【その狂気! 貴様は断じて トキではない!】第11話 48時間精神と時の部屋体験 その10
今回の! 『アブソリュートマングロリアス』は!
レジェンズ(※1)のメモリー(※2)がリメンバー(※3)出来なくなったぁ!? これじゃあグロリアス(※4)にもパルスオブザワイルド(※5)にもメタモルフュージョン(※6)できないぞ! これじゃあストレンジビースト(※7)やパラレルキメラ(※8)の襲撃に対して何もできない! でも、ユキ(※9)とジェイド(※10)はきちんと“アブソリュートマンジェイド:スノウブレイブ”(※11)に変身できる! やっぱりボクが未熟なのか……。しかし、ユキが同人イベント(※12)に行っている間に、ストレンジビースト、パロパーソン(※13)が川越(※14)に現れた……。こうなったら未熟でも何でもいい! ボクの力で守るんだ!
キシャー第8話『ボクの力』!
「!?」
脱衣所で小林氏の腹を直視した円谷くんが非凡なリアクション。小林氏が目を細くして円谷くんの視線にカウンターのメンチ。
「どうかしましたか、円谷くん」
「いや……。小林さんって着やせするタイプなんだね」
「女の子にそんなこと言ったらぶっ飛ばされますよ」
珍しいこともあったものだ。間接はともかく、対面では水原さんの次に優しいのでは、とされる小林氏が円谷くんに口答え。普段ならご機嫌取りでも何でもなく「ハハハ参ったなぁ!」で済ませる人が! 円谷くんのウザさは小林氏すらも鬼にするのか!?
「どうした。ケンカか」
「いえなんでもありませんよ」
「揉めんなよ。キツくなるから。なぁマスカラスマン?」
マッスルボディは傷つかない、とでも言いたげにタオルを腰に巻いたマスカラスマン(素顔)がポージング。まだ髪は黒に戻さないのか。というかもう地毛なのか、マスカラスマンの金髪赤メッシュ!?
「陣内くんと小林くんで肉を足して2で割ったらちょうどいいかもね」
「脂肪はいらねぇ。ラクダのコブじゃねぇんだから」
揉めんなって言ったのお前だろ! 一番風呂に入るべく、ハイジさんが浴室のスイッチをオン。ゴゥンゴゥン……
「おお、広いな。白いが」
「足下に気をつけよう。石鹸が転がってても気づかないぞ」
ハイジさんとマスカラスマンはテンションを上げるが、小林氏、桜井、円谷くんはジトーッとした梅雨時の風呂場のようなテンションである。三人とも天井を見上げ、何か探しているようだ。
「……」
「……」
「……」
そして天井の一点を見つめ、何もなかったかのように体を洗い始める。
「うわ、あぶねぇー。マジでマスカラスマンの言う通りだ。泡の類で足滑らすぞ」
「ソッスネー」
気の抜けた返事。
「ふふぅん」
小林氏の鼻息が荒い。そして天井を見上げる。何か異常だ。小林氏に何かが起こっている?
デン♪ デン♪ テーレレレンテレレーレーレー
ビィックゥゥゥーッ……ン。小林氏がアナウンスに異常反応! 『ドラゴンボールZ』がトラウマになっているようだ。
「刺客の時間です。『演劇サークル』の皆さまは、用意をしてください」
「なんだ刺客か。頼むよぉ~リーベルトさぁーん」
……小林氏の肩書は、『演劇部部長』及び『大学首脳陣・企画担当』である。本来黒子なのだが、ハイジさんの側近や学祭での良崎のセコンド等「多少出番のある黒子」である。そのため、何も命令されていない今は目立たないようにすべきなのだが様子がおかしい。
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
【帰ってきたうぉくのふぉそみつ】
「フゥーさっぱりしたぁ」
この精神と時の部屋で唯一マトモだった風呂を満喫し、ホクホクのハイジさんがのれんをくぐると女子三人が全員敗れたZ戦士のように満身創痍で床に転がっていた。全員、気力が抜けてしまったようで我々が戻ってきたことに対してもリアクションがない。
「リーベルト、リーベルト! 何があった!」
「ネイマールです……」
「ネイマール!? ネイマールに蹴られたのか?」
「いえ、なんかよくわかんないヤツと、イエローカードが累積2枚出るまでシミュレーションファウルするネイマールチャレンジしろって言われて……」
「ぷくっ」
「笑ったぁ? 今笑ったんですか!?」
「ちょっとやってみてくんない?」
「……陣内さんもやるんならいいですよ」
「ハイハイ、じゃあ行くぞ。うぁあああああ」
ハイジさんが後ろから蹴倒されたように床に転がり、足を抑えてのたうち回る。
「おぉぉぉえええぇぇえ……」
それに呼応するように良崎も連動して悶え苦しみ始める。
「ああぁぁぁあああ……」
「うぎぃぃいいい……星野と雨宮もやりなさいよオラッ!」
我に返ったのか良崎が涅槃に到達したかのように頬杖をついてため息。後輩二人は未だにやられたZ戦士のままだ。
「で、これ勝ったのか?」
「勝ちました。時間短縮2時間です」
48-4-10-2=32時間。
「2時間はしょべぇな」
「2時間でもわたしたちは頑張ったんですよ。これ疲れるんですよ、ネイマールチャレンジ」
「まぁネイマールってよりもデスノートに名前書かれた藤原竜也だな」
「僕はキラなんかじゃない信じてくれよぉぉぉおお!」
「死にたくねぇぇぇよぉぉぉ!」
アハハ。仲良しの演劇サークル司令塔(陣内)とエースストライカー(リーベルト)。本来は仲良しだからな。
「お、ディスクチェンジの時間か」
雨宮さんがディスクを取り出し、小林から新しいディスクをもらい、IN。小林氏も古いディスクを持ったままテレビを注視する。
テレーテッテッテッテテレテー
「お?」
始まったオープニングは、『ドラゴンボールZ』の第2のオープニング『WE GOTTA POWER』!
