表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

三人の十五歳

「ダルタニャンとマリー・ド・メディシスの陰謀」四話目です!

この回で主人公・シャルルに同年代の友人が二人できます。

一人はアトスのモデルとなったアルマン(本名がめっちゃ長い)。

もう一人は後に太陽王ルイ14世の命令でシャルル・ダルタニャンによって逮捕される運命にあるニコラ・フーケ。

史実の三人は同年代だったのです!

ではでは、どうかご照覧あれ~。

四章 三人の十五歳


「シャルル。ちょっとお使いに行って来い」

 朝食中、ポールがシャルルにそう言った。

 兄と暮らすようになって六日目になる。シャルルはひどく窮屈な生活を強いられていた。ポールが銃士隊の勤めで留守にしている昼間、部屋の中で物音ひとつ立てずにじっとしていなければならなかったのである。もちろん大家に見つからないためだ。

 シャルルは、銃士隊の見習いにすらなれていない。生活費の一部も出せない無収入の半人前以下だ。だから、養ってくれている兄に文句は言えないのだ。

 しかし、「どこにも出歩くな」というポールの命令には、シャルルも困惑した。パリに来ていきなり牢獄に入れられた、世間知らずな弟のことを兄は信用していないのである。

 だが、シャルルには、口八丁のジャックを捕まえて、父から預かった紹介状を取り戻すというトレヴィルとの約束があるのだ。下宿屋から一歩も外に出られなかったら、あの泥棒を捜すこともできないではないか。それに、コンスタンスとも会えない……。

 そんな鬱屈とした日々が続いたが、兄の今朝の一言により、シャルルはようやく外出できると大喜びした。しかし、すぐに浮きうきとした気分は雲散霧消することになる。

「ロシナンテを売ってこい」

「えぇぇ……」

 トレヴィル邸で言っていたことは、やはり冗談ではなかったらしい。これまで兄の命令に従い続けていたシャルルだが、これには反対した。

「確かにロシナンテは賢くない馬だが、昔から家で育ててきた家族じゃないか。売っちまうのは可哀想だろう」

「この間のイタリア遠征で、俺の馬が足を折って、死んじまったんだ。次に戦争があったとき、ロシナンテみたいな駄馬に乗って戦場に出てみろ。フランス軍の戦死者、記念すべき第一号になっちまうぜ。役に立たない馬は売って、たくましい軍馬を買いたいんだ」

「兄貴が故郷を出るときに、父ちゃんからもらった馬、死んだのか。可哀想に」

「先月に死んだのはパリに来てニ代目の馬だ。最初の馬は五年前に死んだよ。王妃様の使いで、イギリスに渡ろうとしたときにな」

 パリに来たばかりのポールは、銃士アドルフ、アラン、ボドワンたちとともに、アンヌ王妃の名誉を守るためにイギリスに渡ってある使命を果たしたのだという。そのとき、リシュリュー枢機卿の手の者に狙撃されて、ポールの愛馬は被弾して死んだ。

「それで、命からがら使いを果たして戻って来た俺たちに、王妃様はどんなご褒美をくれたと思う?」

「さあ?」

「『ご苦労様』の一言さ! まったく、王族はケチだよ! 頭にきた俺は、王妃様の手にキスをしてやったのさ」

「兄貴だったのか……」

 コンスタンスが言っていた、王妃様に許しも無くキスをした無礼者とは自分の兄だったと知って、やはり俺たち兄弟は無作法な似た者同士だとシャルルは内心ため息をついた。

(兄貴のせいで、王妃様は、手柄を立てた者にはキスをさせてやれば喜ぶと思うようになったのだろうか)

 一週間前のアンヌ王妃とのやりとりを回想し、また、コンスタンスの手にキスをさせられそうになったことを思い出して、シャルルは顔を赤らめた。

「というわけで、ロシナンテを売って来い。その金で、もっといい馬を買う」

「いや、ロシナンテは高く売れないはず……」

「あいつ、見た目だけは珍しい毛並みをしているから、物好きな奴が高値で買ってくれるかも知れない。俺は仕事で忙しいから、ちゃんと馬市場まで行ってロシナンテを売るんだぞ。売れるまで、帰ってきたらダメだ」


 シャルルは負けん気が強くて、喧嘩っ早い少年だ。しかし、どうにも長兄のポールには頭が上がらない。幼いころに喧嘩を挑んで、ボコスカにやられたときの記憶がそうさせているのだろうか。いま剣の試合をすれば、ポールに勝つ自信はあるというのに。

