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【もう出ない 五・七・五の 在庫がない】第1話 関越道0ビヨンド~新潟×離島~ その1

 ズシィ~ンとハイジさんと良崎が阿吽な感じでにらみを利かせる。


「ごめん寝坊した」


 星野が緊張感なく、むしろなんか楽しそうに遅刻。


「いい御身分ですね」


「よほど世間を知らねぇと見える」


 そう、今は夏休み。夏休みに佐渡島へ旅行に行くことになっていたのだ。車で! 佐渡島とは新潟県属の離島である。カーフェリーで新潟から島まで行ける。佐渡島は離島にしては大きめだが鉄道はないので車文化である。よって我々はこれから新潟の港まで車で行かなくてはならない。そして、星野、桜井、雨宮のルーキートリオは知らないのだ。年末年始・ゴールデンウイーク・お盆の関越自動車道の地獄混雑を!!! 高速道路は拘束道路と化し、進まなくともハンドルを握りアクセルとブレーキを踏み続けることで疲労は普段の運転と変わりなくたまり、さらに渋滞の分ストレスが激増する。そのため無慈悲なほどの早起きをして早朝に出発せねばならないのだが、星野が寝坊した。


「これは星野がガンセキオープン送りでいいんじゃないでしょうか」


 そして人数が増えすぎた『演劇サークル』は、車に人が収まりきらないので、常に一人が小林氏の軽トラガンセキオープンの助手席送りになる。


「いや、前に新潟の時にお前がやったことを思い出したら寝坊くらい許してやろうと思えた」


「え、リーベルト昔何かやったの?」


 マスカラスマン(生地薄め)がブンブン頷く。


「やった」


 そしてキレキレのライムを繰り出すラッパーのように良崎を何度も指さしたが金剛力士像のような口で堪える。


「だが真似されると本当に打つ手がない悪行だから教えることもできない。口に出すのもはばかれる極悪なことをしたということを一生心に留めて生きてもらいたいな、リーベルトには」


 ハリー・ポッターの悪役の如き悪行を容疑者の同級生インタビューのように振り返る。え、トム・リドルですかぁ? まぁ、アイツはいつかやると思ってましたよ。なんかヘビとしゃべってんすよヤバイヤバイ。そんな感じであの件を本人を直接詰ることはもうない。あの件については詰り切った。ああダメだ。思い出すと腹が立つ! 詳しくはウェブで!


「ハァ。幸先が悪いが、最初のレクをやろう。誰がガンセキオープン乗るのかな!? 小林サッカー!」


 ハイジさんが高らかに宣言。


「小林くんと相乗りになる小林サッカーだが、その前に一つ問いたいことがある。これから先の道はマジで(ツラ)い。ルーキーはどれだけ辛いか想像もつかないと思うが、その時、運転手が俺でなくてもいいと思うか?」


 ?


「これから俺らは下の道から関越道に乗る訳だけど、その時、俺が運転じゃなくてもいいのか? リーベルトでいいのか? それともお前らの誰かがやるか? おい星野。お前免許あるよな」


「うん」


「教習所は地元か? 大学付近か?」


「大学の近くの」


「皆まで言うな。あそこなら高速道路の実習は関越道で川越までだろう。お前、この時期の関越道で川越行くまでにどれだけかかると思う?」


「えぇーとぉ」


「皆まで言うな」


「何も言いかけてないよ!」


「具体的に何時間とかはバラけるが、疲れすぎて川越で休みたくなるぐらいだ」


「川越で!?」


 (ユウ)ちゃんリアクションが素の時バカで末っ子感かわいい。


「そこまで運転できんの? 全行程のどっかで俺も音を上げて交代するだろうさ。でも最初に俺がお盆の関越のヤバさをまず、まず先輩として知らせてやることが必要だと思うんだ。誰もやったことがない、誰も心の準備ができていないお盆の関越で、お前らを関越から守って先輩の背中を見せてやりたい」


「要するに俺に運転させたかったら俺をガンセキオープン送りにはするなって意訳でいいよね?」


「勘のいいお前はかわいくないな。だが嫌いじゃないぜ」


 やりかたはクズだがハイジさん間違ってない。この長丁場、まずは場を整える意味でも、先発はハイジさんで行きたい。あの先の見えない渋滞を見るとルーキーは面食らって追突事故とか起こすかもしれない。関越道の入り口で事故るとか甲信越の皆さまには切腹の一つや二つじゃ謝るこっちの気が収まらない。切腹の上に頭目が梟首ぐらいしないと。


「だけど俺がこの小林サッカーで負けたら俺はガンセキオープン送りだ。どうする?」


「……じゃあ陣内さんは小林サッカー免除で」


 と言いつつリーベルトグワッ! マスカラスマンと阿吽の形相でハイジさんを睨みつける。しかしだれも異論は唱えない。


「ああ。ちゃんと車は冷やしておくぜ! アンティーク水原!」


 ビシッ!

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 アクセス:東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅 A3出口から徒歩五分 水曜定休日 10:00~18:00


 ワゴン車に一人乗り込み、冷房をかけるクズ。誰か梟首する時はアイツだな。ピコーンと星野のスマホに着信。


「えー、小林サッカーは、小林にセンタリングを出し、キックターゲットをしてもらうものです。投げても良い」


「勝負を?」


「ボールをな。でも別に一人ぐらい勝負を投げてもいいよ。そいつがガンセキオープン乗るだけだから」


 なんだかんだでやっぱりハイジさんは星野を後継者にしたがってるな。

 ピーッ

小林(コバヤシ)蹴球(サッカー)


「よし、じゃあまず俺から行こう」


 マスカラスマンがボールを転がし、木陰から炎天下でゴール前で既にヘトヘトになっている小林氏を一瞥する。あの人は交代要員ナシで佐渡島までガンセキオープンだもんなぁ。それだけでもキツいのに、これからセンタリングが5回来る。


「……」


 木についていたセミを剥がし、裏面を観てからそっと放つマスカラスマン。早く蹴ってやれよマスカラスマン! 木陰から出たくない気持ちわかるけどさぁ。


「よし、行くぞ!」


 低い弾道! 速度はあるセンタリング! 合わせられるか!


「あぁー」


 ボールは小林氏を跨いで未開拓の雑木林へ。


「蹴るとああなるのか。投げよ」


 星野スローイン。小林氏が胸でトラップし、9番の札。その後良崎、桜井、雨宮さんもスローインし、見事どこかしらの札を打ち抜くか枠内。

 マスカラスマン、ガンセキオープン決定! そしてセンタリングを5回もした小林氏のシャワーで出発はズムサタの『プロ野球熱ケツ野球』を観てからに延長することにした。


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