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【ごーしちご ごーしちごーごー このブタ野郎!】第6話 24時テレビ その5

「じゃあ、負けた方がなんか暖かいものを20分以内に調達するってことで」


「暖かいものってなんだ?」


「毛布でもいいし上着でもいいしココアとかでもいいよ。買う場合は自腹な」


「絶対に負けられない戦いになったな!」


 白組一番手、マスカラスマン、見参!


「マスカラス。お前に言いたいことはまずネタに走るな」


「ネタ?」


「プロレスネタとかいらねぇから。『マッチョドラゴン』とかいらねぇから言っておくぞ。ふりじゃねぇぞ。あと学祭の時やったようなクリスタルキングの物まね自害も許さん。喉つぶれたら終わりだからな。あと何時間もあるってこと忘れるな」


「おう」


「お前本当にわかってんのか?」


「一番得意な曲でいけばいいんだろう? エンタメよりも勝ちに行けってことだな」


「そうだ。ストロングスタイルで行くぞ」


「安心しろ陣内。燃えさせてやるよ。……」


 ……?


「審査員が小林さんなのはわかったが、曲はどうするんだ?」


「そこはアカペラとパーカッションで」


「そうか。よし、せーの、無口な人吐息は白く……」


 マスカラスマン歌唱開始。


「あ、これ聞いたことありますよ」


「グレイの『winter,again』だな」


「これものすごくヒットしませんでしたっけ?」


「年間一位を狙えたんだが、その年は『だんご三兄弟』が強すぎて阻まれてる」


 おい、聞いてやれよ。


「『だんご三兄弟』って……それなんだか気の毒ですね」


「あとPVがボーカルの顔どアップのまま終わる。それがメンバー内で軋轢を産んだし、ボーカルが結局一番偉いのかって俺も問題あるPVだと思ったよ」


「でも結局ボーカルじゃないですか。ジュディマリはボーカル以外男ですけど紅白では紅組でしたし」


「まぁ、ボーカルはフロントマンって言われるくらいバンドの顔だからな」


「それにTERUはイケメンですしね」


「ラルクのHydeに比べたら全然劣るんだけどな。よくよく見るとそんなにイケメンって訳でもないと思うんだが……」


「なんていうんでしょうね、雰囲気イケメン?」


「いや、雰囲気でイケメンさを出してるのはそれこそHydeだろう」


「TERUはホスト顔ですよね?」


「あ、なんかそれピッタリくるな。ホスト顔かぁ。逆に言うと、TERUの出現によってそれまで微妙と呼ばれてたやつらがイケメンに分類されるようになったのかもしれない。微妙なんだけど、バンドのボーカルっていう補正がかかってイケメンと誤認識されるようになった」


「そしてそういう顔をしていた人たちに適していたのがホストで、ホスト=イケメンのイメージがあるからイケメンと認識されるようになった、と……」


 マスカラスマン熱唱の裏で繰り広げられるマスカラスマンの歌よりぶっちゃけ面白かった、ハイジさんと良崎のホストイケメン進化論。


「なるほど。TERUはホストのアダムだったのか」


「エッちゃんがせっかく歌ってるんですから、ほら、聞きましょうよ」


 水原さんが止めに入る。


「でもTERUはホスト顔って言うのは長年の靄が晴れたような気分。ありがとうアンナちゃん」


 うむ。そこは良崎に感謝だな。同感。実際TERUみたいな眉毛のホストは多い。この話のインパクトが大きすぎて「TERUはホスト顔なんだよ」って人に言いたい気持ちでいっぱいになってしまったがその後良崎が『残酷な天使のテーゼ』、ハイジさんが『突然』、大トリの水原さんが新レパートリー『1/2』を披露し、小林氏のジャッジにより紅組勝利。ぶっちゃけ水原さんはぶっちぎり過ぎていたのでちょっとなんかこれじゃないな、って気持ちになった。砂場で遊ぶ権利を争ってる子供のケンカに一人だけベジータが紛れ込んでる感じだ。そういう空回り感があった。ここじゃないところで使えばいいのに、そういう才能。そして罰ゲームとしてマスカラスマンとハイジさんが何か温かいものを20分以内に調達してくるということになった。

 20分後。


「おい、ちょっと手伝え」


 ハイジさんとマスカラスマンが歯ぎしりをしながら、長さ2mほどの白い布に包まれた何かの端と端を持って運んできた。小林氏と水原さんの4人がかりで喫煙所内に持ち込む。


「すごい重かったんですけど、これなんですか?」


「聞いて驚くなよ。これはウォーズマンだ」


 重いものを運んできたのでハイジさんとマスカラスマンは軽く汗ばんでいる。よかったじゃん。


「ウォークマンの間違いじゃなくてウォーズマンですか?」


「ああ」


「そんなものどこから持ってきたんですか」


「権藤教授のラボがカギかかってなかったから忍び込んでみたらあったから持ってきた」


 権藤教授! 一年の最初の日に窃盗被害!


「権藤教授のウォーズマンってことは、MGⅡ?」


「そうだ。説明しよう! 権藤教授のウォーズマンことMGⅡとは、ぶっちゃけ何を研究してるのかよくわからない権藤教授が完全に趣味で作った人型兵器! 30分以上起動してると煙吹いて壊れる。だからこれ30分以上スイッチ入れっぱなしにしてたらストーブ代わりになるんじゃねぇかな」


「それって壊すってことですよね?」


「壊したほうが権藤教授のためだろ。あのジジイはそろそろプラモ遊びから卒業した方がいい。むしろ感謝されるべきだ。お前もゼミ生としてそう思うだろうマスカラスマン」


 マスカラスマンも腕組みをして力強く頷く。本当に権藤教授って何の分野の先生なんだ? 文学部の水原さんと心理学部のマスカラスマンをゼミ生に持ってるが……。確かにノリはいいし金払いもいい愉快なおじいちゃんで親しみは持てる人物ではあるがちょっと権力を笠に着せてハメ外し過ぎてるところがあるのも否めない。


「同感だ。そろそろ具体的で進歩のある指導をしてほしい。権藤教授もこれを作り始める前はまだマシだったんだ」


 もっともらしいこと言ってるけどコイツらバカだから暖かいとか権藤教授のためとかよりもウォーズマンいじりたい欲が勝ったのだろう。


「でも、権藤教授のセキュリティの甘さは心配ねぇ」


 水原さんは苦笑い。


「わたしも権藤ゼミだけど、1年くらい前に権藤ラボがサイバー攻撃を受けて書きかけの卒論から何から全部消えて、権藤教授経由でウィルスが来てわたしのパソコンも壊れちゃったの。卒業できなくなるかと思ったわ」


「あ、そんなことありましたね。俺はまだプレゼミ生でしたけど本当にあれは許せなかった。犯人まだ捕まってないですよね?」


 これも多分知らない方が良かったって思われる事実なんでハイジさんも良崎も俺も、水原さんとマスカラスマンには黙ってようと思う。だって水原さんに卒業されたくなかったんだもん。なんで水原さんが卒業するかもしれないのなら我々による権藤教授及びゼミ生への2回目のサイバー攻撃が行われる可能性はあるということは言っておこう。


【自己批判】

昨日、9月編(2週目)を読んだらいろいろと自分でも忘れていた設定とかがフル活用されていて、今のこの12月編(2週目)がいかに異常かわかった。その場しのぎその場しのぎをするにも、今までと違っていつ投稿するとか決めていないのでもうちょいクオリティを追求した方がいいと思ったので、しばらく過去作を読み直してキャラの設定を思い出してから書き足す。

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