 トレヴィル邸の厩舎でロシナンテと一週間ぶりに再会したシャルルは、

「お前と会うのも、今日で最後か……」

 と、しょんぼりと呟いた。ポールがロシナンテを嫌がったため、ずっとロシナンテをここに置き去りにしていたのだ。

「許せ、ロシナンテ」

「シャルルさん、どうかしたの?」

 後ろからコンスタンスの声がして、シャルルは驚いて振り返る。

 コンスタンスは、いつもの穏やかな笑みで「おはよう」とシャルルにあいさつした。シャルルも緊張しながら「おはよう」と笑顔で返す。

 だが、シャルルの笑顔はすぐにひきつってしまった。コンスタンスの後ろにはシャルルと同い年ぐらいに見える黒髪の少年がいて、ロシナンテの黄色の毛並みを珍しそうに見ていたのである。

(何だ、こいつ。コンスタンスとぴったりいやがって)

 シャルルはギロリと少年を睨んだ。少年のほうもその凶暴な視線に気がついたらしく、シャルルと向き合う。

「こんにちは。私はガスコーニュの産、アルマン・ド・シレーグ・ダトス・ドートヴィエイユといいます。当年で十五歳になります。銃士隊に入るべく、上京して来ました。ついさっき、トレヴィル殿にあいさつしてきたところなのです」

 シャルルは面食らった。少年はシャルルに睨まれたというのに、とても丁寧なあいさつをしたからだ。ガスコーニュ出身というが、まったく訛りがない。物腰も落ち着いていて、田舎貴族の子というよりは、名門貴族の貴公子の風格がある。

(あ、あるまん・ど・しれーぐ・だと……?)

 困ったことに、名前が長すぎて覚えられない。これではあまりにも相手に対して失礼だと、シャルルは慌てた。黒髪の少年はシャルルの表情からおおかたのことを察したらしく、

「アルマン・ド・シレーグ・ダトス・ドートヴィエイユです。アルマンと呼んでください」

 と、もう一度自己紹介をしてくれた。シャルルと同年だが、アルマンのほうがよほど大人である。シャルルは、先ほどまでの悪態を改めて、アルマンと握手をした。

「俺も銃士隊志望のガスコンで、シャルル・ド・バツ……じゃなかった。シャルル・ダルタニャンだ。同い年だから、そんな丁寧に話さないでくれ」

「うん、分かった。よろしく、シャルル」

 コンスタンスは、初対面のガスコン二人が仲よく話しているのをにこやかに見守っていたが、どうも今日のシャルルは元気が無いことに気がつき、

「シャルルさん、何かあったの?」

 と、心配して聞いた。

「ロシナンテと今日でお別れなんだ」

「え? どういうこと?」

 シャルルは、ポールにロシナンテを売ってくるように命令されたことをコンスタンスに話した。コンスタンスはそれを聞いてシャルルに同情し、ポールに腹を立てたらしく、

「シャルルさんの大切な馬なのに、ひどいわ。わたしから彼に言ってあげようか?」

 いつも温和な彼女にしては珍しい怒りを見せた。

「い、いや。いいよ」

 シャルルは慌てて頭を振る。同い年の少女に助けてもらって、兄を懲らしめるなど、男として恥ずかしいことではないか。そもそも、ポールは誰かに言われて意見を変える性格ではない。たとえ相手がトレヴィル殿の娘でもだ。

「じゃあ、俺は馬市場に行ってくるよ」

 手綱を引いてロシナンテを厩舎から出すと、シャルルはそそくさとトレヴィル邸を去ろうとした。

「待って、シャルルさん。馬市場がどこにあるのか知っているの?」

「あ、そういえば」

 シャルルはピタリと足を止め、「知らなかった……」と頭をがりがりかきながら言った。知らぬ場所にどう行こうとしていたのか。相変わらず粗忽な少年である。

「途中まで道案内してあげるわ」

「でも、コンスタンスはそろそろ王妃様のもとに出仕する時間なのでは?」

「今日は、王妃様のお使いで、ルーヴル宮殿に王妃様の忘れ物を取りに行くの。馬市場はルーヴル宮殿に近い場所にあるから、大丈夫よ」

 俺はどうもコンスタンスに甘えっぱなしだ。そう思いつつも、彼女と一緒にいられる時間ができたことをシャルルは喜んだ。

(これはきっと、数日間も部屋に閉じ込められていた俺への神様のご褒美なのだ)