「あー……」
しかしこれはフェイント。CM明けは同じく、フリーザ戦の悟空の気溜めだ。ハイジさんと良崎ががっかりするが、本気ではない。もうわかってるってカンジだ。わかってたよ、この精神と時の部屋の仕掛け人! 誰か知らねぇがここまでわかってる情報だけでもテメーはクズだからな!
「あああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
しかし小林氏が大音声で絶叫!
「ウィーガーッパゥワー! チェックアウディスメーン!」
『WE GOTTA POWER』を歌いながらディスクの穴に指を通し、DJの如くスクラッチ! 小林氏、壊れる!
「ヤンチャァァァボォォォイ!」
「やべぇぞ! こばやっちゃんがフィヨルドに恋しちまった! 取り押さえるぞマスカラスマン!」
「オチャメェェェガァール! 陣内さん! 特別手当もらいますよ今回僕ぁ!」
シッチャカメッチャカな倒置法! そしてディスクをスクラッチ!
「やめろこばやっちゃん! 指が、指が赤くなってきてるから! もげる!」
「なんですかねぇ! 僕ぁもうコイツを気円斬したいんだ! 僕ぁ気円斬がしたいんだ! うぅウィーガーッパゥワー! ドラゴンボール! Z!」
「本当に危ないから気円斬はやめろ! 桜井! 手を貸せ!」
しかし桜井にも異変が……。ガクガクブルブルと震えているのだ!
「俺もそうなる……直に俺もそうなってしまうんダー!」
「桜井まで!」
「大丈夫、まだやれますよ、いけますが! そろそろキツイ、そう感じます」
桜井もギリギリの心境でフィヨルドに恋する直前のギリギリメンタル五・七・五・七・七。
「ふぅ……だいぶ落ち着いてきた……」
「指取れるぞ」
小林氏が何か吸ってキまったかのように目を見開き、細く長く息を吸って呼吸を整える。だがまだ小刻みなスクラッチはやめていない。
「タバコが吸えないんだもんなぁあああ! あああ! 考えるだけで、この後まだ何十時間も!」
「俺もタバコが吸いたいんダー!」
桜井も相当ヤバいぞ!
「うん? やっぱりタバコ吸えないよね? こう言っちゃ悪いがタバコ吸えないってわかってたらボクは来なかったよ」
タバコの禁断症状だったのか! 同じ喫煙者でもまだ禁煙時間が短い円谷くんは症状が軽い。だが、この状態が続けば円谷くんも近いうちにフィヨルドに恋してしまうのだ! もちろん、フィヨルドに恋した本人たちが一番つらいだろうが、同じ空間にいる我々の精神衛生上非常によくない。
「しょうがねぇよ。吸えよ」
「陣内さん……」
「吸え! 吸うんだこばやっちゃん! それでお前が正気を取り戻すなら、吸え!」
「でっ出来ません! 僕のポリシーに反するんです! 禁煙の部屋でタバコを吸うのは許しがあっても! すみっこの方で吸うならいいって話じゃあないんだ! どれだけすみっこだろうと、同じプールで漏らしたら全員まみれる! 同じ理屈でやってます!」
「風呂場で吸え。お前らチラチラ探してたろ、換気扇」
!!! そうか! 喫煙者三人が風呂場できょろきょろしていたのは換気扇の有無と場所!
「行け、こばやっちゃん! お前らは貴重な戦力なんだ!」
「申し訳ない、申し訳ない、僕らばっかり息抜きして……」
目元を拭う小林氏。クズめ! この部屋作ったヤツ!
※1-歴代アブソリュート戦士たちの総称。
※2-歴代アブソリュート戦士たちの記憶と力がインプットされたソフト。
※3-レジェンズのメモリーを再生・還元する行為。
※4-都築カイが変身する若手のアブソリュート戦士!
※5-44m 4万t グロリアスの形態の一つ。アブソリュートマンブロンコとアブソリュートマンマイトの力を宿した爆炎纏う剛腕鉄拳戦士!
※6-グロリアスから各形態に変身する行為。
※7-ストレンジリムゾーンの向こうから来た凶悪な外来侵略生物!
※8-ストレンジビーストをゴア族が生物兵器に改造したもの。
※9-漫研所属の女子高生、寿ユキ。気弱な性格だが、マンガへの熱い心を持っている。ジェイドと一時的に体を共有している。
※10-36m 2万5千t ミリオンの娘でホープの弟子でプラの養子。現在はグロリアスの先輩兼相棒。
※11-36m 2万5千t ミリオン、ホープ、プラ、ブロンコの4つのメモリーをジェイドがリメンバーした姿。吹雪の力を宿す全アブソリュート最強の戦士!
※12-コミケ。
※13-59m 1123t 発火能力を持つ放火怪獣!
※14-風情漂う小江戸。埼玉県の数少ない観光地。





