【やめるんだ! 利き手はやめろ! ブルガリア!】第6話 驚くなかれ! 大学発見 その4
こんばんは。オヒサシブリのドクターKこと梶井基九次郎の前枠後枠です。さて、大学のレベルの高さを受験生たちに教えるため、大学各地を巡る『驚くなかれ! 大学発見』、今夜はその第4夜です。大学のすごさをアピールすためには驚いた方がいいのでは? という声も寄せられましたが、違います。驚かないのです。なぜなら高校生たちが驚くようなことでも大学生にとっては驚くほどでもない日常だからです。僕も医学部生として大学プロレスや裏学祭のリングドクターをやったこともありますがいちいち驚いてはいられません。女の子がボッコボコにされることも日常です。そういえば、みなさん、知っていましたか? 女の子がボコボコにされてるシーンに性的興奮を覚えることを日本では「猟奇的なオナニー」略して「リョナ」と言いますが、英語ではマンガ『ドラゴンボール』でビーデルという女性キャラがスポポビッチというキャラクターにボコボコにされるシーンがあり、それが語源で英語ではリョナはスポポビッチというのです。スポポビッチをオカズにゴハンがススム? ……チャンネルは、そのまま!
急遽勃発! 演劇サークルvs悪学部の漫才師ヤスのあだ名対決!
漫才師のヤスが我々一人一人にあだ名をつけていき、我々が動揺したら負け! 逆に我々を動揺させられずさらにウケも取れなかったら薬流通レディ姐さんから劣化ウラン製ハリセンでのお仕置きが待っている。熾烈な戦いになるぞ。
「ヤス! まずは陣内からやってやんな!」
「へい姐さん! 陣内、お前のあだ名は『傾奇者気取りの留年坊ちゃま』だ」
凡リアクション。
「ヤス! 歯を食いしばりな!」
ヤクルートレディ姐さんがハリセンを振りかぶり……フルスイング! トリプルスリーを達成したヤクルトスワローズの若きスラッガー、山田哲人のスイングのようだ! そしてやはり劣化ウラン製! 素材が重くてハリセンが展開せず、スイングの瞬間も畳まれたままでただの劣化ウランの棒だった!
「俺もうソレ系のことは陣内とかハイジとかそういう呼び方以上に言われてるから」
ハイジさん無傷の勝利。
「ヤス! 次は烏丸だ!」
ビーッ。ここまで最も冷静だったマスカラスマン、本名を呼ばれて鳴る。
「おい、本名だけはマジで呼ぶな。そんなに知られているのか、俺が烏丸だってことは」
「知ってるやつは知ってる」
「ならこれ以上吹聴するな! 俺にとっては死活問題なんだぞ! わかってるのか!」
マジギレ!
「アタイらは悪だからねぇ!」
イヒヒヒヒと悪い笑みを漏らすヤクルートレディ姐さん。そして執行人が到着、マスカラスマンの耳があるあたりに、内緒話をするように口を近づけMAXの音量で「あー!」と絶叫! マスカラスマンの鼓膜が!
「どうだい? 痛かったかい?」
「フ、俺は正義のプロレスラーマスカラスマン。俺を恨む悪人は少なくないだろうさ」
「ハーハッハッハ! 正義が聞いて呆れるね! ヤス! あだ名をつけてやんな!」
「ヘイ! マスカラスマン、お前のあだ名は『カラスマ・ツバキ』だ」
「それがどぉうした!」
マスカラスマン、一回テンションが上がったまんま、下がって来ないので心拍数のNGラインを下から割る、ということがなくなった。なんという攻略法! 一回は危害を加えられるが、それ以降ずっとハイテンションを保つことで次の危害を躱す! この攻略法は使いたいが……あとは勇気だけだ!
「フハーハッハッハ! その程度で俺たちをどうにかできると思うなよ!」
マスカラスマンはもう大丈夫だろう。
「ヤス! 歯ぁ食いしばりな!」
バスーン! ヤクルートレディ姐さんが王貞治の持つシーズン本塁打55本の記録を塗り替えたヤクルトスワローズ・オランダの怪人ウラディミール・バレンティン並のフルスイング! お仕置きを後頭部に受けたヤスはうつ伏せに倒れたまま5秒ほど起き上がってこなかった。失神していたようだ。
「……?」
失神してしまった時ってそうだよな。まず自分が失神していたってことに気付いてないから。
「ヤス! 次は小林だよ!」
「へい! 小林! お前のあだ名は『ヒゲメガネ』だ! ……姐さんお願いしやす!」
ヤス自害!