 と、シャルルが天に感謝したそのときである。トレヴィル邸の庭から陽気な声がした。

「よう、シャルル。元気にしていたか」

「馬市場に行くのでしたら、私たちもお供しましょう。今日は我々、非番ですから」

「ポールが仕事なのが残念だなぁ」

 うげっ、とシャルルは顔をしかめた。アドルフ、アラン、ボドワンら銃士三人組である。

「元気にしていたかって、毎晩、顔を合わせているじゃないか」

 シャルルは素っ気無く答え、プイッと顔をそらした。

 彼ら三人の銃士は、兄ポールと行動をともにすることの多い親友である。

 アドルフ、アラン、ボドワンはほぼ毎晩、ポールの下宿屋に遊びに来て、酔っ払ってどんちゃん騒ぎをするのだ。日付が変わってもやかましいものだから、椅子を並べてつくったベッドで毛布にくるまっているシャルルはまったく眠れず、毎日寝不足なのである。

「そんな恐い顔をするなって。新入りのアルマンもついて来ないか?」

 ボドワンが快活にそう誘うと、アルマンは素直に頷いた。

「私もパリの地理はまださっぱりですから、道を覚えがてらお供しましょう」

 ああ、コンスタンスと二人っきりで街を歩けると思ったのに。シャルルは天を仰いで嘆くのであった。


「足がけ何年だっけ」

「彼の努力は相当なものですよ。どれだけ手に入れたいと願っても、なかなか思い通りにならなければ、最終的には諦めてしまうものですからね」

「俺たちも最初に見たときから、これはなかなかのものになると思っていたけどさ。まさかここまで上等な、パリで一番の宝になるとは想像していなかったぜ。その宝をあいつは手に入れたわけだ。みんなに妬まれるのも仕方が無いさ」

 パリの街を歩きながら、アドルフ、アラン、ボドワンはコンスタンスを囲んでああだこうだと楽しそうに世間話をしている。その後ろを少し遅れて歩くシャルルは、いまいましげにお邪魔虫三匹を睨んでいた。

 シャルルと足並みを合わせて歩いているアルマンは、無駄口をきかない物静かな少年で、シャルルが話しかけない限りは口を開かなかった。しかし、シャルルが睨み疲れて、ロシナンテの黄色の毛を触ったり眺めたりしているアルマンに、

「ガスコーニュのどこの出身だ?」

 と聞くと、まったく喋らない無口かと思われたアルマンが、意外にも長い台詞で返答した。初対面のあいさつのときもそうだったが、必要な会話のときは言葉数を惜しまない性格らしい。

「トレヴィル殿と同じベアルンさ。実は、母がトレヴィル殿のいとこなんだ。親の縁故で近衛銃士隊に入るなど、恥ずべきことだが……」

「恥ずべきこと? なぜ?」

 前にも書いたが、この時代は縁故による就職など常識であり、誰も地縁血縁に頼ることを悪いことだとは思っていなかった。だから、シャルルはアルマンの言うことが不思議に感じたのである。

 アルマンは少し頬を紅潮させて言った。

「おのれの人生は、自らの力で切り開くべきだ。他者に頼って勝ち得たものなど、真に価値あるものではない」

 シャルルは、アルマンという人間の核となる哲学に触れたような気がした。

 立派な軍人となる。それがシャルルのささやかな夢だ。しかし、同郷のつてや母方の祖父の名声を頼るような生き方をしていては、立派な軍人とは言えないのだろうか。少なくとも、アルマンの哲学はそれを許さないだろう。

 自分の人生をいかに生きるか。シャルルがいままで深く考えたことのない問題だった。

「アルマンは、おのれ一人の力で、どんな人間になろうとしているんだ?」

「地方領主とはいえ、我々は貴族だ。貴族たる者、人々の模範とならねばならない。誰よりも強く、誰よりも勇気があり、誰よりも気高く……。私は貴族の鑑と呼ばれるのにふさわしい男になりたいと思っている」

 決意に満ちた、凛々しいアルマンの横顔は、同性であるシャルルが見ても、惚れぼれとさせられる魅力があった。

「シャルルさん。申し訳ないけれど、わたしはここで失礼するわ」

 前を歩いていたコンスタンスが、振り向いて言った。すでにルーヴル宮殿の近くまで来ていたのである。

「ここから北へしばらく行くと、サン=ロックの丘があって、その丘の東の裏手で馬市場は開かれているわ。後の詳しい道筋はアドルフさんたちに教えてもらってね」

「分かった。ありがとう、コンスタンス」

 広大なルーヴル宮殿を見物してみたい好奇心にかられたが、いまは馬市場に行くことがシャルルの仕事だ。シャルルがコンスタンスに礼を言うと、コンスタンスはアドルフたち銃士三人に向き直り、

