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【やめるんだ! 利き手はやめろ! ブルガリア!】第2話 マスカラスマンの修行

 修業としてマスカラスマンがインディーズプロレスのパチンコ屋のドサ周りに参加するから観に来いと言う。何アイツスゲェ。そういえばアイツはもう4年になるんだった。マジメに学業に取り組み単位も滞りなく取得し教員からの信頼も厚いが就活する気を見せずに金髪に赤メッシュでフザけてるのかと常に一定の尊敬と軽蔑をしていたが尊敬の方に大きく傾いた。


「……アレか」


「アレですね」


 ハイジさん、水原さん、良崎、小林氏に加え最近ヒマなのかいつもいる鬼畜お姉さんのメンバーでドサ周り。鬼畜お姉さんは寂しいのか? いや、今回はパチンコ屋のドサ周りなのでお遊戯が目的だろう。既に3万吸われている。

 そして肝心のマスカラスマンだが、どうやらレスラーとしてではないようだ。着ぐるみのようだ。そっちの修業か。あと1年で卒業できるのにそっちの学びを辞めないとは……バカがつくほど大真面目、さすが後輩から一定の尊敬と軽蔑を集めるマスカラスマン。

 プロレスの試合の方はインディーズなので塩試合が多かった。我々は世界最高峰のアメリカプロレスを生観戦してしまって目が肥えているからかもしれないが、動きは悪いし体も貧弱だったりデブだったり。だが小細工やユーモアでカバーしているその試合っぷりは体格と才能に恵まれなかったマスカラスマンが学校でやっている文化系プロレスのプロ仕様。マスカラスマンが本気でプロを目指すのならWWEや新日のようなガチ大手プロレスよりもこっちの方がいいだろう。だからマスカラスマン……せめてレスラーを目指してくれ……。着ぐるみでいいのか、お前……。

 ツッタカツッタカクルクルシュピーン! のいつものエッちゃんのムーブを他団体でやってるマスカラスマン。その動きは洗練されておりウケもよい。でも本当にお前がなりたいのはそれですか。


「今日は、どうも、みなさん! ありがとうございます! コイツもね、喜んでますよ!」


 エース級とみられる、他団体でも通用しそうな体型と声質、マイクの能力を持ったレスラーが着ぐるみマスカラスマンの手を取ってご挨拶。


「あ゛りがとう゛!」


「マスコットが……」


 キッ! グワァー……


「しゃべるんじゃねぇッ!」


 バキィッ! 


(2カメ)

「じゃねぇッ!」


(3カメ)

「じゃねぇッ!」


(4カメ)

「じゃねぇッ!」


 バッキィーッィィィン!


 プ、プロ格闘家のマジミドルキックがマスカラスマンに炸裂! 表情を変えずに体をくの字に折ってもだえる着ぐるみ! お約束なのか笑う常連客! 同じサークルの仲間がプロ格闘家のマジキックを食らって呆然とする俺たち!!! 運動音痴の女良崎やモヤシのハイジさんのキックとは訳が違うぞ! さっきまで試合をしていて体が温まってるプロレスラーのキックだぞ!


「ごめんな゛さい゛」


「なんべんも……」


 キッ! グワー……


「言わすな!」


 バキィッ!


(2カメ)

「すな!」


(3カメ)

「すな!」


(4カメ)

「すな!」


 バッキィーッィィィン!


 ウェスタンラリアット! 4アングルで見えた! なんだあのレスラー!? 試合の時は塩だったのに着ぐるみいじりの時だけはIWGP級か!? マスカラスマン、ついに両手をつく! アレ、マジで「入った」んじゃないか? 呼吸が痛みを全力で分散させる形態になってる。それすらも着ぐるみでまともにできているかわからない。


「うぅ……」


「声を……」


 キッ! と睨んでコーナーを登り……飛ぶ!


「出すな!」


(2カメ)

「すな!」


(3カメ)

「すな!」


(4カメ)

「すな!」


 ムーンサルトだぁー! ほぉー、こんなダサイタマと東京の狭間のパチンコ屋で、まともに身動き取れないアルバイトの大学生相手に見事なムーンサルトじゃのう! しかしその後も……


「るな!」


(2カメ)

「るな!」


(3カメ)

「るな!」


(4カメ)

「るな!」


 オクラホマスタンビート!


(2カメ)

「だろ!」


(3カメ)

「だろ!」


(4カメ)

「だろ!」


 スタナー!


(2カメ)

「しろ!」


(3カメ)

「しろ!」


(4カメ)

「しろ!」


 ヘルミッショネル並のクロスボンバー!!! とマスカラスマンは技を受け続けた。自分でも信じがたいが……仲間がやられていると言う怒りと……可哀そうだ、という気持ちが今、心にある。


「マスカラスマンが見せたかったのは、修業の成果ではなくこれだったのかもしれないな」


 ハイジさん、もう笑っていられない。非常に深刻な顔をしている。


「わたしたちがもっと早くに気付いてあげるべきでした」


「あぁ。プロレスは危険だ」


「絶対にマネしちゃいけませんね!」


 プロレスはマネするな! そして家庭内暴力やイジメにも絶対反対だ! 加害者側にその意識はなくとも被害者側は心身にダメージを受けていることがある! 「ついカッとなっただけだから……」とかそんな謝罪で許していたら暴力は終わらない! 家庭内暴力の場合でも大事にしたくなかったら警察沙汰になる前にソーシャルワーカーさん等に相談して解決の道を探ろう! 職場でのハラスメントなら飯田橋の東京仕事センターの9階やパワハラSOSに電話をするんだ! ノーモア暴力!


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