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【転校生-! お前を殴らにゃ 気が済まん!】第8話 小林くんの記憶補完計画 うろ覚えヴァンゲリ その6

 ハーフタイム。


「雨宮、あれ大丈夫ですかね?」


「まぁ控えはいるから……と言いたいところだが、控え二人の内一人は正直、もう今回は謹慎でもいいんじゃねぇかなと俺は思ってる」


「……まぁチャンスはあげましょうよ。わたしも怒ってはいますけど、まだ許せますから」


「上のお姉さんも、あの件はおいしいという前向きな意見もあると同時にヒドイと批判はしていた」


 上のお姉さん怖いな。


「星野の話はいいんですよ。雨宮の話ですよ」


「雨宮はなぁ……。あれまた治療と健康の聞き取り調査してるけど、体力的にもう無理って場合と精神的にもう無理って場合は、二子のところに送って回復の呪文をかけて休んでもらう」


「でもなぁ……。雨宮がかわいそうなんですよ。本人はきっとやり遂げたがってるだろうし、ここで交代は不憫です」


「ただ、ただ幸いにもヒゲの記憶次第では……」


「そうなんですよねぇ」


 そう。ヒゲの記憶が正しければしばらく『ヴァンゲリ』0号は出番がないので雨宮さんの休養と『ヴァンゲリ』0号のメンテというか演出の大幅下方調整ができる。ただしそれを言うとネタバレイエローが出るので言えない。


「人は忘れることで生きていける。だが忘れてはならないこともある」


「おいなんですかヒゲ。殴りますよ!? あなた忘れちゃいけないこと忘れまくってるじゃないですかおぉい!」


 横暴なヒゲの態度で良崎よ阿修羅になれ!


「本当にこれの何が腹立つって、わたしも雨宮もこんなヒドイ目に遭っててしかも雨宮負傷っていうのが人為的ミスだってことですよ。雨宮の不万全も、これが台風で転んだとかカラスにメガネついばまれたとかなら、台風とかカラスとかは責めてもしょうがないし責めても改善できないから怒りも収まりますがこれ全ッ部人間のせいで起きてることですからね、負傷も激痛もそもそもこの拉致も。いいですか、スタッフ! あなたたちがプロになれなかったのはプロ意識の欠如です! プロは自分が楽しむためだけに作るのではない! 観る人、プレイする人が楽しめるために映像やゲームを作るんです! 一番楽しいのがあなたたちのうちはあなたたちはプロにはなれない!」




第七話

人の造りしもの




「教訓だねぇ」


「なんですか? いちいち鬱陶しいですねこのヒゲは」


「教訓と収穫とプロ意識という点では、咲ちゃんは非常によい人材だと聞きましたよ陣内さん」


 腕組みをしていたハイジさんがブンブン頷く。


「アイツヤバイ」


「アイツって言わないでください」


 桜井、自慢の彼女のアイツ呼ばわりにやや難色。


「そもそもな、学生レベルで映像作品を作る時の俺の最適解はサイレントなんだよ。大根がごまかせるからな。サイレントで見た目と好感度がいい奴出しときゃいいんだよ。CMと一緒だよ。見た目で言やウチにもリーベルトがいるがもう好感度もない。それに咲ちゃんは現場の時点でも指示待ちじゃなくいろいろ質問したり話しかけたりしてよくしようよくしようとしてた。緊張で落ち着きがなくなってたのかもしれないが、やっぱり整った顔面から来る好感度は初見では最強のアドバンテージだな」