「枢機卿の護衛士たちと出くわしても、喧嘩したらダメよ。あそこには護衛隊の人たちも買い物に来るのだから、慎重に行動してね」

 銃士隊長代理の娘らしい注意をした。アドルフが肩をすくめて言う。

「いつも因縁をつけてくるのは、あいつらのほうだぜ」

「それでも、我慢して。『あいつらはいい奴らだが、血の気が多すぎる』とポールも心配しているのよ」

「あいつは友だちが少ないからなぁ。俺たちが護衛隊にやられたら、ポールは一緒に酒を飲む仲間がいなくなっちまう」

「そんな不吉なことを言わないで」

「分かっているさ。ポールと俺たちはイギリスへの決死行で、永遠の友情を誓った仲間だ。あいつを一人になんてしないよ」


 馬市場は、大いに活況を呈していた。

 馬商人が自慢の馬を客たちに見せびらかして、「安いのはいまだけ!」と売り込んでいる。

 軍人らしき男が「ちっとも安くない」と文句を言うと、でっぷりとした金持ちの町人が「ならば私が買おう」と商人に金を渡した。すると、怒った軍人が町人と喧嘩を始めて周囲の人たちは逃げたり、野次を飛ばしたりして乱痴気騒ぎへと発展して……。

 シャルルが四方のどこを見ても、市場は様々な人であふれていて、その人間の数だけの悲劇と喜劇がそこにはあった。必死に値切りの交渉をする人、熱心に馬を品定めする人、売り物の馬が逃げ出して慌てて追いかける人、その馬に蹴られそうになる人。

(俺と関係の無い人たちも、それぞれの人生があって、笑ったり泣いたりしているのだな)

 シャルルが何となくそのようなことを考えて呆然としている間に、当のシャルルにも悲劇が訪れた。知らぬ間にアドルフ、アラン、ボドワンたちとはぐれていたのである。そばにいるのはアルマンと、いまから売られる可哀想なロシナンテだけだった。

 この人だかりだ。アドルフたちを捜すのは一苦労だろう。

「参ったな。どうやって馬を売ればいいんだ? 普通に馬商人に話しかければいいのか?」

「商人によって、買い取ってくれる金額が違うはずだ。何人かの馬商人と交渉して、一番高値で買ってくれる人に売ったらどうだ」

 冷静なアルマンの助言に従って、シャルルはあちこち歩き回り、馬商人たちにロシナンテを売り込んだ。しかし、

「毛並みは珍しいが、どうも怠け者の顔をしている」

「こんな傲慢そうな馬、うちはいらないよ」

 と商人たちに品評され、買値は、もともと高値では売れないと考えていたシャルルの予想よりもはるかに下回る金額ばかりだった。

「馬の顔を見て、怠け者とか傲慢とか分かるのかよ?」

 馬商人たちは人相見ならぬ馬相見ができるのだろうか? 悔しいが、当たっているだけに言い返せない。などと、くだらないことをぼやきながら、シャルルはアルマンとともに市場内を行ったり来たりした。だが、なかなかよい買い手が見つからない。ポールは売れるまで帰ってくるなと言っていたが、雀の涙のような金を持ち帰っても怒るだろう。

(さて、どうしたものか……)

 シャルルは途方に暮れ、アルマンはじっと黙り、ロシナンテは泰然と欠伸をして、二人と一頭が市場の片隅でたたずんでいるそのときだった。

「面白そうな馬だな。売り物かい?」

 いつからそこにいたのか、細面の少年がロシナンテと睨めっこをしていた。ただの冷やかしだと思ったシャルルは、なげやりに言った。

「怠け者だぜ」

「怠け者なら、餌で釣って働かせるさ」

「しかも、傲慢だ」

「僕も傲慢な人間だ。相性はいいだろう」

 シャルルは、ロシナンテを気に入ったらしい少年をまじまじと見た。変わった奴だ、と思ったのである。

「僕はパリ高等法院の弁護士、ニコラ・フーケという者だ。この馬を売ってくれないか?」

「その若さで弁護士? あんた、年齢は?」

「十五歳。弁護士になったのは、十三歳のときだがな」

「へえ!」

 シャルルだけでなく、二人の会話を黙って聞いていたアルマンも感心した。まだ銃士隊の正式な一員にもなれていないガスコンの少年二人にしてみれば、同い年で弁護士になっているニコラがまばゆく見えたのである。

 髪の色はシャルルと同じ褐色だが、くせ毛やら寝癖やらであちこち飛び跳ねているシャルルとは違い、ニコラの髪は清潔に整えられている。女ものの服を着て街を歩いたら五分に一度は男に声をかけられそうな美貌である。だが、中性的な顔立ちをしてはいるが、ニコラにはなよなよした印象がない。それは、どんな面白いことでも見逃さぬと言わんばかりの好奇心旺盛なくりくりとした黒い目、自分ほど優秀な人間はいないと主張したげな高い鼻、一度口を開けばどんな論客でも言い負かしてしまいそうな大きくて形の整った唇など、おのれの優れた才覚を大いに発揮してのし上がってやろうとする野心家特有の人相をしていたからである。

