-自分殺し-
キャンプ場でのお話……
〇〇県のとある場所にある
山奥のキャンプエリア
小.中学生が集まるイベントで
中学生の魅逆と碧依と浬は
イベントに応募し当選し
ハイキングを今楽しんでいる
きゃあきゃあとお喋りをし
見知らぬ周りの人とも
何時の間にか仲良くなり
話の輪も広がっていた
イベントの醍醐味
キャンプエリアでテントを張り
夕飯を囲む…豪華か否か
バーベキューである
魅逆も碧依も浬もジュースを手にし
お皿を持って盛られた物を
話しながら食べていた
眠る前に企画されていた
キャンプファイヤーをやって
1日目は終了
2日目は朝食後
昼食まで近くの川で自由に遊泳
とは言っても先には小さな滝がある
しかし流れは穏やかで
深さも膝まで浸かる程度の浅い川
ボールを膨らませてバレーをする人
時々流れてくる魚を
必死で掴もうとする人
岩に座り足だけ浸り本を読む人
様々な形で普段出来ない事をしていた
やがて時間は過ぎ昼食の時間
昼食後は今夜肝試しをする
山道の確認とルール説明
5人1組になりUターン場所にある
勇気のメダルを首から下げて
少し違う道から帰ると言う
単純なゲーム
皆で皆に迷わないように
再度通路を確認し終えれば
空はオレンジ色に姿を変え
夕方が来たことを告げる
不気味にカラスが鳴き
魅逆はまだ始まっても居ないのに
身震いする 嫌な予感と言うのか…
夕食を終えれば肝試しが始まる
各々チーム毎に懐中電灯を2つ配られ
それから念の為に防犯ブザーが渡された
魅逆 碧依 浬それから
小学生位の男の子2人と
チームを組んでおりとうとう順番が回る
男の子2人……秋と陽輝は最初
「怖い!」「何か出る!!」
など非常に怯えて居たのだが
だんだんと恐怖は消えたのだろう
「僕が懐中電灯持って前歩く!」
「じゃあ後ろ歩いてお姉ちゃん達守る!」
とか言っている
魅逆は言い知れぬ恐怖に狩られ
恥ずかしながらも秋と陽輝に頼む
そんな話をしていれば
碧依と浬が茶化してくるので
「怖くなんかないもん!」
と強がって先頭を歩き始め
やがてUターン場所に辿り着き
人数分の勇気のメダルを取って
皆で首からぶら下げる
何事も無くルートを終え
魅逆はホッと一息吐き出す
あの言い知れぬ恐怖は何だったのか
そんな事も忘れて
他のチームが終わるのをジッと待つ
秋と陽輝も自分達の知り合いの下へ
掛けていきそこには3人が残る
いや他にもたくさん居ますがね
全てのチームが肝試しを終え
皆でワイワイガヤガヤと
キャンプエリアへと戻り
少し話をしてテントへと帰って行く
魅逆達のテントにはやはり6人ほどが
ぎゅうぎゅう詰めな形で入っており
その内碧依が皆の記念にと
ビデオカメラを取り出し
今日の事を撮影し始めたのだ
「私は佐伯 碧依!!20XX年8月X日
今日は〇〇県のキャンプエリアに
来ちゃってまーす!!
明日が帰りの最終日だから
記念に撮っちゃいました!イェーイ!
さぁさ皆も自己紹介自己紹介♪」
「じゃあ私次行きますね…
私は渡辺 志織……今年の夏最後の
思い出作りに来ました♪
キャンプファイヤーに肝試し
スッゴく楽しかったです!!」
「次あたし!!名前はねー
西村 浬でーす♪碧依に魅逆の同級生♪
花も恥じらう乙女な中学2年生♪」
「コラ浬〜嘘はいかんぞ嘘はー」
「え〜〜〜!嘘じゃないじゃんっ」
「まぁまぁ次はあたしの番よ〜
ちなみにあたしは同じく中学2年生の
相澤 湊!学校は違うんだけど
キャンプで仲良くなっちゃいました♪」
「で…湊と来た私……
長谷川 純…湊のテンションには
付いていけなくて困ってるわ…
でもイベント位はっちゃけなきゃね!」
きゃあきゃあしながら
ビデオカメラに向かって
テント内は盛り上がる
「そして最後あたしは霧崎 魅逆♪
同じくキャンプエリアに居ますよ♪
きっと今日の事は忘れない!
あたしにとって最後の日だからね」
魅逆が言った直後皆が少し固まる
「魅逆…魅逆にとって最後の日って?」
「うあちゃー…あたしそう言ってた??
ごめんごめん……あたしにとっても
キャンプ最終日ってそゆこと〜」
魅逆がケロッと笑うので
碧依も浬も志織達も笑い出す
流石にもう寝なければ
明日の朝早い出発に間に合わないため
それぞれテント内で眠りにつき始める
どうしても碧依だけは眠れず
悪戯にビデオカメラを回し
皆の寝顔を撮る内に
カメラを手にしたまま
碧依は眠りに付いていた
静まり返る中聞こえるのは
電源を落とし忘れたビデオカメラの音と
彼女達の規則正しい寝息
やがて朝が訪れ…誰かが外に出た瞬間
「きゃあああああっ!!!!!!!」
そんな金切り声が森に木霊する
その声で碧依達は目覚め
異様さを感じ取る
テント内に魅逆が居ないのだ
寝袋から綺麗に居なくなっている
気付けばビデオカメラも
変な…いやテントの出入り口から
外を映すかのように置かれていた
流石の碧依も寝ながら
ビデオカメラをそんな場所に
置ける筈がない
碧依達のテント内だけは
重い沈黙と静寂に包まれる
誰もが予測出来たのだ…突然消えた魅逆
外からの悲鳴…置かれたビデオカメラ
魅逆が死んだ……
自然と外に出るのを拒む
ビデオカメラを再生するのも拒む
しかし外には出なければならない為
恐る恐るではあるが5人は出て来る
案の定魅逆は帰らぬ人になっていた
誰が殺した?やっちまった??
それの言い争いに成り代わる
山奥だが携帯はなんとか通じる為
イベント開催側の責任者が
冷静に警察を呼ぶ
死因は全身打撲と溺死であった
事情聴取と言われ碧依達は
警察署へ足を運び
例のビデオカメラを再生する事になった
そこには信じられ無いモノが映っていた
ビデオカメラには一部始終が映され
何故か終わった直後に
録画保存されご丁寧に
電源まで切られていたのだ
ビデオカメラに収められた内容は
魅逆の独り言から始まって居た
「さようならさようならさようならさようならさようならさようならさようならさようならさようならさようならさようならさようなら…こんな世界…」
ずっと誰かに向けてなのか
さようならと言い続け
魅逆は当たり前のように
一番高い場所にある石の上に乗る
魅逆は何かに押されたように
川へと落ちていく……
その"何か"を知った瞬間
警察も碧依達も絶句してしまった
そう 魅逆は魅逆自分自身に
岩から突き落とされて死んだのだ
警察が後に調べ直した所
過去数年前にその場所で
岩から落ち自殺した女の子が居たそうな
以上が数年前に
自分がキャンプ場に行った時のイベ
百物語みたいな時に話した内容です
他にも話した気はしますが
一番怖がってもらえたのが
この内容だったので……
しかしまぁ
本当に自分殺しがあったら
怖いなぁ(´・ω・)