表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/146

【転校生-! お前を殴らにゃ 気が済まん!】第9話 小林くんの記憶補完計画 うろ覚えヴァンゲリ その7

※こんばんは、医学部のドクターKこと梶井基九次郎です。さぁ、前回までの『帰ってきたうぉくのふぉそみつ』は、小林くんが最近観たアニメ、略称『ヴァンゲリ』の内容をどれくらい覚えているかを試す『うろ覚えヴァンゲリ』。今回はその第7夜です。小林くんの記憶を再現するため『演劇サークル』と大学特撮スタッフが大ハッスル! 小林くんの記憶を補完することはできるのでしょうか? 記録より記憶と言えば、先日、父の馬が引退することになりました。彼はあまりいい成績を残すことができませんでした……。少し不完全燃焼気味なまま今後を過ごすであろう彼に僕はこう言ってあげたんです。「ナンバーワンにならなくてもいい。君の子供たちがいい記録を出すかもしれないじゃないか。だって一人一人違う種を持つから」って。……チャンネルは、そのまま!

 まだ元気なマスカラスマン、そして依然元気の減りが全く見られない特撮スタッフが全精力を挙げて作った水中戦で魚を撃破。


「海を渡って東京に上陸した分裂怪獣は、防衛軍の基地が狙いだった! こんなでっかい怪獣に、上陸した東京は大ピンチ! それを救うのが、『ヴァンゲリ』なんだ。さぁ、次回もみんなで見よう!」


 上陸した分裂怪獣に敗れる『ヴァンゲリ』! 特撮スタッフが全精力と消火器15本を挙げて作った地形破壊の大爆発シーンでどうにか分裂怪獣の動きを止めることに成功するが、『ヴァンゲリ』パイロットの二人は基地で見てるだけの悪くて卑怯で嫌な大人に「無様」と言われ半ギレ。二匹同時に急所に攻撃しないと倒せない怪獣を相手に立ち向かうため、音楽に乗って同時シンクロ攻撃を繰り出す作戦を練った『ヴァンゲリ』1号2号のパイロット! そして特訓を終えリベンジの時が来た……。


「陣内一葉は、リーベルトとマスカラスマンに無様と叱った。ちょっとしたミスも地球防衛軍には許されないのだ。不屈の決意で街中の分裂怪獣に『ヴァンゲリ』は、いやリーベルトとマスカラスマンは立ち向かった。見てくれ、名誉挽回の『ヴァンゲリ』キックを! さぁ、次回もみんなで見よう! リフトオフと同時に音楽スタート、後は作戦通りに。2人とも、いいな?」


 シークレットファクター回収は出来たもののハイジさんの「無様」発言に半ギレしちゃった良崎とマスカラスマンの二人は、懐かしの名作『アイシールド21』の世界編で実現したヒル魔&金剛阿含のコワモテ極悪タッグのドラゴンフライのように、ベタベタしてはいないがどこかで認め合っているような感じでそれぞれ『ヴァンゲリ』に搭乗。


「いいですか、最初からフル稼動、最大戦速で行きますよ!」


「わかってる。62秒でケリをつける」


 シャー……ッズダァン!

 …木……ィェ…のき…ィエ……

 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ!

 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ! (「ッファイッ!」)

 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ! (「ッファイッ!」)

 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ! (「ッファイッ!」)

 テーレレー テレーレーレー テーレーレー テレーテーレー

 猪木! ボンバイエ! 猪木! ボンバイエ! 


「ッファイッ!」


「ッファイッ!」




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




「ご苦労様です、お二人」


 小林氏が一戦終えた『ヴァンゲリ』パイロットの二人にねぎらいの言葉をかけるが良崎がメンチを切る。


「いいですかヒゲ。ドイツ語も多少心得のあるわたしが日本語を教えてやりますよ。いいですか、“ご苦労様”は上から目線の言葉なんですよ……。祖父が“ご苦労様という言葉を使っていいのは天皇だけ”って言ってましたよ……。あなたはどの立場から言ってるんです? えぇ?」


「すまない。お疲れ様です」


 ハァーと良崎がため息。今日は多少キレてもいいだろ良崎は。でずっぱりだ。


「じゃじゃじゃマスカラスマンは次も行けるかな?」


「ん? あぁ、いいぞ」


 スタッフから次回予告用マイクを渡されたハイジさんだが浮かない表情。


「火山の火口から出現した、マグマ怪獣の正体は何か!? 特撮スタッフを襲う天敵とは!? 『ヴァンゲリ』が危ない! マスカラスマンの勇気が敵を裂く! さぁ、次回は、観なくていい」


 ハイジさんがテンション低い。


「どうした陣内」


「マスカラスマン、本ッ当にすまないんだがマスクを脱げ」


「!?」


「えー、何と言いますか、特撮って金がかかるんだよね。わかるな?」


「ああ」


「全編全力疾走は無理なのでここらでお金のことを考えなきゃいけない。いいか、用意できた予算と、足りなくなる金額がこちら」


 ハイジさんがマスカラスマンに何らかの書類をみせるとマスカラスマン、目がマスクから飛び出そうに!


