表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

第5話 新入生歓迎会準備

~前回のあらすじ~

 山本の幼馴染である五十嵐閃に助力を求めるも断られる。そのうえ、女子生徒目線からのダメ出しまでもらう。それでも手段を探すうち、新入生歓迎会が翌日に迫っていることに気付く。イベント部として、このチャンスを逃す手はないと確信した三人は犬井に新入生歓迎会でのプレゼン参加の許可をもらうべく会いに行くことにした。

 昼休みの屋上で、三人は犬井にイベント部の説明と、新入生歓迎会での部活紹介のプレゼンへ参加したいという意志を必死に伝えていた。


「イベント部か…。面白そうな部考えるじゃねーか!だが、新入生歓迎会の構成もう決まってるんだよな…。」


 吉田は「決まったな」と誰に聞かせるでもなくささやき、犬井にビシッと指をさしながら高らかに言い放つ。


「じゃあ、ゲリラ参加するからフォロー頼むぞ!」


 犬井は頭を掻きながらタバコに火をつけ、フィルター越しに深呼吸してから吉田に言う。


「流石にそれは容認できんな。プレゼンを少し割り込ませる時間稼ぎぐらいはできるがな。」


 それを容認っていうんだろ。と山本がつぶやくが誰も聞いていなかった。


「ただ、二、三分しかできんと思う。それで、女子生徒が入りたいと思えるプレゼンができるならやってやる。回答期限はそうだな…。」


「やるに決まってんだろ!!」


 即答した吉田の後ろで結城が小さく、無策でしょ!と突っ込んでいた。


「いい答えだ!じゃあ誰がプレゼンするか決めて、明日の朝には俺に伝えてくれ。じゃあ俺は飯食いに行くわ。アデュー!」


 妙な別れの挨拶をして、犬井は屋上を出ていった。


「部長である俺がプレゼンってのが妥当だよな!」


 吉田は当然のように言うが、結城が全力で阻止しようとする。


「吉田君には女の子の心を鷲掴みにできるようなプレゼンができるとは思えないんだけど。男子生徒なら共感させられるだろうけどね。」


「じゃあ結城ならできるのか?」


 吉田が聞き返す。


「僕にはプレゼンなんてとても無理だよ!それに、見た目も結構重要だよね?」


 結城が山本のほうを気にしながら喋る。


「俺にやれってか?見た目でいったら吉田よりは普通だけど、容姿で釣れるほど整ってないぞ?」


「山本君よりイケメンがイベント部にいたらその人に頼むよ。」


 吉田が反論する。


「人は見た目より中身だろ?」


「じゃあ吉田君。普通の部長がプレゼンした部と、ちょっと可愛い子がプレゼンした部、どっちに興味を持つ?」


「ぜってー後者だ。」


 即答だった。


「俺の見た目が普通ってこと忘れてないか?」


 結城は少し考えて。


「じゃあ山本君。すごい美少女が、見た目を売りにしてプレゼンした部と、見た目はパッとしないけど一生懸命自分の部の魅力をプレゼンした部、どっちに入りたいと思う?」


「後者だが…。吉田の説得と結論変わってないか?」


 結城は、そうだね。と肯定した上で言葉をつづけた。


「物事は捉え方で変わるでしょ?山本君の僕らには解らない魅力にひかれる人がいるかもしれないし、山本君の必死のプレゼンが誰かの心に届くかもしれないじゃないか。やって見ないとわからないでしょ?」


 今度は山本が反論する。


「それなら結城や吉田でもいいってことにならないか?」


 結城が首を振りながらその反論を否定する。


「可能性で一番高いのは山本君って話なんだよ。吉田君は熱意は一番あるけど、見た目や言動で女子生徒が引いちゃいそうだろ?僕がプレゼンなんてしたら、きっとプレゼン自体が失敗するよ。ほら授業で発表すらまともにできないんだから。」


 山本がこめかみに拳を押し付けながら渋々了承する。


「でも女子の心を動かすプレゼンなんてどうしろってんだよ?」


 結城が待ってましたと言わんばかりに口を開く。


「保健室にスクールカウンセラーの資格を持ってる人がいるじゃない。二人ともわかるでしょ?」


 三人とも、一年生のころ仮病で保健室を何度か利用していた。


「宮野さんのことか?あの人で大丈夫か?」


 吉田は不安そうだったが、山本は納得の表情をしていた。


「アレでも、一応女性だからな。ダメもとで行ってみる。適当に症状言って病欠にしといてくれ。」


 山本は、ふらふらした足取りで保健室へ向かう。目撃証言も取るつもりらしい。


「結城、ほんとに大丈夫か?」


「こうするしか無くない?とりあえず症状はめまいってことにしとこうね。」


 保健室の前までは、いかにも倒れそうに歩いていたが、誰もいないことを確認すると、普段通りに扉に手を掛ける。


「宮野。相談があるんだが。」


 山本は、保健室に入るなりデスクの前に陣取る白衣を着た女性に声を掛ける。


「相談?もう授業が始まる時間だが…まあいいか、そこに座れ。」


 山本が指定された椅子に座ると、宮野はキャスター付きの椅子から立ち上がることなく山本の前まで移動する。


「相談とは何だ?色恋沙汰や人生相談以外ならいくらでも乗るぞ。」


「部員集めのプレゼンについてなんだが…。」


 山本は、今までの経緯を大まかに説明した。




「なるほどな…。この件に私から協力できるとしたら二つだな。一つはプレゼンへの助言だ。」


「助言?」


「確かイベント部だったか?その部を立ち上げたいと思った気持ち、その思いを包み隠さず話すんだな。」


「そんなことでいいのか?」


「お前の話に共感してくれる生徒がいればな。」


「そんな無責任な。」


「人の心を動かすのは理屈じゃなくて、伝える側の意志とか熱意だと思うからな。プレゼンに関してをお前の中に答えがあると私は思っている。」


 宮野からこれ以上有力な話は聞けないと感じた山本は、もう一つの協力について話を進める。


「そうかい…、ところで協力できるもう一つのことって?」


「ああそのことか、それなら、おい田中、どうせ聞いてるんだろ?」


 ベットを囲うカーテンの向こうに話しかける宮野。


「山本のプレゼン練習を聞いてやってくれ。お互いのためにもなりそうだしな。」


 そういいながらカーテンを開ける宮野。その向こうには怯えた目でこちらを見ている女子生徒が一人いた。

 結城さんがオタクというより屁理屈王な気がしてきました。



 そんなことよりベットの()のほうが気になりますか?


 彼女がどんな子で、イベント部とどうかかわるかは次回のお楽しみ←


【人物紹介】


宮野 養護教諭。さまざまな医療関連の資格を持っているが、まともに働く気がない人。養護教諭になったのも、普通に医者するより楽だから。本当はニートになりたいらしい。



ベットの子は次回紹介します。 楽しみに待っていてくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