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おにぎりで平和になったら

作者: 昼月キオリ
掲載日:2026/03/08


激務でボロボロになっていた会社員の柚月(24)はフラフラと歩いているうちに"おにぎり屋"を見つけて足を止めた。


古い木目調のこじんまりとした小さなお店。

テイクアウト専門だ。

萌葱色の旗におにぎりと控えめに黒い字で書いてある。


中から割烹着を着た30代の女性が顔を出す。

長い髪を綺麗に纏め、後ろでお団子にしている。

大和撫子を絵に描いたような女性だった。


わっ、綺麗な人だな・・・。


「いらっしゃいませ」


「あ、えーと・・・鮭と昆布一つずつお願いします。

すぐ食べるのでそのままでいいです。」


「はい。ありがとうございます。

そちらに椅子がありますので良ければ。」


手で案内されたのは木で出来たベンチが一つ。

大人三人ほど座れそうだ。


「ありがとうございます。そうします。」


他にお客がいなかった為、柚月は椅子に座った。

おにぎりを一口食べる。


温かい・・・美味しい・・・。

たったそれだけのことなのに

柚月の目から涙がポロポロと溢れてきた。


「え!?どうされました!?」


「・・っ・・・すみません。温かいご飯食べるの久しぶりで・・・。」


「そうなんですか?」


「はい。仕事忙しくてコンビニ弁当ばかりで・・・」


「顔色も悪いようですし少し休んだ方が良いのでは・・・すみません、事情も知らないのに意見してしまって。」


「いえ。そんなことないです。嬉しいです。

ありがとうございます・・・。俺、少し休みます。

これからのことはそれから考えようと思います。」


「ゆっくりいきましょう。疲れたらまたここへ羽を休めに来て下さい。

元気が出るように一生懸命作りますから。」


店員が両の手をぐっと握って控えめにガッツポーズをする。


「はい!」


おにぎりを食べて心が平和になる日が来るなんて思いもしなかった。

でも、きっかけなんて小さなものかもしれない。

また来よう。









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