「これマジか!?」


「今後も増え続ける」


「増えるって……どうするんだ?」


「削りつつ、借りる。ただやばいのラインも近い。それを超えるとサラリーマンの年収だと利子だけ払って一生終わる。技術と気力があるだけの金と職のないニートやフリーターじゃもう無理だ。特撮スタッフの天敵とはつまり、(カネ)だ。特撮の一瞬一瞬がヤバイ」




第九話

毎回、赤字、重ねて




「削ってくれるな? マスカラスマン」


「……どう削るんだ?」


「こちらをどうぞ」


 『演劇サークル』お抱えの特殊なスキルを持った人たちの高速設置でマスカラスマンの前にテーブル、そしてテーブルの上にきな粉を山盛りよそった特大中華鍋が!


「えー、『ヴァンゲリ』2号パイロットにはこのきな粉に顔を突っ込み、きな粉の中に潜む怪獣を見つけ出してもらいます。そう……『きな粉ダイバー』!」




第拾話

キナコダイバー




 良崎爆笑。


「まぁ、あれだ。これならきな粉しか金かかんねぇから」


「そうだな……」


「マスク脱ぎからの即きな粉ダイブで顔面さらしは逃れられるだろう」


「だろうな。だがむせるだろうな……」


「直接肺に取り込んでくれます」


 ピコーン! シークレットファクター回収!


「ちなみにこれ、テストプレイヤーを務めた受け身のプロ兼死んでもいい人によると、テスト後3日は耳などからきな粉が出続けたそうだ。顔面の凹凸がすべてきな粉で埋まったヤツもいる。いっぺんダイブすればもう息継ぎの時にゃ顔面さらしの心配は不要だ。あ、じゃあこれ支給品の『防塵(ボウジン)ゴーグル』な。目は大事しなきゃならねぇ。ちなみに塗りつぶされているのでゴーグルつけたらもう何も見えない」


「使おう」


 マスカラスマンが『ヴァンゲリ』2号筐体の暖簾の向こうでミル・マスカラスのレプリカマスクを脱いでゴーグルを装着、その上からミル・マスカラスレプリカを再装着。ハイジさんに手を引かれ、きな粉の火口にけん引される。


「いいか? じゃあスタート」


 スタートと同時にマスカラスマンがレプリカマスクを脱ぎきな粉の火口に顔面を叩きつける! まずはきな粉で顔を隠し覆面レスラーとしての死を防いだか。


「えー、これきな粉に潜む怪獣とほぼ同じものをこちらに用意しています」


 ジバコイルの指人形だ!

『ジバコイル』 じばポケモン

 タイプ でんき/はがね

 高さ1.2m 重さ180㎏

 とくせい じりょく/がんじょう/アナライズ

 しんか コイル→レアコイル→ジバコイル

 『磁石』+『UFO』をモチーフにした、やや不気味なデザインだがそのメカメカしい姿は見ていて愛着がわくぞ! でんきタイプ最強クラスの「とくこう」ステータスを持ち、そこからくりだされる『10まんボルト』『かみなり』『ほうでん』『ラスターカノン』は超強力だ! 鈍足だが耐久力も高くて頼りになる強力ポケモンだぞ!


「これ光が丘のフリマで50円で買った」


「おいフリマで買ったもんを人の口に入れる場所に置いてんですか?」


「だからもう色剥げるぐれぇ殺菌消毒してるから」


「理屈としてはいいんでしょうけどわたしの理性がそれでよしとしないですねぇ」


「フフフ、これを見てもそれを言えるかな?」


 ハイジさんがきな粉が山盛りのバケツに柄杓を突っ込み、良崎に渡す。


「おっとぉ、マスカラスマン、勢いが強すぎてきな粉が減ってきているぞ? 顔面のきな粉の塗装が剥げて(メン)が割れちまう! どうするリーベルト!?」


「そりゃ……今助けますよ、マスカラスマン!」


 マスカラスマンの後頭部に柄杓できな粉をドーンと降らせる!


「パー!」


 マスカラスマンの聞いたこともないような怒声!


「よし! マスカラスマンの素顔は守られたな! じゃあこっちはこっちでシークレットファクターの回収でもすっか」


「ええ、そうしましょう。でも特撮スタッフ的にきな粉ダイバーでよかったんですか? 地中戦も作れたら趣味的に大きそうなんですけど」


「それはいいところついてきたなーリーベルト。これな、お前いいところついてきたぜ。いいか、ネタバレイエローになるから言葉を少なくして察してくれ。いいな? 察してくれ。特撮の世界にはな、もう滅びかけている技術がある。それは操演と呼ばれる類のものだ。この操演ってのは天井からピアノ線で操るってもんなんだが、この技術の真骨頂と呼ばれるのが、着ぐるみの中に入れないようなフォルムの怪獣、つまり昆虫系の怪獣だ。えー、ヒゲには隠して……こちら、カマキリのカマキラス、クモのクモンガ、そしてガの成虫モスラ。コイツらはこれ上からのピアノ線でやってる」


「はぁあ~。なるほどそういうことですねー」


 良崎察した。特撮スタッフはおそらく、次の操演に備えて予算削減で地中戦を捨ててきな粉ダイバーにしたのだろう。


「そういうことだ。えー、そしてこの回のシークレットファクターは確か、熱膨張か?」


 ピコーン! シークレットファクター回収!


「温めると大きくなるんですよね」


 ピコーン! シークレットファクター回収!


「しかしこの『ヴァンゲリ』においては熱くなって大きくなるのは特撮スタッフの空回る気力と借金ぐらいですよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