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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

誰が正しい?

1-1 親友に薬の情報を教える

作者: 黒栗鼠

この世界は法の支配は無い。

ただただ、人を殺すことは悪い。人の物を盗むのは悪い。と言う程度のモラルがあるだけだ。罰する者は村長だが、犯罪捜査をするような者は居ない。ただ村人同士助け合おう。そんな村でのお話。

私は森の中にある村の唯一いる薬師。

森に囲まれた村の為、生薬の原料となる薬草は多く、時々村に立ち寄る行商人に生薬を売ったり、ここらでは入手出来ない薬の原料を購入したりして薬を作って生活していた。


今、村の中では流行り病が広がり始めていて、私の母親も病に臥せってしまい、母親の看病をしながら病に効く薬を作っていた。商人から購入した貴重な薬品や、今の時期には手に入れる事の出来ない生薬を使いどうにか一人分の薬が完成した。

早速自宅にいる母親に薬を持って出かけようとした所に親友が部屋に飛び込んできた。


親友:「俺の妻が流行りの病で倒れた!今すぐ薬をくれ!」

薬師:「それは大変だ。だけど状態を見てみないと薬は処方出来ない。これから奥さんを診察しに行こう。」

母親の為の薬と、一般的な薬を鞄に入れて親友の家へと向かった。


親友の家に着き、親友の妻を診察すると流行り病の症状と酷似していた。

今、一人分のこの病に対する薬が鞄の中にあるが、これを処方してしまうと私の母親の薬が無くなってしまう。


薬師:「申し訳ない。私の母親も流行り病に臥せっていて、つい先ほど薬が出来た所なんだ。薬を作る材料の手持ちはもう無くて…これ以上作ることが出来ないんだ。私は母親に飲ませたく思っているんだ。申し訳ない。」


拳を強く握り、絞り出すように私は親友に打ち明けた。


親友:「なら、必要な材料を教えてくれ!俺が集めてくる!」

今の時期に手に入りづらい生薬、行商人から手に入れた薬剤のいくつかを教えた。

他に必要な生薬もあったが、親友が必要な薬剤を持って来てくれれば在庫から出そう。


材料が集まったら持って店に来てくれるという約束をし、その場凌ぎにしかならないが薬を幾つか渡した。

家路につき、母親に薬を飲ませた。


数日後、母親の体調は良くなり、今までのように動けるようになった。しかし、親友の妻は帰らぬ人となってしまった。

そして親友も薬の材料を集めに出かけてそのまま戻ってくることはなかった。


バン!

仕事場でいつものように仕事をしていると扉が力強く開けられた。数人の屈強そうな男たちが店内に入ってきた。

薬師:「いらっしゃい。何かお求めですか?」

男達の中のリーダー格らしい男が何かが書かれた紙を私に見せながら

リーダー:「お前が流行り病の薬のレシピを作った奴で間違いないな?」

紙に書かれていたものは親友に教えた材料の一覧だった。

薬師:「あぁ、それは私が親友に教えた物だ。しかし俺を教えたのは親友だけのはずだが彼はどうしたんだ?」

リーダー:「そうか。これで薬は完成するんだな。オイ、こいつを連れて行け。」

そして私は男達に囲まれて連れ出されてしまった。


着いた先で薬剤を集めていた親友が、薬の情報と私の事を中々話さない事で拷問を受けて、亡くなったことを知った。

そして私も監禁と拷問の末流行り病の薬の作り方を話た。そして実証も行った。

その後私は口封じに殺された。流行り病の薬の販売の独占を行う為だというだけの理由でだ。



私はどうしたら良かったのだろう?

親友の妻を助けて、母親を諦めたら良かったのだろうか?

それとも、薬の情報を教えてはいけなかったのだろうか?

それとも薬を作った事が罪だったのだろうか?

それとも他に私は死なない良い案はあっただろうか?

何をしたら、何があったら不幸の連鎖は防げるのだろうか?

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