 その自信に満ちあふれたニコラが、ポールいわく駄馬のロシナンテを所望しているのだ。

「あんたみたいに立派な人間なら、もっといい馬が買えるだろう」

「僕はあまり乗馬が得意ではないのだ。千里を駆ける駿馬よりも、ゆったりと僕を運んでくれる、のんびりとした馬が欲しい。そう言う君は軍人の卵のようだが」

「うん。近衛銃士隊に入ろうとしている」

「ならば、君もいつか戦場に出ることがあるだろう。そのとき、この小馬のような戦争に向かない馬に乗っていたら、命を落とすぜ。こいつを僕に売って、戦場を駆け巡れる名馬を買うといい」

 兄のポールに似たようなことを言われたときには反発しか覚えなかったシャルルだが、理知的なニコラにそう言われると妙に納得してしまい、

「このロシナンテは、俺が小さいころから大事にしてきた家族のような馬なんだ。わがままな奴だが、鞭で打って怒ったりせずに、可愛がってやってくれ」

 と、ニコラに売る決意を自然としていたのである。

「分かった。では、これはお代だ」

 ニコラが懐から財布を取り出し、中身の硬貨を全てシャルルの手のひらにどっさりとのせた。シャルルはぎょっとする。

「十五エキュ! もらいすぎだ!」

 シャルルが故郷を出るとき、父ベルドランがほうぼうから借金をして、旅立つ息子のために用意してくれた餞別の金が十五エキュだった。パリに着くまでに宿泊費などで五エキュを使い、残りの十エキュは口八丁のジャックに盗まれてしまったが、貧乏貴族の息子にとっては大金である。

 当時のフランスの金は、現代日本の円に換算するといくらぐらいだったのか。

 昭和四十年代に『ダルタニャン物語』を全訳した鈴木力衛氏によると、一リーヴルが千円内外、一エキュが三リーヴルと物語の冒頭で記している。

 平成二十三年の消費者物価が昭和四十年の約三・九倍なので、

 一リーヴルが約三千九百円。

 一エキュが約一万千七百円。

 そして、いまシャルルが震える手で握っている十五エキュは約十七万五千五百円だったと思われる。ちなみに、『ダルタニャン物語』では、ダルタニャンは愛馬ロシナンテを三エキュで売っている。体躯たくましい普通の馬ならば十五エキュでも妥当かも知れないが、ロシナンテのような小馬は三エキュぐらいが相場だろう。

「三エキュでいい! 後の十二エキュは返す!」

 シャルルは大金を突き返そうとしたが、ニコラも頑固で受け取ろうとしない。

「一度手放した金だ。もう僕の物ではない」

「強情な奴だ」

「君もな。たった三エキュでは痩せ馬ぐらいしか買えんぞ」

「おいおい、喧嘩はやめようじゃないか」

 シャルルとニコラが十二エキュを突っ返し、押し戻しなどして揉める中、温和なアルマンは仲裁しようとした。次第に三人の少年の騒ぐ声が大きくなっていき、周りの人々の注目を集めるようになっていたのである。

 実はちょうど同じとき、シャルルが捜し求めている例の泥棒も、他人から盗んだ馬をこの市場で得意の口八丁により法外な値段で売りさばいていたのだが、

「あのガキ、どうやって牢獄から出てきたんだ?」

 と、ガスコーニュ訛りの少年を発見して、思わずそう呟いてしまった。たとえ群集の騒音の中でも、それを聞き逃さないのが我らの主人公、地獄耳のシャルルである。ニコラとの押し問答を中断し、

「口八丁のジャック!」

 と、叫んだ。叫ぶだけでなく、周囲をぎょろぎょろ見回して、目ざとくジャックを見つけると、奔馬のごとく走り出していた。人だかりの中、通行人を避けることもせず、突き飛ばしていく。五秒後には、ジャックの目の前で仁王立ちをしていたのである。


 口八丁のジャックは、泡を食って逃げ出そうとしたが、三歩目で足は宙を蹴っていた。シャルルがジャックの首筋を片手でつかみ、恐るべき膂力で持ち上げたのである。

 えいやっ!

