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第6話 二つ目の協力

~前回のあらすじ~


 犬井の協力により、ゲリラに近いながらも正式(?)に新入生歓迎会の部活紹介に参加する運びになった。そして協議の末、山本がプレゼンをすることとなる。

 プレゼンを成功させるため午後の授業をサボり、養護教諭である宮野に協力を求める。宮野は、二つの協力ができるといい、一つは、プレゼンへの簡単な助言だった。もう一つの協力とは、果たして?

 宮野が開けたカーテンの向こうにいた少女は、身を強張らせたまま動かない。重くなる空気にたまらず山本が口を開く。


「宮野、田中だったか?この子がどうしたんだ?」


 椅子をデスクの前に戻して、座りながら二人にいう。


「まずは、お互いに自己紹介してくれ、話はそれからだ。」


 そういって書類仕事を始める宮野、ベットにいる田中と呼ばれた少女うつむいたまま固まっている。山本は困惑した様子だったが、それでも自己紹介を始めた。


「えーっと、俺は山本辰也(やまもとたつや)クラスは2-D、さっき聞いてたかもしれないが、今イベント部なるものを作っている。まあよろしく、君は?」


 少女は助けを求めるようにチラチラ宮野を見ている、その気配を感じたのか宮野が口を開いた。


「足りないところは私が補うから、山本に自己紹介してみろ。こいつは、目つきも口も悪いが、無害だ。怖がらずに話してみろ。」


 それを聞いてもなお、彼女はおびえた様子で、山本の顔色を窺っていた。山本はどうしていいかわからない様子で苦笑いを浮かべるだけだった。



 五分ほど、その状態が続きしびれを切らしたのか、やんわりと山本が彼女に語り掛ける。


「田中さん。さっきの俺と、宮野の会話聞いてた?」


 山本の突然の問いに驚きながらも、首を縦に振ることで田中は答える。


 山本は反応があったことがうれしい様で、和らいだ表情で質問を重ねる。


「どのあたりから聞いてたんだ?」


 今度は口に出さなければ答えられない質問だったが、山本の表情に少し警戒が解けたのか、


「………最初から。」


 と、か細い声で答えた。それを聞いた山本はやさしく彼女に語り掛ける。


「なら話が早い、良かったらイベント部設立に協力してくれないか?」


 あまりにも突然の誘いに先程とは別の理由で固まってしまう田中。予想外の展開だったのか、いきなり笑い始める宮野。何とか笑いをこらえ喋りだす。


「やはりお前たちを会わせて正解だったよ。それで、田中お前はどうするんだ。山本は少し強情なところがあるから、はっきり断らないと部員にされるぞ。」


 山本が宮野に、反論しようとするが、田中のほうが先にしゃべりだした。


「あっ、あの!お気持ちはとってもうれしいのですが、あと二人のお友達の方がどんな方か存じ上げませんし…わっ、私じゃあイベントを盛り上げるなんてとてもじゃないけどできないですから!そっ、その、ごめんなさい!」


 深々と頭を下げる田中。とても丁寧に、しかし全力で断られて山本はショックで固まっている。そんな彼の耳元で田中に聞こえない小声で、山本にアドバイスを送る。


「どうやら脈ありのようだぞ、あとは山本の声かけ次第だ。彼女を入部させられるようだったらきっとプレゼンもうまくいく。がんばれ。」


 そう言い残し宮野は再び席へ戻る。山本は半ばヤケクソ、しかし誠意を持って彼女を説得にかかる。


「二人とも変人だけど悪い奴じゃない、むしろいいやつだ。それと、田中が一人でイベントを盛り上げるわけじゃないぞ?イベント部全員で知恵出し合って、協力して盛り上げるんだ。手伝ってくれないか?」


 真剣な眼差しで田中を見つめる山本、田中は視線を泳がせ言いにくそうに口を開く。


「…その…少し時間をください…先生、今日は早退します…。」


 田中は、ベットの横に置いてあった鞄を持つと、足早に保健室を後にした。



「ダメだったか。」


 山本は力なく呟く。そんな山本に宮野が声を掛ける。


「山本、お前はあきらめるのが早くないか?」


 山本が言い返そうとしたが宮野が手でそれを制して語りだした。


「彼女はまあ、お前たちと同じ年に入学したんだが、いろいろ事情があってね、まだ一年なんだ。」


 山本がたまらず聞く。


「どうしてそんな話を俺にするんだよ?」


 宮野はいつも通りに、気だるい感じの表情で話を続ける。


「話は最後まで聞いてくれ。私が彼女を、何とか説得して新入生歓迎会に参加させる。だからお前は、彼女が入りたくなるようなプレゼンをしろ。彼女のような立場の人間は少なからず存在する。だから、ほかにも入部希望者が出るかもしれない。」


 山本は、何が言いたいんだ。と言わんばかりに宮野を睨んでいる。宮野はまるで気にしてない様子で話を締めくくる。


「今日ここで話した内容と、今日の彼女の様子を照らし合わせれば彼女がダブった理由は想像できると思う。あとは、君の言葉の選び方次第だ。何か聞きたいことは?」


「別にない、俺も早退するわ。」


 それだけ言い残して山本も保健室を出ていく。一人残された宮野は、古い携帯電話を取り出し、メールを打ち込み送信し、呟いた。


「少しヒントを与えすぎたかな?」


 携帯を机の上に置くと席を立ち、「慣れないことはするもんじゃないな。」と独り言を言いながら給湯室へお茶を淹れに行った。

 部員がまだ増えない(汗)


 まあ入部フラグは立てたので、それでご勘弁ください。


 本編での自己紹介はしてませんが、こちらで簡単に紹介行っときます。イベント部が設立したら改めてメンバーの紹介をあとがきにてしたいと思います。(いつになることやら)


【人物紹介】

田中 保健室にいた女子生徒。山本達と同時入学だがとある事情でもう一度一年生をやることに。




 とある事情が分かりやすすぎたかなと反省しつつ次回予告。次回はついに新入生歓迎会です。イベント部の命運をかけた山本のプレゼン、お楽しみに。

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