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09話:怪我をした姫川をおんぶしていく

 俺はすぐに姫川に近づいて足元を見ていった。


「もしかして足を捻ったのか?」

「は、はい。そ、そうかもしれません……足を動かそうとしたら少し痛いというか……」

「なるほど、それはすぐにでも手当しないとだな。よし、それじゃあ今から俺ん家に来いよ。ここから近いからさ」

「え、今から先輩の家に? あ、も、もしかしてー……私が怪我してるからって私の身体を弄ぶ気なんですか? ふ、ふふ、もう、先輩はえっちぃんだからー……」

「そんな事するわけねぇだろ。馬鹿かお前は。怪我の手当てをするだけに決まってんだろ」

「ふ、ふふ、もちろん分かってますよ。でもその、私……ちょっと足が痛くて……今はまだ、ちょっと動けないというか……」

「あぁ、そりゃあそうだよな。よし、それじゃあ俺が怪我してるお前をおぶってアパートまで連れてってやるよ」

「え? せ、先輩が私をおんぶするんですか?」

「そうだよ。だからほら、さっさと俺の背中に乗っかれよ」


 俺は腰を下ろしていき姫川の方に背中を向けていった。俺は姫川をおんぶする体勢になっていった。


「あ……は、はい。そ、それじゃあその……失礼します」

「おうよ」


 そう言って姫川はゆっくりと俺の背中に乗っかっていってくれた。そして姫川はちょっとだけ恥ずかしそうにしながらこんな事を尋ねて来た。


「あ、あの……私、その……重くないですかね?」

「んーそんなの普通だよ普通。別に軽くも重くもねぇよ」

「は、はぁ!? ちょ、ちょっと先輩! そこはお世辞でもめっちゃ軽いっていうべき所ですよ!?」

「残念だけど俺は嘘を付かない真っすぐな人間なんだよ。よし、それじゃあさっさとアパートに向かうからな」

「は、はい、わかりましたよ。はぁ全くもう……ふふ、でもやっぱり先輩って面白い人ですよねー……」

「んー? 今何か言ったか?」

「いえ、何も言ってませんよー。よし、それじゃあ安全運転で案内をお願いしますね!」

「おう。わかったよ」


 という事で俺は姫川をおんぶしていきながら、そのまま俺の住むアパートに連れて行く事にしていった。


◇◇◇◇


 俺の住んでるアパートに向かう道中。


 俺は姫川をおぶりながらこんな事を尋ねていった。


「それにしても何であんなタチの悪そうなナンパに引っかかってたんだよ? いつものお前ならあんなの華麗にスルーしてんだろ?」


 俺はファミレスのバイト中に姫川が男性のお客さんにナンパされてる場面なんて何回も見て来た。


 そしてその度にいつも姫川は華麗にスルーしてたので、ナンパなんてあしらうのは得意中の得意なんだと思ってた。


 それなのに今日の姫川はタチの悪そうなナンパに引っかかっていたので、何だかそれはちょっと意外だなと思った。


「あー、いや実はそのー……私が最初にあの男の人達に絡まれてたという訳じゃなくて、実はその前に別の二人組の女の子があの男の人達に絡まれてたんですよ」

「あ、そうだったのか?」

「はい、そうなんです。それであまりにもタチの悪い絡まれ方をしてて何だか可哀そうだったので、私がそのナンパに割り込んでいって二人組の女の子達を先に帰らせてあげれたんですけど……そしたら標的が私に変わってしまってそのまま囲まれてしまったというわけです……」

「ふぅん、なるほど。そういうことか」


 どうやら姫川よりも先にナンパされてた二人組の女の子がいたらしく、それを助けるために姫川はナンパ男達に突撃していったようだ。


 その結果自分が危ない目に遭ってしまったんじゃ色々と本末転倒な気もするけど、まぁでも……。


「はは、何だよ。お前カッコ良いじゃん」


 でも俺は姫川が二人組の女の子を助けたというのを聞いて率直にそう思っていった。そして俺はそのまま口に出してカッコ良いと姫川に言っていった。


「えー……カッコ良いですかー? そんなのよりも“彩ちゃんは可愛いね”って言って貰えた方が100万倍嬉しいんですけどー?? ふふ、私女の子なんだからもっと嬉しがるような言葉を使って褒めてくださいよねー??」


 すると俺の頭上から姫川の不貞腐れたような声が聞こえて来た。でも姫川は楽しそうにしながら笑っていたので、俺も笑いながらこう言っていった。


「はは、それは悪かったよ。女心がわかんなくてすまんな。これからは気を付けるよ……って、あぁ、到着したぞ。ここが俺の住んでるアパートだ」

「おー、ここが先輩の住んでるアパートなんですね。ふむふむ、結構綺麗なアパートなんですね!」

「まぁ学生向けのアパートだから、外観とかセキュリティとかには結構気を使ってるっぽいな。よし、そんじゃあ、さっさと部屋の中に入ってお前の怪我の手当をしていくぞ」

「はい、わかりました。それじゃあよろしくお願いしますね!」

「おうよ」


 という事で俺はそう言って姫川をおんぶしたままアパートのエントランスの中に入って行き、そのまま俺が住んでいる303号室の前にまでやって来た。


―― ガチャ


 そして俺は303号室の部屋のドアを開けていき、俺は姫川と一緒に部屋の中に入っていった。

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