今年こそ自力で勝たないと」


 詳細はWEBで!




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




「学内最高の女子が観たいかー!」


 司会役の学生は今年も放送部の中野君です。


「僕もです。僕もですみんな! 全選手、入場! 最早学祭絶対王者! 3年生にして『学祭ミスコンで負けなかった年がない』という異常! 誰かコイツを止められるのかァー!? 良崎・リーベルト・アンナ!」


 3年目なのでもう全く緊張していない絶対王者が久々にフル装備エッちゃんのマスカラスマン、そして勝利の核・小林氏、さらに自由枠で円谷栄治を起用し共に登壇。


「こんちは~」


「ヘイヘイヘーイ! も゛う゛アンナ゛さんクラスになると、この程度の挨拶で十分なんだよ゛ォ~!!」


「しゃべんなって言ってるでしょう、お前はマスコットでしょうが!」


 裏声エッちゃんにお約束のローキック。そしてエッちゃんの中身のプロレスで鍛えてるヤツも楽々カット、もう一種の舞の趣さえある。


「なんだかですねぇ、こちらのキレ者ヒゲメガネが御大の逆鱗に触れたようなんですがねぇ。しかし勝ってるのはこのヒゲの力だけじゃなくてわたしの力がメインですから、ケンカを売る相手を間違えないで欲しいですね、挑戦者の皆さまには」


良崎・リーベルト・アンナ(21歳 ※本当は22歳)

セコンド①-小林桜(??歳)

セコンド②-マスカラスマン(22歳)

セコンド③-自由枠 円谷栄治(26歳)


 自分以外の候補者を全て挑戦者と言い切れる、なんと心地よい気分だろうか!


「卑怯なジャッジがなければ勝っていた! 違反ではないが不適切、のラインをギリギリchop! で攻めるスーパールーキートリオが1年の時を経てリベンジに燃える! 雨宮栞菜がやってきた!」


 桜井、星野を引き連れて清楚な白いブラウスで雨宮さんが入場。やや小さめのサイズのため肉感がけしからん! 不憫な境遇と不憫な境遇から生まれたトッピーという心の闇で心配ばかりされる存在だったが、そういえばあの子は一番ちょうどいいぐらいだったのだ。見た目がケタ外れすぎるとなんかヒいてしまうというか、「あ、無理だ」って思い知らされる。初対面の良崎はそれだ。雨宮さんも十分美人だが、良崎というバケモノがいるおかげでちょうどよくかわいく見える。しかも体つきがエロい。性格も悪くない。


「勝ち取る!」


 星野、桜井とハイタッチを交わし、すごいやる気と自信に満ちた表情で選挙ポスター風にグッと拳を握る。それだけで俺はもう十分だ。雨宮さんが前向きにいられるだけで大丈夫。


雨宮栞菜(20歳)

セコンド①-星野憂(20歳)

セコンド②-桜井玲(20歳)

セコンド③-自由枠


「姉はあの4年連続候補の花屋敷アサ! 無冠の帝王の称号はここで終わりだ! 新鋭のエンタメサークル、ヒーローショー研究会から花屋敷ヒナタ!」


 花屋敷アサ、卒業したか……。その妹はコテコテのアイドル衣装だった姉とは違い、動きやすそうなラフなTシャツに長いポニーテールにキャップ、ホットパンツでゲームの主人公の初期設定風。これからいろんな方向に成長していきそうな感じだ。セコンドはヒーローものの地球防衛組織の制服のようなものを着た筋肉質のコスプレ短髪のイケメンだが目がうつろで筋肉質でスタープラチナのようにも見える二軍のイケメンと、完全な黒子。


「姉の仇! そしてわたし自身の力を試し、ヒーローショーのすばらしさを伝えるために! 学園のアイドルになってみせます! みんな! 応援してね!」


花屋敷ヒナタ(18歳)

セコンド①-二軍のイケメン(??歳)

セコンド②-黒子(??歳)

セコンド③-自由枠


 スポーティな服装と爽やかさから主人公感がスゲェ。姉のような咬ませ感がない。


「陣内一葉プロデュース、史上最強の侵略者(インベーター)! 卒業したんじゃなかったか!? 陣内一葉の大暴れも『許してあげてください』の一言で許せてしまう大学の良心、大学のお姉さん、下町の好感度の50%はこの人だ! 水原銀子がやってきたぁ~!」


 ~~~ッ!

 水原さんが在学時の罰ゲーム「軍服を着用(卒業まで)」の姿で登場、久々に大学に戻ってきた嬉しさか、ニコニコと優しい癒される笑顔で心底楽しそうに登壇。そしてそのピカッピカの笑顔の陰で冬の北陸地方の天候みたいに陰湿な笑みのハイジさんと、大きなとんがり帽子にタンクトップの上にケープ、スパッツの上に巻きスカート、ミリタリーブーツの物理攻撃が強そうなスポーティ魔女の村上千穂が。


「ただいまぁ~!」


 雨宮さんのように何か裏がありそうな作り笑顔じゃない、まじりっけなしのマジ笑顔。これは勝てない。笑顔の純度で勝てない。


「あれは汚いですね。最も汚れていない人を利用、という最も汚れた手段ですよ」


「水原さんのことを悪く言える人はぁいませんからなぁ。見た目スペックじゃ、この中では一番不利ですが、それでも攻撃できないというのは大きいアドバンテージですよ。というか今、見た目では一番不利って言っただけで罪悪感が……なんということだッ……」


 良崎は唾棄、小林氏はマジ困惑。人に一切悪意を持たない優しい人物、水原さん。そんな人を絶対に攻撃しない水原さんを攻撃するようなヤツはもう性根の腐ったクズである。これは星野も迂闊な攻撃ができないぞ。


水原銀子(23歳)

セコンド①-陣内一葉

セコンド②-自由枠 村上千穂(20歳)


「以上のメンバーで戦います! ……そこの人」



 中野君が最前列で3DSをいじってる学生に声をかけると、その学生がイヤホンを片方外す。


「今どうですか?」


「2回ウラ、135-0で巨人」


 昨日の夜から攻撃つづけてないと入らない点数だな。


「キャパ500人の講堂で観客は約20人、朝の8時、それでは学祭、スタートです!」


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