「歯ぁ食いしばりな!」
ヤクルートレディ姐さんが強力打線の超攻撃型二番打者として2015年混戦セ・リーグのペナント奪取に貢献した天才的バットコントロールが持ち味でイケメン、妹もプロ野球選手のヤクルトスワローズ川端のようなスイング!
「ヤス、まだやれるかい?」
「やれますよ。やらしてくださいよ」
「ならやってやれよ! 次はリーベルトだ!」
「リーベルト! お前のあだ名は『リーベルサポーター』だ!」
「……?」
リーベルトのみならずヤクルートレディ姐さんまでもキョトン!
「リーベルサポーターっていうのはアルゼンチンのサッカーチームのサポーターで、簡単に言えばフーリガンってヤツで、クラブワールドカップで大騒ぎして大阪でコンビニを占拠したり……姐さんお願いします!」
ヤス自害!
「ヤス! 歯ぁ食いしばりな!」
ヤクルートレディ姐さんが謎の長打力と謎の選球眼でホームランとフォアボールばかりの歩く野球をやったりマスコットつばくろうにラリアットをして頭を吹っ飛ばしたり時空を歪ませた魔空間と呼ばれる守備を行ったりといろいろネタになったが頼られ愛されたちょっと懐かしのヤクルトスワローズの助っ人外国人魔将ガイエルのようなフルスイング!
「ヤス! まだやれるか!?」
「やれますよ! やらしてくださいよ! まだ元気ですよ俺は!」
「いや、心配なのはお前のダメージじゃなくてお前のお笑いセンスだ」
「大丈夫ですよ! やらしてくださいよ!」
「よし! じゃあ水原にあだ名をつけてやれ!」
「水原さんは特にないので『陣内のカキタレ』とかでいいっすかね」
ヤス適当! だがビビーッ! ハイジさんと水原さん同時に鳴る! 無表情だったヤスの口が耳まで裂けた。コイツ、ここを狙っていたのか! マスカラスマンとか良崎とかイジりがいのるヤツをわざと外して無能のイメージを植え付け、油断したところで一番無害な水原さんにマジ罵倒をすることで動揺を狙う! ヤス! 面白いかどうかは抜きにして吐き気を催すほどの邪悪! 意外とやり手だ。
水原さん! 呆然! だが鳴ったということは何を言われたかはわかっているのだろう。
「ヤスつったか。お前後でちょっと面貸せ」
ハイジさん、平静を保っているが穏やかな心で激しい怒りの状態なのでスーパー陣内2まで無意識に行ってしまっている。
「ヤス、今のは本当にないぞ。アタイもがっかりしたよ」
後ろ盾をなくしても尚ヤスはまだニヤニヤとしている。
「あらあら、嫌われちゃいましたねぇ」
まるでそれが嬉しいかのように! このゲス野郎!
だがビーッって鳴ってしまった。
「え、二人か?」
我々に恨みを持ち危害を加えに来る白頭巾に白装束に目玉模様の執行人が二人やってくる。水原さんは家族に恨みポイント加算のはずだからハイジさんが二人がかりでやられるのか?
執行人のでかい方がハイジさんに回し蹴り! スーパー陣内2の変身が解け数メートル吹っ飛ばされ、ハイジさんまた仰向けに倒れる。そして小さい方が良崎に何か紙を渡し、水原さんの上着のポケットから財布を引っ張り出す。そこから紙幣を何枚か抜き、運転免許証も抜き取って地面に置いた後、ラッコのように石を叩き付けて免許を真っ二つに!
「水原さんの弟の金吾くんが入試において非常に優秀な成績を収め、さらに水原さんのお父さんはOBとして積極的に大学の活動を支援してくれているから出来る範囲で水原さんに危害、って書いてあります」
「じゃあ今のって軽い方なの?」
軽くなった財布を拾いながら水原さんが震える声で訊く。じんわりと涙が浮かび、頬を伝っている。
「うぅ……」
「あぁーあああ胸糞悪ぃ! 胸糞悪ぃよぉ……」
仰向けに倒れたままハイジさんがワールドカップで散ったフットボーラーのように顔を覆う。これ本当にきついな。
さぁ、いかがだってでしょうか『驚くなかれ! 大学発見!』第4夜! 次回もお楽しみにぃ! とは今回ばかりは言えません。辛すぎますね。頑張ってください演劇サークル!





