-赤いクレヨン-
聞いたお話なんだけどね
小学生の美桜ちゃんは
ずっとお部屋に隔離されてて
学校もほとんどお休みして
誰とも関わりを持たなかったんだって
両親と話している姿や触れ合う姿は
近所でさえ見た事が無いってさ
箱入り娘を越えた感じ
とある日 同級生の那月ちゃんが
同じクラスの清哉君と藍莉ちゃんと
それから葉音君の4人で
美桜ちゃんのお家に行ったんだよね
両手にはたくさんの
プリントや皆からのお手紙を
たくさん抱えてピンポーンって
チャイムを押したんだって
案の定お母さんが出たんだけど
やつれててすごい怖い感じだったみたい
痩せ痩けたのかまたノイローゼなのか…
とにかく小学生の目には
怖い人にしか見えなかったが
声はすごく優しかったので
簡単に警戒を解いた
葉音君がキチッとして
美桜ちゃんのお母さんに
美桜ちゃんへの手紙や
大切な学校のプリントを
礼儀正しく手渡した
余りの礼儀正しさに
美桜ちゃんのお母さんも
思わず頭を下げて
プリントやらを受け取った
隣かなんかで那月ちゃんに
清哉君が喉渇いた なんて言うから
美桜ちゃんのお母さんは
ジュースでもってお家に上げたんだよ
瞬間藍莉ちゃんが俯いて
ガタガタ震えだしたんだよね
「わたし…早く帰らなきゃ…なので…」
青白い顔して告げられ
那月ちゃんも心配し
葉音君もフラフラする
藍莉ちゃんを支える
清哉君がおかまいなしに
家に上がるものだから
結局4人全員で上がることになった
部屋は綺麗で家具もテーブルも
掃除してあるのだろう
大切にされているのが
子供ながらに理解出来ていた
気になるのは藍莉ちゃん
家に上がった途端に
葉音君の支え無しでは歩けないほど
もう何かがおかしかったのだ
葉音君は必死に藍莉ちゃんを支える
美桜ちゃんのお母さんは
心配する素振りを見せないので
やや疑問が3人の中に浮かんだ
なんで心配しないんだろうか
その一文である
ジュースを一杯ずつ貰い
那月ちゃんが美桜ちゃんについて訪ねる
……けど
美桜ちゃんのお母さんは
「美桜は病気なの…懸命に戦っているから心配しないで頂戴ね」
それだけを強く言い
重い沈黙が4人の間を駆け巡る
藍莉ちゃんだけが深く沈黙し
ジュースにも手を付けていなかった
探求心は負けない子供
"美桜のお部屋"と書かれた
札がぶら下がる部屋を見つけては
無理矢理開け放って全員が硬直する
だって部屋は真っ赤だった
美桜ちゃんらしい姿もない
4人が見た物は
真っ赤な部屋……いや
白い壁一面に小学生の少し汚い字で
"たすけて" "こわい" "いやだ"
と連なってびっしりと書かれていた
4人は慌てて逃げ出した
ランドセルを背負わず
手に持って一目散に駆け出した
美桜ちゃんのお母さんは追ってこない
後日は4人以外に
また3人ほど連れて大勢で
美桜ちゃんの家に行ってみた
でもお母さんは出て来ない
誰も居ないようだった
酷く家がボロボロな気がする
途方にくれていると
藍莉ちゃんが渋々と話し始めた
藍莉ちゃんには美桜ちゃんのお母さんは
見えてなかった 皆が何と話してるか
それを理解した瞬間
フラフラし倒れそうになるのを
必死で抑えていた…部屋に合ったのは
カビの付いた家具に
むちゃくちゃに切られた
テレビのコードなど
もう何年も人が居ないかのような
荒れようで 赤いクレヨンが
そこかしこにぶち撒かれていたそうだ
閲覧 ありがとうございます
赤いクレヨンって怖い話が
数個あったので
便乗して作成しちゃいました
もちろんながらフィクションです