「まさか、我々の様な最も環境で恵まれている大学でくすぶってるクリエーターたちの救世主が、後輩の他校に行ってる彼女だったとは……。今後咲ちゃん需要増えますね」


 ヒゲとノッポ、新たなオモチャの発見に悪だくみのニヤつき。桜井は彼女べた褒めされているがムムム顔だ。


「安心しろ。今日は咲ちゃん再登板はない」


「ならよかったです」


 ハァーとハイジさんがロングブレスで間。


「学食行くか。ほい、お前ら。食券だ」


「え、食券出るんですか?」


「ああ。ただし雨宮にはお前らの3倍の報酬を出そうと思ってる」


「気持ちとしてはいい心がけですけど、いろんな人に怒られそうだから食券3倍を示談金にしてこれまでのことを水に流せってんなら安すぎますね」




【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】

【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】




「アレ?」


 学食からの帰り道、貯水池に軍艦かいくつも浮かび、池の周囲には見覚えのある筐体(赤)と見覚えのある顔ぶれが……


「陣内さん、アレッ?」


 ハイジさんの手にはいつの間にかマイクが……。


「さぁ君たち! 今回はいよいよ、プロレスのリングから新しい『ヴァンゲリ』パイロットが来るぞ! 『ヴァンゲリ』2号がリーベルトとあっ!」


 ハイジさんが顔をギュワァッ!! としかめて脱力してしまった。


「スマン、リーベルト……」


「え、何がですか?」


「いや、今リーベルトって言っちゃったから次もお前だわ」


「いえ、それはもういいですよ。これ以上『ヴァンゲリ』パイロット被害者を出さないためにも、わたしがずっと出ますよ。幸いにも『ヴァンゲリ』1号は痛いだけでケガしないですし。この流れだと『ヴァンゲリ』2号パイロットはザコ仮面のようですが、2号がどれだけ危険でも彼はまさに受け身のプロ兼死んでもいい人の筆頭ですから。気にせず進めなさいよ」


「すまんな。じゃあやりなおすから。フゥー……さぁ君たち! 今回はいよいよ、プロレスのリングから新しい『ヴァンゲリ』パイロットが来るぞ! 『ヴァンゲリ』2号がリーベルトと力を合わせてやっつける最初の相手は、怪獣魚。さぁ次回もみんなで見よう! モニターカモン」


 ハイジさんの合図で『演劇サークル』お抱えの特殊なスキルを持った人たちの高速設置で我々の前にモニターが。そして密かに、密かに……今まで出番のなかった「控え」の二人、即ち星野と桜井が意気消沈!!

 そう……ヒゲの記憶が正しければ、うろおぼえ『ヴァンゲリ』のルート分岐でこっちのルートに来た場合、この二人はどちらかが『ヴァンゲリ』3号に搭乗して『ヴァンゲリ』1号に握りつぶされ、どちらかがまた別の機会に『ヴァンゲリ』1号に生身で握り殺される。よきタイミングで「お疲れ様リーベルト先輩。次はわたしが出るよ」と『ヴァンゲリ』1号に逃れることもできただろうが、まさかの良崎の『ヴァンゲリ』1号完走宣言でそれもできなくなった……。

 そんな意気消沈の星野・桜井コンビをよそにモニターには今、貯水池に浮かんでいるのと同じモデルの軍艦のミニチュアが浮かんでいる映像。


「えー、こちらは特撮用大プールで撮影した、特撮スタッフが全精力を挙げて作った魚vs防衛軍! 海の質感は、海面に寒天を使うことで再現する特撮の神様・円谷英二考案のクラシックスタイルです」


 ハイ、特撮スタッフが全精力ー。すごいがちょっと食傷気味。


「ッチャーンスッ!」


 の唐突なセリフと同時にピコーン! シークレットファクター回収!


 デデデデデデデ

 デー! デデデデン! デーデデンデンデデン!


 二岡(元読売ジャイアンツ→北海道日本ハムファイターズ所属の内野手)の打席入場曲を背景に、『演劇サークル』お抱えの特殊なスキルを持った人たちの高速設置のカクテル光線が入り乱れ、ブシューと炭酸ガスが噴射!


「赤コーナー、174センチ、133パァウン! 西東京市出身ッ! マスカラァァァ~~~スマァ~ン!」


 近くの草むらからボロ布マントに身を包んだマスカラスマン(ミル・マスカラスレプリカ装着済み)が大ジャンプで出現! ボロ布マントを放り投げ、我らのヒーロー、西東京出身の仮面貴族の登場だ!!




第八話

マスカラス、来日




「待たせたな。俺が『ヴァンゲリ』2号パイロットだ。そういうことだ。リーベルト、乗りな」


 親指と顎でクイっと赤い『ヴァンゲリ』2号に良崎を誘うマスカラスマン。良崎は無言でついていき、『ヴァンゲリ』2号に二人乗り。ピコーン! シークレットファクター回収!


「……ツー」


 『ヴァンゲリ』に乗ったはいいものの、勝手がわからず『ヴァンゲリ』2号内部でマスカラスマンが困ってるのがわかる。「ツー……」はマスカラスマンが若干手詰まり感を感じているときに発する、マスカラスマンが困っていることを知らせる吐息なのだ!


「……」


 そして手を貸さない良崎!


「えー、あ、おいリーベルト、ちゃんとドイツ語で考えろ!」


 ピコーン! シークレットファクター回収!


「Ich verstehe」


「ツッ!?」


「Bist du in Ordnung? Bitte fest, lachen Máscaras-Man」


「おいリーベルト……」


「お前ナメてたでしょう」


「それは、正直スマンかった」


「まぁわたしも大人げなかったですけど、お前にナメられたままはちょっとイヤだったんでね。えぇーとなんでしたっけ? バァウムクーヘン?」


 ピコーン! シークレットファクター回収!


「すまないな」


「ええ。しかしマスカラスマン、これきっとお前の想像以上にキツいんで腹くくった方がいいですよ」


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