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04話:数日後に姫川と再会する

 そんなエロ猿先輩達とのやり取りがあってから数日後の夕方。


「お疲れさまです、先輩」

「おう、姫川か。お疲れさん」


 いつも通りバイト先のファミレスで働いていると、ちょうど今ファミレスに入ってきた姫川がそのまま俺に声をかけてきた。どうやら今日は姫川と同じシフトのようだ。


 そして姫川と会うのはあのエロ猿先輩達の猥談に遭遇した以来だ。だから何だか久々に姫川と会った気がする。


「はい、お疲れさまです。えっと、その……先日はありがとうございました」

「あぁ、そんなの全然良いよ。だけど姫川も災難だったな。あんな事を言われるなんて普通に嫌だよな」

「はい……」

「とりあえずあのエロ猿先輩達にはかなりキツく注意しておいたから、しばらくはセクハラまがいの猥談とかは聞かされずに済むと思うぞ。だけどもしまた何か変な事を言われたりしたら俺に言えよ。そん時はまた俺の方から厳重に注意してやるからよ」

「はい、その……ありがとうございます」

「おう。って、どうしたよ? いつもはウザいくらいに元気いっぱいにダル絡みしてくんのに……今日は全然元気ないじゃん?」

「い、いや、まぁそれは……」

「んー……あぁ、わかった。ひょっとして俺にジュース奢って貰えなくてずっと不貞腐れてんのか?」

「い、いや、それは……って、えっ?」

「はは、そんな事で不貞腐れるなんてお前もまだまだ子供だな。それじゃあ後でジュース奢ってやるからそれで元気出せよ。って事でもう不貞腐れんなよなー」

「い、いや、違いますよ! 不貞腐れなんていませんって! で、でも私はその……先輩にすっごく助けて貰ったのに、それなのに今日もいつも通りちょっかいをかけるのは流石に申し訳なさすぎるよなぁ……って思ったり思わなかったりして……」


 姫川はしょんぼりとしながらそう言ってきた。何だか凄く反省しているような様子だった。


 でも俺はこんなにもしょんぼりとしてる姫川を見たのは初めてだったから、俺はそんな姫川の姿を見てちょっとだけ笑ってしまった。


「はは、なんだよお前? どうしたよ、そんな普通の人みたいな事言ってさ?」

「……えっ? い、いや、ちょっと先輩……私はいつだって凄く普通な女の子なんですけど?」

「はは、まぁそうかもしんねぇけどさ、でも俺と絡んでる時のお前っていつも元気いっぱいにクソダルい絡みしてくんじゃん?」

「う……そ、それはまぁ……そうかもしれないですけど……」

「だろ? ってかそんな毎日元気いっぱいなヤツが急にしょんぼりとしてたら逆に心配になるわ。はは、だから俺に迷惑かけたとかそんなの全然気にしないで良いから、さっさといつも通り元気いっぱいでクソダルい状態の姫川に戻っとけ。な?」

「先輩……」


 という事で俺は笑いながら姫川にそんな事を言っていった。すると姫川はしょんぼりとしていた様子から少しずつ立て直していき、少しだけ笑みを浮かべていきながらこう言ってきた。


「……はい、わかりました……よし! それじゃあもうお淑やかモードは終わりです! そんなにいつもの彩ちゃんが大好きだっていうのなら、これからもいつも通り元気いっぱいで先輩に接してあげますよ! ふふん、覚悟してくださいね、先輩!」

「おう。まぁあまりにも調子に乗ってウザったるかったら流石にブチギレるけどな」

「えっ!? せ、先輩がいつも通りに絡んでこいって言ったのにそれは理不尽でしょ!?」

「はは、冗談だよ。冗談」


 姫川はいつも通りの感じで元気いっぱいにそう言ってきたので、俺も笑いながらいつも通り軽口を叩いていった。


「はぁ、全くもう、先輩はすぐ冗談ばっかり言うんだから。それにしても先輩ってアレですよね。相手が目上の人でも物怖じせずに全力で注意したりするなんて……先輩ってメンタルが鬼強いというか、絶対に心臓に毛が生えてるというか、むしろ空気を全然読まないだけというか……ふふ、何だかやっぱり凄い人ですよね!」

「それって褒めてんのか?」

「はい、物凄く褒めてますよ! だから改めて……本当にありがとうございました!」

「おうよ」


 そう言って姫川は満面の笑みを浮かべながら改めて俺に感謝の言葉を伝えてきてくれた。とりあえずこれで一件落着かな?


「あっ、でも、そういえば……」

「ん? どうした? 何かあったか?」

「いや、今回はあの先輩方は私の事を題材にして物凄くえっちぃ話をしていましたけど……でももしかして先輩もそういうえっちぃ目で私の事を見てたりするんですかね?」

「……は、はい?」

「まぁでもそうですよねぇ……だって男の子なんて皆えっちぃお猿さんだって昔から良く言いますし。という事はやっぱり先輩も私の事をえっちぃ感じで見てるんですよねー?? あはは、先輩のえっち……って、あいた!」


―― ピシンッ


「エロい目でなんて見てねぇよ。はぁ、全く……」


 俺はいつも通り軽くデコピンをかましながらそう言っていった。すると姫川はデコピンをされたおでこを擦りながらジト目になって俺にこう言ってきた。


「も、もう先輩っ! こんな可愛い女の子にデコピンをするなんて体罰ですよ! 絶対に訴えてやるんだから!」

「体罰じゃなくて教育だよ。はぁ、全く……ま、でもそうやってエロ系の話に自ら乗るのは良くないぞ。最近は変質者とかも増えてきてるんだから、そういう話はあんまり外ではしないようにしとけよ。お前にもしもの事でもあったら大変だからな」

「え? え、えっと、あ、もしかして先輩って……私の事を心配してくれてるんですかね?」

「? お当たり前だろ。というか後輩の事を気に掛けない先輩なんてこの世の何処にもいねぇだろ」

「先輩……はい、そうですよね……ふふ」

「ん? どうしたよ? いきなり笑いだして?」


 俺は調子に乗ってエロ話みたいなのにも乗っかろうとする姫川にそんな注意をしていったんだけど、すると何故か姫川はふふっと笑みを浮かべ始めていった。


「いえ、やっぱり何というか……ふふ、やっぱり先輩ってカッコ良いですねー! よし、それじゃあそんなカッコ良い先輩には“後輩ちゃんポイント”を5ポイント差し上げましょう!」

「後輩ちゃんポイント? 何だよそれ? それが貯まると何が貰えるんだ?」

「最高に可愛い後輩ちゃんによる満面の笑みが貰えますっ!」

「なんだそれ要らねぇよ。ってかそんなしょうもない事言ってないでさっさと仕事してくぞー」

「なっ!? 私の満面の笑みはしょうもなくないですよ!? って、あ! ちょ、ちょっと待ってくださいよ先輩ー!」


 そう言って姫川はプリプリと怒りだしていったけど、その後はまたいつも通りしょうもない雑談とかをしていきながら一緒にバイト時間を過ごしていった。

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