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【やめるんだ! 利き手はやめろ! ブルガリア!】第14話 驚くなかれ! 大学発見 その12

 鬼畜お姉さんがベベベベベっと札束を数える。


「足りないわ」


 超コワイ。


「ハイ……」


 ハイジさん正座で俯く。


「累進課税としてお金持ってる子もっと出して。ないならしょうがないからわたし出すけど」


「本当にすみませんでした!」


「いいのよ。しょうがないの。貸せない額じゃないから。いくらだったかしら。30万?」


 でも業者以外、それも大学生から借りていい額じゃないんだよ。


「あ」


「どうしたの星野さん」


「そういえばわたしも30万持ってた」


「あら! じゃああなたが貸してあげたら?」


「それは別にかまわないんだけど……」


 星野がリアル謙虚にハイジさんに目くばせ。ハイジさん!! 星野にガチで気を使われる!


「いらん……」


 ハイジさん必死の抵抗。


「でもどうやって払うの? 陣内亭一葉くん」


「真琴が貸してくれないなら今妹呼ぶから」


 後輩から借りるくらいなら無職の妹から借りる!


「本当にそれでいいの陣内亭一葉くん」


「その……真琴、その陣内亭イチヨウくんってのは……」


「え? 違ったかしら? そんな和服なんか着てて……」


「!!!!」


 ハイジさん何かに気付く。


「ほら、妹さん呼ぶの? イチヨウくん」


 鬼畜お姉さんが正座するハイジさんの前にすっと扇子を置く。


「……えー、昔っから人間には一つ恐ろしいものがあるって言いましてね。それが俺たちにとっては豪州大陸だったり関越自動車道だったりするんだがこーいうのは特殊な例で、もっと世の中で怖がられてるもんがあるもんです」


「いよっ、イチヨウ版『饅頭怖い』! さぁどんなアレンジかしら!」


 アレンジしなきゃいけなくなったー!


「えー、ドンドンドン! ドンドンドン! お兄さん! お兄さぁん! ちょっと! 好きなんでしょおっぱい! 好きなんでしょうエロとか女体とか! ドンドンドン! お兄さん! いい加減観念して認めなさいよ! アンタ自分が女体好きだってわかってるんでしょ! そう。これは女体が恐ろしい『女体恐い』というお話です。いよいよ夏真っ盛り! これから合宿だ海だと女体女体で女体に塗れる季節が大学生の夏休みってもん。そういうイメージされるのが意外と大学生はそういう機会に恵まれない。男と女の付き合いや交わりも世の中と一緒でプロレタリアートとブルジョワジーに分かれる格差社会。プロレタリアートは本番よりもよっぽど下品な猥談を交わす。そんな三人がいつものように集まってワイワイガヤガヤくだらねぇ話をしてたんだが、夏だってことで猥談か怪談かってことになって怖いモンの話をすることにした。一人目の三吉はクモが怖い。あいつぁ足も目も8つ、同じでかさになったら人間の8倍×8倍で64倍強い。糸を出せるってことを考えるとさらに倍で人間の128倍は強いだろう。おうおうおうそんなでかいクモはいねぇぜそんな新種がいるもんなら見てみたいもんだぜ。いやいやそんなクモはいねぇよと鼻で笑ったのは見栄っ張りで力自慢の八五郎だ。いや八五郎よ。もちろんな、もちろんそんなクモは見つからねぇよ。みんな怖くて逃げちまうし運悪く出会った日にゃもう二度と思い出したくもねぇ。記憶からなかったことにしちまうさ。だがそんなクモがいたら、もし、もしいたとしただな。そのクモはハチゴロウグモって名前になるぜ。俺はクモなんか全然怖くねぇからな。とドーンと胸を張る。しっかし人間ってのはクモかヘビ、必ずどっちかが怖いと手塚治虫も言っていたもんで、人間と同じでかさのクモが怖くない八五郎も昔プロレスラーからアナコンダバイスとコブラツイストを食らって以降実はヘビが大の苦手。もちろん見栄っ張りの八五郎はそんなことは黙ってる。おい。じゃあ正一よ。お前はなんかこわいもんはないのかい。え、俺かい? 俺ぁね……うん……本当に情けねぇ、本当に情けねぇ話だが俺ぁ……女体が怖いんだ。怖いんだよぉう。泣き出す正一。だって、だってよぉう。あのおっぱいってのはなんだか目玉模様みたいでおっそろしい。蛾だって羽の目玉模様で取りだっておっぱらちまうんだぜそれに――――」


 卑猥単語。


「ダメだぁ……お終いだぁ……おとっつぁん、おかっつぁんじいちゃんにばあちゃん先祖にゃとっても顔向けできねぇが一家の血筋は俺で終いだぁ。ヒックヒック泣く正一。その魂胆は落語の『饅頭怖い』のマネをして、三吉と八五郎が卑猥書籍を自分に叩き付けてくることだったんだがそんなちいせぇ肝は見透かされてて二人はちっとも慰めない。しょうがねぇから解散した後自分で自分を慰める。明日は卑猥書籍持って来るかな三吉と八五郎。しょうがねぇ。今日も自分で……っと。そうしていると! ドンドンドン! ドンドンドン! 下宿の扉を叩く音がする! 三吉と八五郎か!? ドンドンドン! ドンドンドン! お兄さん! お兄さんいるんでしょう!? わかってんでしょう!? 有料アダルトサイトの集金でーす! お兄さぁーん! 正一さぁーん! 出てこないなぁ。もっとでかい声で呼べば出てくるかなぁー!!! お兄さぁーん! 女体! 見たでしょう!? 好きなんでしょう!? ウワァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」


 ウワアアアアアアアアオバケ出ないタイプの怖い話だァー!


「ウウウウ女体コワイ女体コワイ……もう女体は勘弁だァ~。……と、落語も女体も生で本物に限る、というお話でございました。……。…………ッ。フゥー……。殺せよ」


 悲しい静寂。


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