【転校生-! お前を殴らにゃ 気が済まん!】第7話 小林くんの記憶補完計画 うろ覚えヴァンゲリ その5
「はい、じゃあもうそこに金持ちの灰皿来てるから。リーベルトさん。『ヴァンゲリ』のほうにどうぞ」
オーロラビジョンには既に、近所まで来てる金持ちの灰皿が!
「はい」
「それでは『ヴァンゲリ』1号、リフトオフ!」
ガシャッ! シャー……ズッダァンッ!
「ん? 金持ちの灰皿内部に高エネルギー反応! 避けろリーベルト!」
ピカッ……ドォン!
「痛い痛い! あれおかしいおかしい! メンテしたはずなのに痛いですよ!?」
「クソ、やむを得ない。プラグを緊急射出! パイロットの生命保持を最優先! と行きたいところだがそうすると『ヴァンゲリ』がもう使えなくなるので少し考えさせてください」
「いや早く床を抜いて『ヴァンゲリ』を地下に回収するんですって痛い痛い! ああこれ思っていた以上に痛いな!」
「その前に防護壁を出したはずだ!」
ガシッ! ダァンッと防護壁がせり出て金持ちの灰皿のビームから『ヴァンゲリ』1号を守るが即座に貫通!
「痛い、痛い、これもう出ますよ!? 降りますよ!?」
「『ヴァンゲリ』を回収!」
ボォンと地面ごと『ヴァンゲリ』が陥没、金持ちの灰皿のビームの射程範囲から逃れる。
「……ッ痛いですよ依然変わりなく! 楽しめない!」
あれだけ完成品のvs金持ちの灰皿を楽しみにしていた良崎は降りて早々鬼の形相!
「リーベルトさんも思わずキレるこの“技術力”! お墨付きですねぇ!」
「その“技術力”楽しめないですよ! 思うに、この痛みまでリアルに再現してしまう熱さが敬遠されてこの人たち就職できなかったんじゃないでしょうか。さまざまな職業にプロ、という肩書が存在する理由が身にしみましたよ。プロは空回らない!」
「それは言わないでやってやれ。アイツらは再現できた嬉しさでちょっとおかしくなってるから」
「その一方でうろ覚えのヒゲはいい御身分ですよ。原作でもこの時ヒゲが何かいい手を考えてくれてたかどうかも覚えてないですもん」
「だがリーベルト。思い出して考えてもみてくれ。このヒゲがなんにも覚えてないせいで俺はヒゲ以外の大人の人間全員を一人でやってるんだぞ。俺は一人何役だ? これじゃあいろんな失敗や足踏みがみんなでああしようこうしようってやってんじゃなくて俺一人が自問自答のバカだぞ」
「だから結局ヒゲが全部悪いんですよ、原作も『ヴァンゲリ』も」
「さぁ愚痴はここまでだ。金持ちの灰皿は依然基地の上の方にいるまま。下の方を伸ばして地表を掘り進み本丸に進んでいる。近寄るとビームで撃たれるので遠くから攻撃しているが全てを撃ち落とし敵さんは無傷だ。半端な攻撃じゃ通用しない。攻守ともにパーペキだ」
ピコーン! シークレットファクター回収!
「そういうことで日本中の電力を集めてそれを使ってでっけぇ銃で悟られないぐらい遠くから撃ってアイツを殺す。それは俺がコネで借りてくるから。ただしこの銃は重いので持って動けない」
「撃ち返されたら終わりってことですね」
ピコーン! シークレットファクター回収!
「まぁ、そういうことなんだがいざとなったら死んでも代わりがいるヤツを間に挟んでどうにかする」
「そういう体でしたけど雨宮に代わりはいませんからね?」
「まぁ実際、『ヴァンゲリ』は痛いらしいけどケガはしないからさ」
「いやでも雨宮は酔って吐いてます。『ヴァンゲリ』0号は少しマイルドにしてあげましょう。あの子はそんなに刺激とか求めてないですから。こういう刺激求めてない。というかこの刺激だとあの子はダメな方向に向かいます。あの子はわたしたちのお人形じゃないんですから」
「だからそういうところはお前や星野がカバーしていけ。出来るな?」
「やりましょう」
「それじゃあ銃専用コントローラーを『ヴァンゲリ』1号に接続するのでしばし、特撮スタッフが全精力をかけて作った地球防衛軍vs金持ちの灰皿の壮絶な大迫力の戦闘シーンをご覧ください」
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
「それじゃあ狙撃作戦! 銃担当は、『ヴァンゲリ』1号のリーベルト! 盾担当が0号の雨宮! それでは所定の位置にどうぞ」
良崎と雨宮さんがそれぞれ『ヴァンゲリ』筐体1号0号へ。
「消えゆく夜景を背景に、次々に砲台を襲う光怪獣金持ちの灰皿! 夜の大都会を舞台に防衛軍の起死回生の死闘が展開する! 立てリーベルト! 立つのだ我らが『ヴァンゲリ』! さぁ、次回もみんなで見よう!」
「この銃大きいですねぇ。この銃に対応したメンテと調整は済んでるんですよね?」
「さぁ、次回もみんなで見よう!」
「おい待ってくださいよ。これメンテしてないんですか?」
「そりゃお前、予行練習したらバレるだろうが。停電してたらアレって思うぞ、灰皿も。アイツは頭のいい怪獣なんだからさぁ」
「おいマジですか……。無理無理無理! 特撮のクオリティ高すぎて撃つの怖いんですって! 試射はしましたよね?」
「さぁ次回もみんなで見よう!」
「ガッチャメラエー!」
「それではスタート。始まって照準があったら自動で撃ちます」
デンデンデンデンドンドン
「なんでわたしがこんなことしなきゃいけないんですか……。特撮オタクの就活の手伝いなんて……そんな重要なことを何で他人のわたしが……そもそもなんでこの5月っていうタイミングなんだ……。うわ、照準合った」
ピカッ……ドォーン! と引くほどの技術力。本当に試射していなかったようで観に来ていた特撮スタッフ歓喜の拍手。どうせなら良崎なんか使わなきゃよかったのに。せっかくの技術力が罰ゲーム用途になってしまっている。そして良崎のでかい銃での狙撃は失敗! 狙撃に気付いた金持ちの灰皿が動けない『ヴァンゲリ』1号に反撃のビーム!
「雨宮!」
そして盾を持った雨宮の『ヴァンゲリ』0号が割って入ったぁ! 『ヴァンゲリ』1号、かろうじて無事! 銃身を死守!
「ううう」
しかし割って入ってる『ヴァンゲリ』0号の雨宮さんはビームの直撃でまた酔ってるのか!? ダメージ演出の光・振動共にかなり強めのようだ。
「確認不要! 2撃目!」
「焼き払え!」
なんとなく息の合ったハイジさんと良崎の掛け声で今度は『ヴァンゲリ』1号の狙撃も命中! 金持ちの灰皿を光の銃弾が貫き完全に沈黙!
「雨宮ー!」
即座に『ヴァンゲリ』1号を乗り捨てた良崎、星野、ハイジさんが『ヴァンゲリ』0号の雨宮さんのもとに集まるが……。
「ハッハッハッハッハ!」
ハイジさんが突如爆笑。
「笑え。笑えよお前ら。こういう時、笑え。そうすれば事故っぽく見えなくなるから笑え! そうすれば事故でもパワハラでもねぇから! 笑い声を入れるんだ! あと『ヴァンゲリ』0号のメンテしたヤツ出頭しろ」





