【もう出ない 五・七・五の 在庫がない】第16話 関越道0ビヨンド~新潟×離島~ その16
『Weekly Music EURO Ranking』 vol.48
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▶BONUS MATERIAL
▶旬のアーティストによるオーディオコメンタリー
▷未公開シーン
▶
「やぁ、購入特典のオーディオコメンテータリーだ。Vol48のコメンテーターはジェラートと」
「ハーイ、エマ・バークスよ」
「実はこのオーディオコメンタリーは本編のランキングのオンエアーを見ながら収録しているんだ。新鮮な驚きが伝わるといいね。このDVDの発売は? 9月? 随分先だね」
「Yeps、わたしが最新シングルを出した週の売上ランキングね! もちろん、プロデューサーはイングランド最高のプロデューサー、つまり世界ナンバーワンのジェラートよ」
(laughs )
「トップ10は狙いたいね」
「トップ3は狙いたいわ!」
「おっと本編のランキングが始まったぞ」
「What`s? こんな曲が10位よ」
「まぁまぁそう言うな」
「こんな曲より下にはいたくないわね」
「そういえば、エマはしないのか? その、自分で」
「えっ?」
「エゴサーチだ」
「ビックリしたわ! あのお上品なジェラートがそんなことを聞くなんて! って!」
「エゴサーチってどうしてもしてしまうよな」
「あなたはしてるの?」
「むしろこの業界でしないヤツの方が珍しいんじゃないか? おっと、そういうことで、9位は新鋭のラッパー、Gyroの『raking』でした。続いて8位をどうぞ」
「ちょっと待って!! EUROでエゴサーチをしていないロッカーはわたしだけなの?」
(laughs )
「僕が知っている中では、エゴサーチをしないのはエマだけだ」
「OMG!」
(Emma: sighs )
「エゴサーチの範疇ってどこまでなの? 最新のランキングで自分の名前を探すのはエゴサーチ?」
「どうだろうな。じっくりと自分の名前が見つかるまでランキングを辿り続けるのはエゴサーチなんじゃないのか? そうこうしている間に今週のランキングは5位まで発表が終わったぞ。さぁそろそろ名前が出たいところだ」
「OK。でもエゴサーチしてるってことは、新作がどれぐらい売れてるかわかるから、あなたはランキングも予想がついているんじゃない?」
「エマはネットでもランキングを見ないのかい?」
「雑誌でしかみないわ」
「今週の4位はphlogistonの『Cavendish』だ。僕はこの曲が好きだな。特にこのリフが素晴らしい。ちょっと静かにして聞きたい」
「……」
「……」
「いいね」
「ここのベースはこの間、アメフト選手にピスタチオの殻を投げつけて遊んでいて前歯3本と鎖骨を折られたのよね」
「実にバカバカしい」
「同感だわ。どう思う? 同じベーシストとしてアメフト選手のタックルを食らうとしたら」
「僕だったら二度とベースが弾けなくなることを覚悟するね。アメフト選手とケンカをするぐらいなら、ダンプカーにはねられる方を選ぶよ」
(laughs )
「でもエマも昨年のScreened at the Fjord Film Festivalに参加するときに、空港でパパラッチを殴り倒してスマートフォンをへし折ったろ? 二度とするな。あれと同じぐらいバカバカしい」
「反省するわ」
「さてそんなこんなで3位の発表も終わってしまったが残すは1位と2位だけだ」
「OK。お願い。Oh,――――!」
「おい言葉を慎め。僕たちの最新シングルは、2位だ。謙虚に受け止めよう」
「オカマちゃんたちに負けたわ!」
「謙虚になるんだ」
「今度会ったらあのオカマちゃんバンドにブラジャーのつけかたをに教えてやるわ!」
「言葉を慎め! そういうことで、『Weekly Music EURO Ranking vol.48』のDVD特典オーディオコメンタリーでした」
「次も買ってね! Bye!」
「へぇ、木刀ってこんなにたくさん種類があるんだな」
予想以上に佐渡島がハードだとわかってしまった。服をカツられたハイジさんは旅館の浴衣を借りているが、普段あの藍色と水色のド派手な浴衣じゃないので遠めに見るとわからないかもしれない。マスクなしマスカラスマン、ピカチュウと化した小林氏、マスカラスマンベリアルと化した雨宮さんと普通の人になっちゃったハイジさんとチームの過半数がいつもと違う。そして佐渡島のハードさの対抗策として英雄さんについてきてもらうことにしたが、英雄は経由地点の新潟まで飛行機で来ていたため、普段の得物である日本刀を空港に持ち込めず持ってきていない。日本刀を持っていると、飛行機には乗れないのだ。新幹線でも危うい。しかし、いくら英雄と言えど丸腰だと先ほどのような変態に絡まれてしまう可能性があるのできちんと武装してもらうことにした。武装するぐらい危険なら帰ろうぜ! トキよりも先に筋肉モリモリマッチョマンの変態が見つかるぐらいだ。
