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いつもの日常―ロリコン

本日も空は晴天なり。

本日も女子小学生は元気に登校中なり――― 

僕は小学校に隣接している我が家の窓から校門に殺到する小学生達を観察していた。

特に可愛い女子小学生を血眼になって探しながらね。

カーテンの隙間からは盗撮、じゃなくて撮影用の高性能カメラを忍ばせ、その横に僕の顔がある。

ちなみに顔は前に告白してきた17歳の熟女からロリコンじゃなければカッコいいのにと言われたほどだ。

最近になってからというもの誘拐だの、不審者だのやたらと物騒だからね。

昔はここまで物騒じゃなかったのに。

それに子供は国家の宝とも言うしね。国に貢献してる僕チョーえらい。

とまあしっかりと大義名分もあることだし大丈夫。

それにもし、見られたとしても小学生のことだ。幽霊が住み着いている家として噂が流れる程度だろうし。むしろ、それならそれでもう少し堂々と撮影できるだろうか。

そんなこんなで観察していると僕の御眼鏡に適う可愛い少女を発見。


「おっ! あの娘、可愛いなぁ」


僕の目に飛び込んできたのは綺麗な髪をこれまた綺麗にポニーテールにした女の子。

僕はポニーテールが大好きだ。特にサイドテールが好きなんだ。

そう思いつつ可愛いポニテの少女を撮影する。

う~ん、時たま風になびく綺麗な黒髪が麗しく映える。実に僕好みだ。

だが集中して撮影していた僕の耳に雑音が入る。


「ちょっと、ゴミだし行ってきてくれない? 母さん今、手が離せなくて」


一階から母親がゴミだしを頼んできた。

撮影があったため少し悩んだが、ゴミ捨て場は学校の近くにあるので少女達に近づくチャンスだ。

あわよくばお近づきになれるかも……うへへ。

そんな妄想と臭いゴミ袋を引き連れながら一階に降り靴を履き玄関を出る。

だけど、よく考えたらこんな臭い袋持ってたら美少女が近寄ってくるわけなかった。

早くも僕の妄想は打ち砕かれた。

少しがっかりしながらも、とっとと撮影に戻ろうと思い足早にゴミ捨て場に向かう。

ゴミ捨て場は道路の向かいにある。右見て、左見て、また右見て。よし、車無し! 安全確認もし終わり渡ろうとした。

まさにその時猛スピードで走る車が僕めがけて突っ込んでくる。


「うわっ!」


思わず驚いて後ろに尻餅をつく。

すんでのところで轢かれずにすんだが車の運転手は外国語で怒鳴り散らした後、懲りずにまた猛スピードを出して去っていった。


「ったく、気をつけろよな。僕はともかく少女達を轢いてたらただじゃ済まさなかったよ」


そうぼやいてゴミ捨てに戻る。幸い目撃者もおらず大事にならずに済んだようだ。

ようやく目の前のゴミ捨て場に臭い袋を捨てたところで即座にきびすを返す。

すると我が家の玄関の前には、なんと! 女子小学生が立っている。

僕は嬉々として少女の下へ駆け足で向かった。


「君、どうしたの?」


うん、我ながら最初の声がけとしては悪くないな。軽く自己満足に浸り少しニヤニヤする。

おっと変にニヤニヤしたら変質者として通報されちゃう。気をつけないと。


「お兄さん、この家の人?」


少女が返答してくれた。おほ~! これは脈アリか! 続く言葉を探っているとまたも少女が話しかけてくる。


「カーテンの隙間のカメラ見えてますよ」


その言葉にどっと冷や汗が溢れ出る。あばばばば、いや待て落ち着け僕。相手は小学生だ。

言いくるめればいけるはず。うん、いけるはず。いけるさ僕。

そんな僕の甘い考えを否定するように、


「盗撮してるんですか?」


あ~、もう終わったかな。僕の人生、この先、一生ロリコンと呼ばれ蔑まれるのだろうか。

そんな悲観的観測をするほどに僕は追い詰められていた。まさか愛すべき女子小学生に人生を終わらせられるとは……。ははっ、皮肉なもんだね。顔面蒼白で冷や汗だらだらの僕を見て少女は、


「あはは、落ち着いてよお兄さん。別に警察につーほーしたりしないから。ただ、ちょっと協力してほしいんだ」


そう言って少女は一枚の髪を手渡してきた。


「今日の午後四時頃にそこに来てね。話はそれから」


手元の紙を見た後さっと顔をあげ、


「え、ねえ――」


しかし、既に少女の姿はなかった。辺りを見渡すもそれらしき人影はない。一瞬幽霊だったのではと疑ってしまう。撮影を霊のせいにしようとしたのがいけなかったかな。

少しばかり怖くもなったが、女子小学生の幽霊ならそれはそれで……。イイね!

まあ、とりあえずこの紙に書いてあるところに行けば大丈夫か、と安楽的発送に至る。 

そのまま紙を握り締め家に戻る。そして帰宅早々に、


「ゴミ出し終わったー? ちょっと買い物行ってくるからー」


リビングから聞こえた母の声。どたどたと廊下に出てきた母は、いつの間にか寝巻きから外着に着替えていた。僕の横で靴を履き終え、


「じゃ、行ってくるから。留守番よろしく」


言い残して母は外出していった。そんな母が玄関から出て行くのを見送った後自室へといく。

登校時間の過ぎた通学路を撮っていてもしょうがないと思いカメラを回収、そして机に向かい少女からもらった紙を前にして、ついテンションが上がってしまう。


「おほ~、女子小学生からの~、恋文~、恋文~」


などと歌いながら嬉々として内容を見る。だがその紙には、


「神坂ミリタリーショップ?」


小学生に似つかわしくないごつごつした印象を持つ文字がそこには書いてあった。

ミリタリー? あの子がここを逢引場所として選んだのに疑問が浮かぶ。逢引するのに、こんなとこ選ぶなんて変わった子だな~。

ぐへへ……まあどこであれ会えるのならどうでもいいや。

さて、とりあえず今日は大学休みだし少女と会ったときのことを考えてイメトレでもしてお

きますか。

そう思いたった僕は座禅をくみ目を閉じ、さも瞑想しているかのような格好になる。

おっと念のために目覚ましを三時半にセットしてと。女子小学生のこととなると行動の早い僕はすぐに妄想する。

そう、ここはお花畑! 僕は女子小学生とピクニック中。

ああ、隣にいるのは……おお! さっきの少女じゃないか! テンションの上がった僕はそのまま妄想の世界に入り込んでいく。

そしてそのまま現実での意識が薄れていった。


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