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【それぞれの 思いがあるから さておいて】第2話 アンチマテリアルライフル選手権 その1

「アンチマテリアルライフル選手権~」


 タッグトーナメントで自信をつけた星野がマイクを握って楽しげに宣言。良崎、雨宮、鬼畜お姉さんからまばらな拍手。そしてハイジさん、マスカラスマン、桜井、小林氏、円谷栄治は、でっかいアンチマテリアルライフルを構え、この炎天下で蓑を被って伏せ撃ち体勢。地熱と太陽熱がきついうえに厚着!


「今回は男子のアンチマテリアルライフル適性を試すアンチマテリアルライフル選手権! 戦場で強い男は誰か!」


「ああ」


 ハイジさんイラッ。


「ルール説明は、桜井!」


「ハイ、アンチマテリアルライフル選手権では目線や体を状態に逸らして居場所がバレたらカウンタースナイプを受けますので動揺せずに構えましょう」


 桜井が読経のように読み上げる。


「そして補足は、雨宮!」


「はい、そしてこのアンチマテリアルライフル選手権で再開だった人は、夏休みの新潟旅行に」


「ワッザ!?」


 ハイジさん伏せていられなくなるどころか日本人ですらなくなった!


「ワッザファ〇ク!」


 そして良崎もご存じなかった様子。


「新潟……だと……?」


「新潟です」


「お前はまだ新潟を知らねぇ。だからそんな気軽に新潟なんて言える」


「新潟の佐渡島(サドガシマ)に行くよ」


「おいおい新潟×離島か? 死ぬ気か!?」


「その道中のカーフェリー」


「あああ! 新潟×離島×フェリー!? お前はマジでわかってない!」


「言うても新潟だよ? 高速道路一本だしフェリーもちょっとだし、佐渡島なんて有名な観光地じゃん」


「お前はまだその三つの何一つからも心の傷を受けていないから言っていられる。俺らは全部だ」


「しかし人数が増えすぎてしまった『演劇サークル』は車一台では収まらないので、小林のガンセキオープンの助手席も使わないといけない」


 本車→6人

 ガンセキオープン→2人

 ああ、全員収まるな。……アレ?


「下位2人がローテでガンセキオープンのドライバーです。しかし円谷くんは連れて行かないので、円谷くんが下位2名に入った場合は繰り下げとなります」


「じゃあなんでボクを呼んだのさ!」


「てめぇみたいなウザいヤツと新潟行ったら苦しさ乗算だろうが」


 この言われよう!


「なんていうか、このアンチマテリアルライフルが本物ならもう今すぐあのガキの頭を撃ち抜きたいね!」


 ハハハと楽しそうな旅行をイメージしてしまってるのか心底イキイキしてる星野。マジで知らないようだな、新潟を。そして佐渡島を。あそこはマジで流刑地なんだぞ。


「それではステージ1! スコープを覗いてください」


 憐れなスナイパーたちがスコープを覗く。すると、小林氏が長を務める学内最大手演劇集団『演劇部』のうち、ケムール人のマスクを被った男とピット星人のマスクを被った女がマイクの前に手を叩きながらやってくる。漫才だ。そしてケムール人がマイクの高さを調節、ピット星人がマイクの角度を調節。そしてマスク越しに何やら身振り手振りのエアネタを展開。


「……?」


「……」


「?」


 男子陣呆然。


「もうええわ!」


「うわうっせ!」


 ケムール人が急にオチだけ発声したのでスナイパー全員ビックリ。


「ハイ、では今のネタはとある芸人のネタを完コピしたものなのですが、それは誰のネタでしょう!? 芸人名だけでなくネタのタイトルまで正解したら2ポイント。しかし、もし完コピ漫才師がM-1及びTHE MANZAI決勝進出者だった場合、その漫才師の最高成績よりも下の漫才師を答えてしまった場合、漫才師のメンツをつぶしたとしてマイナス2ポイント」


第1ステージ 漫才完コピクイズ


「おい待てコラ。歴代M-1王者ァ!?」


「……」


 桜井がスコープを覗き、唇を湿らせる。真剣!


「リプレイ!」


 星野の合図でケムール&ピットが再登場。


「もうええわ!」


「関西系コンビか……」


 関西芸人のM-1優勝……。中川家、ますだおかだ、ノンスタ、銀シャリ……まだいるはずだ。


「わかった!」


 マスカラスマン!


「わかった場合は引き金を引いてください」


「待て! 本物じゃあないよな?」


「んなわけあるか」


「よし」


 マスカラスマンが引き金を引くとバキューン! と最近の放送禁止用語規制音的銃声。


「千鳥の“おぬし”!」


 攻めたァァァ! 千鳥は優勝してないぞ!? 


「……千鳥の“おぬし”……。ファイナルアンサー?」


「ファイナルアンサー」


「雉も鳴かずば撃たれまい、不正解だとカウンタースナイプは確実……それでも決めたマスカラスマンのファイナルアンサーは……」


「いやカウンタースナイプは聞いてないぞ」


 やはりまだ不手際が多いな、星野の仕切り。


「千鳥正解!!! しかしネタは“学校の先生”!」


「あああそっちか!」


「この場合はカウンタースナイプナシで1ポイントです」


 マスカラスマン―1ポイント


「第2問」


 ケムール&ピットが再入場。今度はケムールがチョコチョコ動くがピットが不動。これはわかんないぞ……。


「まさに人の皮をかぶ」


 バキューンバキューンバキューンバキューン! ハイジさん、マスカラスマン、円谷くん、桜井が同時にスナイプ!


「桜井速かった!」


「ハマカーンの……」


「ハマカーンの?」


 「もういいわ」「いいかげんにしろ」で終わらない数少ないコンビ、それがハマカーン。サービス問題だ。しかしネタがわからない!


「ハマカーンの……あれは配置転換後のネタだな……よし、ハマカーンの“やきそば”!」


「ハマカーンの“やきそば”的中ー!」


 桜井―2ポイント


 次いで……


「カミナリ!」


 小林氏―1ポイント


「オードリー!」


 円谷くん―1ポイント


「スピードワゴン」


 円谷くん―2ポイント


「博多華丸大吉」


 円谷くん―3ポイント


「アルコ&ピース」


 円谷くん―4ポイント


 ――独走……


「ちょっとタイム」


 ハイジさんが円谷くんの頭頂部にどつきツッコミ!


「新潟には連れて行かねぇからな!」


 なんの宣言かはわからないが全員が抱いていた円谷くんへのいら立ちが少し報われた気がした。


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