「この木刀が俺を呼んでいる気がする。よしっ。……」
そしてしっくり来た木刀を手に取り、ハイジさんをチラ見。
「……」
そしてハイジさんは逃れるようにえびせんの原材料を確かめている。英雄は木刀ぐらいなら奢ってもらえると思ったのだろう。用心棒としてついてきてもらうのだし、木刀ぐらいなら奢ってやれる度量と財力があるハイジさんだが、服(高額らしい服)をカツられたハイジさんの心にそんな余裕はない。用心棒としていてもらってるのに、結果を見ればカツアゲの共犯者・円谷英雄。木刀ぐらいは自腹を切れ。「先生、次も頼みますよキキキ」とは言わない。
「あのリヤカーって一回俺も牽いてみていいか?」
「ああ」
「おぉう重いな。これは下半身が鍛えられるぞ」
あの英雄さんが少し負い目を感じている。変態に屈したからな。
「少し牽いてみていいか?」
「マスカラスマンに聞いてくれ」
「牽いてみていいかマスカラスマン」
マスカラスマン(素顔)がコクッと頷く。
「いいだろう」
「お前態度でけぇぞ。タメ口は許してやる。呼び捨ても許すが、あんまり見損なうな」
ハイジさんには負い目があるがマスカラスマンには負い目がない。辛辣!
「さっきのイカレテキサスからとったエアガンもあるし、下半身も鍛えられて佐渡島はゴールドラッシュだァ。金山行こうぜ。砂金採り体験もあるらしいぜ。あとタライ船と」
これは英雄なりの気遣いなのだろうか? 佐渡島は楽しいよ、佐渡島を楽しもうよと無理してテンションを上げている気がする。率先してリヤカーも牽こうとしている。
「エアガン。あ」
雨宮さんが何かに気付いた。そして右手にはめていたトッピーを左手にはめ直す。そして左腕のトッピーを星野に真っすぐ向け、右手を添える。
「コォブラァーンフフフゥ~」
雨宮さんの新一発ギャグ、サイコガントッピー。星野さん忖度の微笑。
「イマイチですか?」
「いいんじゃない? すごいよ」
「本当ですか?」
「いいよ。すごいよ」
これが、大学生の相槌の基本形である。相手の言葉の長さに合わせ、懐かしのゲームぷよぷよの連鎖時の掛け声のように打つ相槌。「いいね」→「いいね、すごいね」→「いいね、すごいね、卍~」以降は卍の数を増やすだけでかなりごまかせる。これを相手が使ってきたということは、言葉に困っているということなので、使われた側も察して平和的に終わるのだ。
「コォブラァーンフフフゥ~」
律儀で真面目で何をやるにもまずは許可をとってから、冒険しても心配されるだけのガチガチちゃん雨宮さん。そんなに面白くはないが、本人が楽しそうで何よりだ。
「サイコガンで思い出したけどよ、ドラえもんの道具で『くうきほう』ってあるだろ」
英雄さんが拾いに行く。
「あれ、撃つ時はドッカァーン! って言うだろ」
「言いますね」
「あれがよ、もし未来の世界で警察の標準装備だとしたら、真剣な場面とか台無しになるよな。未来の世界のめちゃくちゃシリアスなクライムサスペンスとかでも全員真剣な顔してドッカン! おとなしく武器を置け。チックショ、攻撃だ! ドッカーン! だぞ。モーガン・フリーマンとかも」
おっと、こっちも面白くないぞ……。
「クリント・イーストウッドあたりは自分のカラー出してくるよな。そうだな……」
二の矢を探す。
「もしかしたら、って話なら、『ガメラ3』のイリスって怪獣いるだろ」
「いますね」
イリスとは、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』に登場した怪獣である。月夜を飛翔したり豪雨の京都に降り立つ際の見とれるほど美しい外見の本性は、タイトル通り邪神がふさわしいゲス怪獣であり、言葉こそ使わないものの、ダメージを負った相手を明らかに“嘲笑”するような仕草をとる、女子中学生との合体を求め続ける、人間を食って成長するため無差別に人を殺しまくると言った悪の化身のような極悪怪獣である。
「あれさ、ガメラに親と飼い猫を殺された中学生が、イリスにガメラを殺してもらうために飼い猫の名前だからイリスって名前だったけど、アレ、殺された猫の名前がれおとかミカンとかだったら劇中ずっとれおとか、ミカンって呼ばれるはめになってたよな」
『ガメラ3 邪神<ミカン>覚醒』。
「話は息子の方が絶対に面白いですね。あの息子もそこは自信持っていいです。話だけは息子の方が面白い」





