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とあるサーカスにて
「ユウネ、綱渡り用のロープの確認しておいてくれるかい?」
「わかりました、シドさん。」
「すまないね、もっと団員が多かったらいいのだけれど。」
ここはあるサーカス団のテント。
僕は空中ブランコ乗りのユウネだ。
普通のサーカス団なら昼間はきっとたいしてやることもなく暇なんだろうけど、なんせ人数が少ないので、夜のショーの準備も一苦労である。
あ、シドさんはこのサーカスの団長だ。とても優しいし、かっこいいし、大好きな人だ。
シドさんに頼まれた通りにロープに傷や脆くなっている部分がないかを丁寧に確認していく。うん、どうやら大丈夫みたいだ。
「シドさん、ロープ異常ありません。」
「おお、ありがとう。今日のメインは綱渡りだからね。失敗なんてしたら大変なことになる。念には念を入れておかないとね。」
シドさんは目を細めて僕に微笑む。
「あれ?そう言えばリカは?」
「ああ、リカには今日は人を探してもらってるんだよ。あいにくまだ今日の出演者が決まっていなくてね、ふふ。」
ちなみにリカはうちのサーカスの看板ピエロだ。サーカスに来た人々を笑顔にするのは彼女の仕事だ。