第9話 5人目!
~前回のあらすじ~
新入生歓迎会の部活紹介を終えたイベント部の三人は、入部希望者を教室で待つものの、誰も現れない。すると、校内放送で犬井から三人に呼び出しがかかる。
職員室に向かう三人の前に宮野が現れ、山本を保健室に連れていく。保健室で待っていたのは、昨日会った田中だった。田中は、イベント部への勧誘を一度辞退するも、山本の熱心な勧誘に、入部する運びとなる。そこにあわてた様子で結城が駆け込んでくる。
結城の話によると、入部希望者が職員室にいたとのことだが、いろいろ大変なことになってるらしい。
「大変って、いったい何が大変なんだよ。」
職員室へ急いで向かいながら、山本が結城に問いかける。
「状況だけ言えば、吉田君と、伊藤さん…入部希望の子が喧嘩してるんだよ。」
「はぁ?どうしていきなり喧嘩になるんだよ?」
職員室の前でいったん足を止め、大まかな状況を説明しだした。
「最初はね、すごく普通というか、むしろ和気あいあいとしたムードだったんだ。とんとん拍子で、入部することになって、今後の活動内容の話になったんだ。」
「そこで喧嘩が始まったのか?」
「まあ、そうなんだけど。説明も長くなりそうだから、どうして喧嘩してるかだけ言うよ。伊藤さんが吉田君に、『あなたには部長としての資質がありません。広報担当の山本先輩のほうが適任だと思います。』とか言い出したんだよ。」
数秒の沈黙の後、ひきっつた顔で山本が口を開く。
「帰っちゃ、ダメか?すごく、入りたく、ないんだけど。」
嫌がる山本に、結城がすがるように頼む。
「山本君が伊藤さんを説得すれば丸く収まるから。お願い!」
「いやいや、俺が行くと絶対話がややこしくなるだろ。てか、伊藤だっけ?そいつの中でどうして俺のほうが部長に適任になってんだよ?」
「それは本人に聞いてよ。とりあえず、これ以上こじれないうちに片付けよう。」
結城はそういうなり、山本の手をつかみ、職員室に入っていった。
「とりあえず本人連れて来たよ!」
吉田が山本に聞く。
「山本!結城から説明は聞いたか?」
「聞いたけど、とりあえず落ち着け吉田。そんなに騒いだりするから部長に向いてないとか言われるんじゃないのか?」
山本の発言に入部希望者とおぼしき、女子生徒が乗ってくる。
「やはり山本先輩もそう思うか!…っと自己紹介が遅れた。私は伊藤聡美だ。私はあなたのプレゼンに感動してこの部に入ろうと思ったのだが、こんな部長で大丈夫なのか?」
伊藤の迫力に押されながらも山本は答える。
「大丈夫だと思うぞ。吉田は無計画で行き当たりばったりだが、何かを思いついてからの行動は素早いぞ。」
「私はそこが心配なんだ。計画性のない企画はいいものにはならないと思うぞ。」
「そこは、ほかの部員がサポートすればいいんじゃないのか?実際、イベント部も、プレゼン参加も吉田が言い出したことだし、そんな行動力のある吉田が部長であるべきだと俺は思うが、何か意見はあるか?」
山本は、伊藤だけでなく結城と田中にも聞いた。二人とも首を縦に振ることで肯定する。伊藤は反論できないようで、次に発する言葉を必死に探しているようだった。そんな彼女に追い打ちをかけるように山本は言葉を続ける。
「正直言って、結城も俺もあんまり計画性のある方じゃないんだ。そこが気になるってことは、伊藤はしっかり者なんだな。だったらぜひイベント部に力を貸してほしい。ダメか?」
伊藤は悔さの中に少し嬉しさの混じったような表情で答える。
「それはずるいぞ、断れないじゃないか。」
伊藤の敗北宣言とも取れる言葉に山本は、笑いながら答える。
「まあ、一緒に頑張ろう。これでノルマ達成だから、おい犬井。書類出せ。」
犬井は引出しから紙を一枚出しながら言う。
「俺はこんな疲れそうな部の顧問をしなきゃならんのか。頼むから問題だけは起こすなよ。」
そういって結城のほうに紙を差し出す犬井。それを受け取りながら結城が犬井に聞く。
「どうして僕に渡すんですか?普通、振った山本君か部長の吉田君だと思うんですけど。」
「そりゃああれだ、信頼度の違いってやつだ。」
「なるほど。それとプレゼンの件問題にならなかったんですか?」
結城が、職員室に来る時から心配していたことを聞く。犬井はまるで馬鹿を見るように結城の質問に答えた。
「なるわきゃねえだろ。教師陣には俺が進行役をかってでるときに説明したからな。」
それを聞いて安心した結城は、渡された紙に目をやり吉田に提案する。
「後回しにすると忘れそうだし、ここで書いちゃおうか?」
「そうだな。結城書くの頼むな。」
さらっと面倒事を押し付ける吉田にため息をつきながら書類を埋めていく結城。
「名前ぐらい自分で書いてね。」
各々、自分の名前を書き込み、結城に書類が戻ってくる。そこで結城が唯一残った空欄を指しながら、犬井に質問をする。
「部室ってどこを使えばいいですかね?」
「その欄は、俺が空いてる教室探して、書いとくわ。イベント部は明日から活動開始だから、今日はかえっていいぞ。」
そう言われた五人は職員室を後にする。職員室を出たところで結城が提案する。
「これでイベント部が設立できたんだけど、まだほとんど初対面のメンバーもいるし、これから親睦会でも開かない?」
「それいいな、どこでする!?」
吉田が同調して、場所の相談が始まる。五人は思い思いの場所を提案しながら学校を後にした。
ようやく部活設立にこぎつけました。いろいろツッコミどころ満載ですが、そこはスルーしてやってください。
突然ですが、次話『親睦会にて』…。を持って、この『怠け者とバカとオタクが部活を立ち上げるようです』を完結としたいと思います。
理由は大きく二つ、一つはこの状態で続けるのは筆者及び、作品に悪影響が出ると判断したからです。その理由として更新ペースを早く設定しすぎ、内容を吟味しないまま書き急いでいるからです。
二つ目として、作品の形に限界を感じたからです。今までこの作品では、第三者視点で執筆してきましたが、もっとキャラクターの感情や、考えを前面に出していきたいと考え、一度話を完結させて、新しくこの続編で、話ごとに各キャラの主観で語られる形で改めて執筆を始めたいと思います。
長々と失礼しました。次回最終話は、現状確認です。イベント部の活動は、先程発表した通り新しい作品として執筆する予定です。このような形になり大変申し訳ないですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
【人物紹介】
伊藤聡美 山本のプレゼンでイベント部に興味を持った一年生。真面目だが、思い込みが激しく融通が利かない一面も。