 昨夜の雨でぐしゃぐしゃに濡れている地面に叩きつけられたジャックは、蛙みたいな声をあげた。

「とんでもない暴れ馬だ!」

 どさくさに十二エキュを突き返されていたニコラは、豪胆なシャルルを(痛快な奴!)と内心賞賛して、これから何が始まるのだろうかと好奇心で胸を躍らせた。

 憤怒の感情に突き動かされているシャルルは、泥だらけになって倒れ、うめいているジャックを見下ろしてまくし立てた。

「やあ、口八丁のジャックさん。俺に殴られた頬とロシナンテに噛まれた頭の傷は治ったかい? この間は素敵な宿屋を紹介してくれて、どうもありがとう。糞臭くて、藁のベッドが快適だったよ。すごく不思議そうな顔をしているな。どうやって牢獄から出たのか知りたいか? いいぜ、後で教えてやる。しかし、その前に俺の持ち物を全て返せ! この泥棒!」

 がやがやと馬市場の人々が騒ぎだす。剣呑な雰囲気の少年が、牢獄だの泥棒だの物騒な言葉を次々と口にして、五十がらみの男を責め立てているからだ。

 シャルルの迫力に気圧されていたジャックだが、少しずつ冷静さを取り戻してきて、

(ふん! どうやって牢獄を出たかは知らんが、もう一度豚箱に入れてやれば済むことだ。この間みたいに、言葉巧みに、ここのたくさんの群集を儂の味方にして、このガキを地獄に叩き落してやるわい!)

 と、このいんちき男は下唇を蛇のように長い舌でぺろりとなめた。

「た、助けてくれー! この若者がいきなり因縁をつけてきて、儂の売り物の馬を奪おうとするんじゃー! 年寄りを地面に放り投げるなど、人でなしのすることじゃー!」

 口八丁のジャックの名演技をあらためて見て、シャルルは感心した。

 涙をぼろぼろ流して、顔は恐怖で真っ青、よだれを垂らして助けを求めるその姿は、まさに哀れな被害者の老人。さぞかし観衆の同情を誘うことだろう。

 だが、今日のシャルルは無策ではない。兄ポールから口八丁のジャックと遭遇したときのための対策を授かっていたのである。

「見識高いパリ市民のみなさん、この男の出まかせに騙されてはダメだぜ。こいつは俺の金や貴重品を盗んだ泥棒だ。俺だけでなく、大勢の人間が口八丁のジャックに馬や金目の物を盗まれ、罠にはまって豚箱に放り込まれている。嘘ではない、俺は信用の置ける人間だ」

 バッとシャルルは群集に向けて右手をかざし、力強い声で言った。その腕には金のブレスレットがはめられており、太陽の光によって燦爛たる輝きを放っている。

「これは王妃様より拝領したブレスレットだ。この口八丁のジャックに陥れられて、牢獄に入れられた俺を王妃様が救ってくださり、そのときにこの品を頂戴した」

 市場内に大きなどよめきが生じた。

「王妃様だって? 本当にあの少年は王妃様の知り合いなのか?」

「嘘に決まっているだろ、あのガキは大法螺吹きなんだよ」

「だが、王妃様は手袋の飾りに金のブレスレットをしていると聞いたことがあるぜ」

 あのブレスレットは王妃様の物だ、いや違う、などと人々は口々に言い合う。その様子をニコラは楽しげに見物し、アルマンは少々眉をひそめて見守っていた。

 縁故で出世することを嫌い、独力で生きることを望むアルマンだ。権力を笠に着るようなやりかたが気に食わないのだろう。シャルルもアルマンの視線が気になったが、ポールが珍しく兄らしい諭し口調で、シャルルに言い聞かせたときの言葉を同時に思い出してもいた。

「今度はもう泥棒なんぞにはめられて、牢獄にぶち込まれるなよ。同じ失態を二度も繰り返すような馬鹿は、トレヴィル殿とて見放すに違いない。

 もとをただせば俺たちの先祖は商人で、頭を駆使して金をもうけて貴族になったのだ。俺のように『狡猾ポール』と陰口を叩かれるようになれとは言わんが、お前ももう十五歳なのだから、いつまでも猪突猛進ではダメだ。機転の利く要領のよい男になれ。おのれの出世のためならば、何でも利用する覚悟でいろ」

 兄の生き方か、アルマンの生き方か。シャルルはまだ心が完全に成熟しきっていない思春期の少年である。同じ十五歳のアルマンが言う「おのれ一人の力で人生を切り開く」という別の生き方に憧れを感じて、兄の言う「何でも利用する」生き方が姑息に思えてくるのだ。しかし、シャルルはあえて自身の迷いを無視しようとした。

 いまは逡巡しているときではない。いまのシャルルには、兄から教わった策しかこの場を切り抜ける方法が無いのだ。ここで失敗して立身出世を諦めたくはない。

「に、偽物に決まっている! 王妃様のブレスレットなはずがない!」

 口八丁のジャックが唾を飛ばしながら叫んだ。シャルルは「いや! 本物だ!」と怒鳴り返し、両者は睨み合った。群衆は固唾を呑んでその光景を見守っている。

「どれ。僕に見せてみろ」

 演劇の観客で居続けることに飽きてきたニコラが、シャルルに歩み寄ってブレスレットを鑑定士のように目を凝らして見た。

「巧緻な細工で双頭の鷲が刻まれている……。これは本物だな」

 双頭の鷲とは、ハプスブルク家を象徴する紋章である。このブレスレットが、スペイン・ハプスブルク家の王族出身であるアンヌ王妃の装飾品だという何よりの証拠だとニコラは野次馬たちに説明した。

