【冬景色 寒くなければ いい景色】第5話 オーストラリア大陸縦断 その4
車が到着ハイジさんが片言の英語に流暢な俗語を交えてレンタカー屋を怒鳴りつけているレンタカー屋は全然悪びれない。ふざけてんのかこの国。
「キャンピングカー……」
良崎さん絶句。
キャンピングカー→飯が作れる&眠れる→最短5日の行程すべてが車中泊の可能性……。そして今回は、いつも旅にはついて来るけど別の車で随伴してるだけのヒゲの笑い袋が同じ車だ。初めての6人乗り! 酔ってもないのに吐きそう。
「クソがぁッ! ……フゥー……ということでようやく出発だ。まずリーベルト。お前調理係な」
ハイジさん始まる前からコンディションが最悪。
「嫌ですよ。ちゃんとしたところでご飯食べさせなさいよこの野郎」
「お前……ここはオーストラリアだぞ?」
「なんですか、それはさっきの陽気なレンタカー屋のマネですか?」
「思い出させんなクソがぁッ!」
ハイジさん怒りが収まらず街路樹にローキック!
「地図も読めねぇバカはせめて料理ぐらいしろ。俺は運転、水原とこばやっちゃんで地図と道選び、マスカラスが控え運転手、漢字もアルファベットも読めねぇ運転下手のお前に、せめて苦手なことを押し付けて嫌な思いをさせまいとする」
「それを先輩心だと言うのならお前は先輩っていうのはどういうものなのかあなた自身の先輩からもう一度習ってきてください」
「じゃあお前左ハンドル運転できるのかよ」
「……ッ料理は! なるべくレストランを見つけましょう」
「もちろんだ。誰もお前の飯なんか食いたくねぇんだよ。消去法だよ消去法」
「あぁん? お前の飯だけ毒入れてお前を消去してやろうか?」
「レストランなんかねぇよ。もう町出たら絶景しかねぇよ! 一面の絶景だよ!」
「……先人に学びましょう。織田信長式三段撃ちタクティクスで、一人運転してる間に火二人寝て、常に絶え間なく運転するようローテを組みましょう」
「おい、なんだアレ」
運転手一番手、ハイジさんが絶景を数時間運転したところで何かを見つけた。
「珍獣……?」
「珍獣だ!」
珍獣発見!
「おい車停めろ陣内」
「お前後で殺すからな」
ハイジさんと良崎が珍獣の正体を確かめるべく灼熱の大地を駆ける!
「おい、マジかよ! 翼の折れたエンジェルだ!」
「こんなの図鑑でも見たことないですよ! 新種?」
「いや、これは翼の折れたエンジェルだ」
「それ新種じゃないんですか?」
「……新種かもな。他に仲間がいるか確かめてみるか? おい、仲間はいるのか翼の折れたエンジェル。……そうかいないのか」
「これ一匹だけでも持ち帰れませんかね?」
「標本をつくる技術があるヤツがいねぇと夏だから腐るな。こばやっちゃんは……あ、そう。さすがにできないか。しょうがない。置いていくしかない」
「ニューネッシーを釣り上げた漁師の気持ちですよ。車の後ろに括り付けて引っ張ってくのはどうでしょう」
「それだと老人と海の気持ちを知ることになるな」
「……?」
「学がねぇな。でもこれ本当に新種か? 翼の折れたエンジェルじゃなくて翼が折れてる普通のエンジェルなんじゃね?」
「それだとダメなんですか?」
「だってお前、そりゃ翼の折れたエンジェルは翼の折れたエンジェルだから価値があるんだろ。もしこれが自分に価値を見出したくて、翼の折れたエンジェルに擬態している普通のエンジェルだとそれはただのケガしたエンジェルだ」
「そういうのも含めて専門家に見てもらうためにもやっぱりどうにかして持ってきませんか?」
「んー……無理だな。でも写真ぐらい撮っておくか。でも最後にもう一度だけ訊くぞ。お前は本当に翼の折れたエンジェルなんだな!? おい!」
【反省会】
なんだかんだで今年も開幕は『ふぉそみつ』で。





