第3話 結局何部にするんだよ!?
~前回のあらすじ~
渋々吉田の部活設立計画に乗ることにした山本は、部活の作り方について元担任である犬井に話を聞きに行く。新しい部活を設立するには、顧問と五人の部員が必要だった。
犬井はあと二人の部員が女子生徒であることを条件に顧問になると言い出し、しかも犬井以外の教師には顧問にならないように根回しすると言い出す始末。
このままだと、部活設立計画が頓挫しかねないが果たして…?
完全下校時間が迫る中、話し続ける男子生徒が二人。
「俺はアニメが嫌いってわけじゃないぜ?ただ、文化祭でできることがアニメよりに縛られそうじゃんか。」
「別に、アニメ研究部がアニメ関連のことしか文化祭でしちゃいけないって決まりはないでしょ?それとも他に案があるの?」
先程から、同じような内容が延々と繰り返されている。いわゆるオタクな結城はサブカルチャー路線を譲る気はなく、対する吉田はもっと青春っぽいだとか、文化祭で人を集めるだとか、曖昧ながらも彼にははっきり見えている自分のヴィジョンを譲る気はないようだ。
そこに、山本が書類の束とともに戻ってきた。
「結城、残念だがアニメ路線は無理そうだぞ。」
声を掛けられて、山本の帰還に気付く二人。余程話に熱中していたらしい。
「無理っていうのはどういうことだい?」
結城の声は震えていた。かなり執着していたようだ。山本は特に気にする様子もなく、屋上での話を二人に伝える。
「犬井が顧問なら文化祭の企画内容が多少アレでも通りそうだな。問題は二人の女子部員だけだな。そこさえクリアできれば…。」
「多少アレってなんだよ。というか諦める気ないんだな。」
「多少無茶でも通るってことだ。ここであきらめるとかありえないな。」
話がどんどん進んでいるようだが、肝心要の部分が置いてけぼりにされている。その「カタチ」に一番拘っているであろう結城が、めったに出さない大声で叫んだ。
「結局何部にするんだよ!?」
「うるさい。」
本日二度目の山本の有無を言わせぬ一言に今度は結城が凍り付く。そんな空気を読めない吉田はのんきに。
「そこ決めないと勧誘もまともにできないよな~。」
「「部長がそんなんだから前に進まないんだろうが!!」」
結城と山本のツッコミは完全にシンクロしていた。
そんな二人の全力ツッコミを華麗にスルーして、吉田は話を進める。
「マジで何部にする?アニメ研究部とかだったら女子入んないぞ?」
吉田の提言に結城が噛みつく。
「それは偏見だ!世の中には腐女子なるものもいるんだよ。たぶん学校中探せば一人や二人…。」
熱くなる結城の目の前に山本が書類の束を突きつける。
「アニメ研究部はもうすでに存在している。新しい部は既存の部と被ったらだめだ。それに俺たちには時間もない、五月になる前にまったく新しい部を五人でスタートさせないと、今年度の予算は0だ!文化祭どころじゃない。」
なんだかんだで山本も乗り気になっているようだった。
完全下校時間が過ぎてしまったので、三人は山本の部屋で話し込んでいた。
「なあ文化祭を盛り上げる部ってのはどうだ?斬新だと思うが。」
「どこからツッコめばいいのかわからないよ。」
話が二転三転して一向に前に進む気配がない。吉田は考えてはいるものの発想が斜め上なので実現性がなく、結城は当り障りのない名前しか思いつかず、どうしてもリストの壁に当たってしまう。山本はというと、吉田の考えた名前に茶々を入れたり、結城の絞り出した名前をリストと照合してダメ出しをしたりと考える気すらないようだった。
「山本も何か考えようぜ。」
何の前触れもなく吉田が山本に振る。
「リストをそんなに眺めてたら何か浮かんでくるんじゃない?」
結城も同調する。
しかし、山本の口から出たのは部活の名前ではなかった。
「吉田は結局文化祭で何がしたいんだ?そこから考えないと答えは出ないと思うが…。」
吉田は少し考えたが、自分の気持ちを確認したのか頷いて口を開く。
「文化祭というより、俺がしたいことって気の合う仲間と集まって、なんか一つのことをしたいと思ったんだ。それがたまたま文化祭とつながったんだと思うぜ。」
吉田はしたり顔で二人を見つめる。当の二人は頭を抱えていた。
「吉田君の気持ちはよくわかったよ。要するに、吉田君は部活がしたいんじゃなくて、楽しい高校生活と、一緒に楽しめる仲間がほしいんだね。」
結城がやっと吉田の真意にたどり着く。
「じゃあ部活じゃなくてよくないか?」
山本はまだ理解してないらしい。そんな山本のために結城が解説する。
「吉田君は、そのカタチとして部活と文化祭を思いついたんだ。こんな解釈で合ってるかい?吉田君。」
吉田は大きく頷きながら答える。
「大体あってると思うぞ。」
「じゃあ何部にするんだ…。」
山本が力なく呟く。
「吉田君、山本君、先に一緒に部活をやる女子生徒を探してから考えるのはダメかな?」
結城が先延ばしにする提案をするが吉田が即座にそれを否定した。
「ああっ!!もうじれったい!!もう、部長である俺が決める!」
二人とも吉田の気迫に頷くしかなかった。吉田はリストに目を通して頷いた後もったいぶるように口を開いた。
「いいか?俺たちの部は…文化祭部だ!!」
二人はあまりにも短絡的で限定的な名前に唖然とした。
少しの空白の時間の後、山本が別の名前を提案した。
「イベント部じゃあダメか?文化祭に限らず体育祭とか、何かのイベントごとに何かする部活ってのはどうだ?」
結城がすぐさま反応する。
「山本君の案いいね!吉田君どうだい?」
「アリだ!流石山本俺の見込んだ男だ!!そんな部活だよ俺が求めてたのは」
こうして満場一致でイベント部の設立が決定したのであった。
無事部活名が決まりました!そして次回には待ちに待った?JKが出ます!!
取り乱しました。激しく反省しております。ともあれ、ようやくスタート地点に立てました。
初登場者がいなかったので、簡単に次回予告でも。
【次回予告】
イベント部を設立するためにはあと女子生徒が二人必要なのだが、そもそもイベント部のメンバーは三人ともそろいにそろって人脈がない。どうする?しかも、近いうちに新入生歓迎会なるものまであるらしい…こうご期待!!