 シャルルは、ニコラにこっそり耳元で囁く。

「お前、物知りなんだな」

「常識の範囲内だ」

 王妃のブレスレットを腕にはめたシャルル。

 みずぼらしい姿をした人相の悪いジャック。

 こうなると、市場の人々が信用するのは、圧倒的な箔がついたシャルルである。

「何だ、あのおっさん、泥棒だったのか」

「俺は最初から怪しいと思っていたぜ」

「王妃様のブレスレットをはめている人が、悪さをするわけがねぇ」

 シャルルが何も指示しないうちから市民たちは納得し、「泥棒をとっ捕まえろ!」とジャックに襲いかかり、殴る蹴るの暴行を受けた口八丁のジャックは地べたに這いつくばった。

「そ、そんな馬鹿な。ただの田舎あがりのガキだと思っていたのに、あんた何者だ」

「シャルル・ド・バツ・カステルモール改め、シャルル・ダルタニャン。さあ、俺から盗んだ物を全部返してもらおうか」

 シャルルがベキボキと拳を鳴らして、ジャックに詰め寄る。「ひ、ひぃぃ!」と惨めにもコソ泥は怯えて後ずさり、自分の荷物袋からシャルルが見覚えのある小さな壷を取り出した。この壷の中身は母フランソワーズが調合してくれた膏薬である。

「よし、他の物も返せ」

「な、無い。十エキュの金は全部散財しちまった。手紙やら巻物はちり紙に使って……」

「トレヴィル殿への手紙と我が家の家訓状をちり紙に? 何てことを!」

 字が読めないジャックにとって、どんな貴重な書物や文書も、鼻水をかんだり、尻を拭いたりするための道具にすぎないのだった。

 シャルルはがっくりと膝をつき、「ああ! 万事休すだ!」と嘆き叫んだ。父から預かったトレヴィル殿への紹介状はちり紙となって、すでに失われてしまった。トレヴィル殿との約束は果たせず、これで銃士隊への道がまた一歩遠のいたのである。

「そんなに貴重なものだったのか?」

 何にでも首を突っ込みたがるニコラがシャルルに尋ねると、大いに落胆している最中のガスコンの少年は、力無く頷いた。

「ふうむ。では、その賠償として、この泥棒が売り物にしていた馬たちを君がもらってやればいい」

 ニコラがニッと笑い、ジャックが売りさばこうとしていた馬五頭を指差した。

「みんなノルマンディー産の馬だな。身体もどっしり大きいし、いかにも軍馬向きだ」

「待て、待て。この男は泥棒なのだろ? 我々はこいつを捕まえて、盗品の馬はお役人さんに押収されないといけないのでは?」

 不正を嫌うアルマンが、慌ててニコラを止めた。しかし、ニコラは「それでは面白く無いよ」と、まるで悪戯を注意されて駄々をこねる悪ガキのように口を尖らせ、聞く耳を持たない。

「ふん縛る前に、このおっさんと真っ当な取引をして購入すれば、問題は無いさ」

 アルマンが呆れ、シャルルが呆然としている中、ニコラは泥棒ジャックに話しかけた。

「口八丁のジャックさん。この馬、全部でいくらだい」

「え……? よ、四百ピストール(十リーヴルで一ピストール)だが」

「ふん。ただで手に入れた盗品のくせして、高いではないか。よし、全てシャルル・ダルタニャン君がお買い上げだ。お代はジャックさんがシャルル君から盗った十エキュと、ちり紙にしてしまった手紙、巻物の代償としてチャラにしようじゃないか」

「ば、馬鹿な! ただの紙切れにそんな価値があるわけがない!」

「ジャックさん。僕はシャルル君の友だちなんだ。だから、あの手紙と家訓状の価値をよく知っている。あなたがおそらく鼻をかんで捨てたであろう手紙は、実はシャルル君の父君が大貴族から購入した別荘の権利書で、最低でも一万ピストールはする。そして、巻物はシャルル君の一族が先祖代々守ってきた由緒正しい家訓状で、これまた五千ピストールは下らない価値ある物だったのさ。ジャックさん、あなたはあわせて一万五千ピストールの金をシャルル君に償う責任がある」

