序幕~鬼瓦と太陽騎士団~
独裁国家と化した中東の中心部にある太陽騎士団の砦・サンライトキャッスル。
現在、世界情勢は日本を中心に活動する鬼瓦ファミリーと、太陽竜史率いる太陽騎士団が二分していた。その城の主、太陽竜史は太陽の力〈サンライト〉を太陽を媒介にして使い、中東を消滅させ、自身の城サンライトキャッスルを造った。
そのサンライトの力を使う太陽竜史を倒す為、二人の侵入者がサンライトキャッスルの地下から奇襲をかけようとしていた。
「ふうっ……何とかナーコと幻覚は巻いたみたいだな、輝」
「知り合いと戦うのはやれやれなもんだぜ。このまま一気に竜史の下へ向かうぜ、3四朗」
鬼瓦学園の制服を着た少年、鬼瓦3四朗と月下輝は地下の下水道にてそう話していた。
「夜天光は今、星史朗達を相手に議会で対決中だ。これはチャンスだぞ。今なら竜史に対する夜天光の精神への浸食は弱まっているはず」
「あの総帥相手じゃ、夜天光も周りに意識を拡散できねーだろーな。だが、議会での法案が通れば鬼瓦は星徒の勢いに呑まれるぜ? 奴等は中東の石油エネルギーを独占してるからな。議会で負けたら、世論を無視して夜天光を葬るか? いや、その前に夜天光の黒幕を見つけないとダメか」
「問題はそこだ。夜天光の奴は若いくせにやけに鬼瓦に詳しい。奴の背後には鬼瓦一族の黒幕が間違いなくいる。深く考えたくはないが……」
中空を見る3四朗の瞳には、ある人物がおぼろげながら浮かんでいるようだった。
「んー俺達は政治的な事じゃなく、ガチンコバトルをしにきた。政治は総帥、俺達は実務に没頭するか」
「フッ、そうだな。俺達はまず、夜天光に呑まれた竜史を助ける。全てはそれからだ。で、問題はこの城の上層階のどこに竜史がいるかだ、輝」
「そうだな――ン?」
その時、輝は自身の月の加護を受ける能力である〈ルナティック〉の力に共鳴を覚えた。そして、輝は口元を笑わせた。
「ん? どうした輝?」
「どうやら竜史はこの真上にいるようだ。奴がそう教えてくれたよ――! 不味いな……いきなり本気で行くしかない」
「!? 頭上から物凄い音がするぞ!」
「おそらく竜史のサンライトクリムゾンだろ」
「不味いな。早く逃げ――?」
輝は3四朗の胸を揉んだ。
「3四朗! ラブラブファイアーをかますぞ!」
「んな技あるか! 離せっバカ!」
「そうだったな。まだ未完の技だったか? 怒るな、怒るな」
言いつつ、輝は刀の鯉口を切った。そしてその刀、白夜をおもむろに引き抜き、高々と掲げ、ルナティックを白夜に流し込み、
「白夜の月に、太陽はかき消えるまでよ! 全開で行くぜ!」
3四朗はガッと輝の肩をつかんだ。その瞬間、天井に穴が空き、黒い竜が二人を襲った。
イエローの月のオーラが二人を包み――。
「覇翔月破!(はしょうげつは)」
激しいオーラに満ちる輝の突きがその黒い竜を突き破り、勢いのまま上層階に向かって二人は昇って行く。
「――地下? ブリブリブー! このままじゃ、竜史の所に向かわれるわ。急がなきゃ」
城の外壁に登っていたツインテールの美少女ナーコは、ダークサイズを肩に担ぎ、竜史の下に向かった。
「……この感じは月下のルナティックか。3四朗と月下は地下にいるようだな。向かうか」
サンライトキャッスルの入口で自身の刀、幻無に打ち粉をうっていた高杉幻覚は地下に向かって、下駄の音を立てつつ走った。
そして、地下に向かってダークサンライトクリムゾンを放ったサンライトキャッスルの最上階に居る、太陽竜史は――。
「来たか、3四朗にルナティック。世界は鬼瓦ファミリーではなく、我が太陽騎士団が支配する。今日が貴様等の命日だ……」
左目の下にある黒い痣のような痕を触りつつ、竜史は不敵に嗤った。
すると、その竜史の部屋の床の穴から黄色い閃光が現れた。
砂煙の中からその二人、3四朗と輝は現れた。
両者の対峙は、実に三ヶ月ぶりである。