「い、一万五千ピストール!」

 ジャックとシャルルが同時に叫んだ。ニコラはさっとシャルルの口を塞ぎ、ニンマリとした笑みのまま片目をまばたかせる。黙って僕に任せろ、ということらしい。

「口八丁のジャックさん。あなたはそんな大金を払うことなどできないでしょう。だから、四百ピストールの馬五頭を無料でシャルル君に渡しなさい。そうすれば、牢獄に入れられたとき、あなたの罪が少しでも軽くなるように僕が弁護してあげよう。僕はこう見えても弁護士なんだ」

 ニコラの弁舌はまさに立て板に水で、しかも、彼の言葉にはひとかけらも誠意がこめられていないというのに、この若い弁護士の言っていることは確かに間違いないと思わせる不思議な説得力があった。

 舌先三寸で人々を騙してきたジャックだが、因果応報、自分よりも上の口達者によってついに丸め込まれてしまったのである。ニコラの言うとおりにしないと、とても恐ろしい目に遭うような気がしたのだ。

「わ、分かった。本当に儂を弁護してくれるのだろうな」

「もちろんさ、ジャックさん。あなたの正式な姓名は何だい?」

「ジャック・ミッシェル・ボナシュー」

「僕の名はナルシス・ジャカールだ。裁判で困ったことがあれば、いつでもジャカール弁護士を頼ってくれ」

 しれっと偽名を言ったニコラはジャックの懐に手を突っ込み、ぼろぼろの財布を取り出した。中身を確認すると、五エキュある。シャルルには全額使い果たしたと言っていたが、実は半分残っていたのだ。

「こいつは弁護士費用として頂いておくよ」

 ジャックは狐につままれたような顔をして、口をあんぐり、ニコラを見つめるしかなかった。そして、ほどなくして、騒ぎを聞いて駆けつけたアドルフ、アラン、ボドワンら銃士三人組によってジャックは捕縛されたのである。

 小馬を売るために市場に来たはずなのに、シャルルはいまノルマンディー産の馬を五頭手に入れていた。

「俺には、いったい何がどうしてこうなったのか、まったく訳が分からない」

「君が十二エキュを受け取らないから、その代わりに上等な馬を入手してあげただけさ」

「ニコラ。君は弁護士ではなく、詐欺師だろ」

 飲み込みが悪いシャルルが困惑し、ペテン師まがいのニコラが笑い、生真面目なアルマンがため息をついた。この十五歳の少年三人の出会いが、運命的なものであることを当の彼らすらまだ気がつかないのであった。


 馬市場の雑踏にまぎれ、シャルルたちをじっと凝視する男がいた。

 黒マントの男、ロシュフォールである。

 この一週間、ロシュフォールは護衛士たちにシャルルの行方を捜させていたのだが、ド・バツ・カステルモールという姓の少年がパリのどこにいるかという情報だけでなく、近衛銃士隊のトレヴィルと接触したという情報も入手できずにいたのである。

「ようやく見つけたぞ。ダルタニャンなどと姓を変えていたのか。おかげで捜すのに手間がかかったわ」

 ロシュフォールはフンと鼻を鳴らし、背後に控える一人の護衛士に命令した。

「あのガスコーニュ訛りの子どもをプチ・リュクサンブールまで連行してこい。まだガキだが、剣の腕前は恐ろしく強い。油断せず、必ず数人がかりでやれ。殺さなければ、多少傷つけても構わない」

「ロシュフォール伯爵が利き腕をやられるぐらいですからな」

 クククと品なく笑う、その護衛士の名はジュサック。リシュリュー枢機卿に腕を買われて護衛隊に入隊した屈強の剣士である。根っからの喧嘩師で、護衛隊と銃士隊の闘争があるときは、その場には必ずジュサックがいた。一度剣を抜けば、相手がピクリとも動かなくなるまで攻撃をやめない残虐な男だ。彼によって命を失った銃士は両手では数え切れない。死人に口無しで、「銃士隊から斬りかかってきたのです」と正当防衛を訴えて、いままで一度も罰せられたことが無いのである。

(シャルル・ダルタニャン……。五年前、俺が殺し損ねたポール・ダルタニャンと同じ姓だ。ふふ、これは久し振りに面白いことになりそうだな)

 殺してはならないという命令は不満だったが、あの少年をどう痛めつけてやろうかと考えるだけで、悪魔の心を持つジュサックは深い悦楽に酩酊するのであった。

                              五章につづく

四話も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

お話のほうは次回からどんどん物騒な方向にいきます。決闘とかあったりします。

最後に現れたジュサックは、アレクサンドル・デュマの『三銃士』にも登場する枢機卿の剣士でして、主人公ダルタニャンと戦っています。この物語でのジュサックがいったいどうやってシャルルたちを苦しめるのかは、また次回に・・・ということで、五章もよろしければご覧ください!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