12話:クリスマスもよろしくな
それから数日が経過した。
今日は久々にバイトの日だった。という事でいつも通りファミレスの事務所にやって来ると……。
―― ガチャッ
「お疲れ様です」
「あ、お疲れさまです、先輩!」
「ん? おう、姫川じゃん。お疲れっす。足の怪我はもう大丈夫なのか?」
「はい、もう完治しましたよ! 今はもうピンピンしてます!」
「そっか。それなら良かった」
いつも通り事務所にやって来ると、そこにはバイトの制服に着替えた姫川が椅子に座っていた。どうやら今日は姫川と久々にシフトが同じのようだ。
そして姫川とは足を怪我してしまった日ぶりに会ったんだけど、どうやら足の怪我はちゃんと完治しているようだ。すぐに完治したようで本当に良かったな。
「さて、それじゃあ俺もさっさと着替えてバイトの準備をしていくとするか……って、おっ。12月のシフト表出来てるじゃん」
俺は手に持ってた荷物をロッカーにしまいこんでいったその時、事務所の壁に12月のシフト表が貼られてる事に気が付いた。
(という事はクリスマスに出勤してくれるヤツが見つかったって事か)
そんな事を思っていきながら早速俺は12月のシフト表を確認していった。するとクリスマスイブとクリスマスのどちらにも俺はシフトに入っていた。この日は時給アップだし嬉しい限りだ。
さてと、それじゃあクリスマスの俺の相方となるボッチのバイト仲間は一体誰なのかなー……って、あ、あれ?
「……? なんでお前クリスマスにバイトのシフトに入ってんの?」
クリスマスイブとクリスマスのバイト仲間が誰なのか確認していくと……何とクリスマス出勤のメンバーに姫川の名前が書かれていたんだ。
まさか陽キャなリア充の姫川がクリスマスにシフトを入れるなんて思わなかったので、俺は驚きながらも姫川にそう尋ねていった。
「んー? そりゃあ店長がクリスマスに人が居なくてすっごく困っているようだったからシフトに入ったってだけの話ですよー?」
「いや、そりゃあ店長めっちゃ困ってたけど……でもお前はクリスマスにパーティするんじゃなかったか? それなのにクリスマスにシフト入れちゃって良かったのかよ?」
「もちろんサークルメンバーの子達とパーティはしますよー。でもそれはクリスマスイブにするんで。だから奇跡的にクリスマスだけは空いてた事にちょっと前に気が付いたんですよ!」
「ふぅん? リア充なお前の事だからイブもクリスマスもどっちもパーティー系のイベントが入ってると思ってたんだけど、そういうわけじゃなかったんだな」
「はい、そうなんですよー。それで店長にクリスマスにバイトに入って欲しいって言われた時に……あ、そういえばボッチな先輩もクリスマスはバイトしてるんだよなーって思ったんで、私もバイトに入る事にしたんです」
「え? 俺がクリスマスにバイトしてるのが何か関係あんのかよ?」
「あはは、そりゃあ当然あるに決まってるじゃないですか! ボッチで陰キャな先輩がクリスマスに一人でケーキを売ってるなんてすっごく可哀そうなんですもん! だからそんな可哀そうな先輩のためにも、この超絶可愛い美少女後輩の彩ちゃんがバイトの相方になってあげるんです! ふふん、どうですかー! クリスマスも彩ちゃんと一緒に過ごせるなんて先輩すっごく嬉しいでしょー??」
姫川は憎たらしいくらい完璧なドヤ顔を決めながら俺にそんな事を言ってきた。俺はそんな姫川のドヤ顔を見ていきながらため息をついていった。
「はぁ、お前には色々と説教してやりたい事があるんだけど……まぁいいや。ってかクリスマスのシフトは11時~19時までって完全にお前と一致してんだな。ふぅん……それじゃあクリスマスはバイト終わったら何か一緒に飯でも食ってから帰るか?」
「えっ!? 先輩とご飯ですか? はい、行きたいです! 是非とも行きましょう!!」
「お、おう? そんな凄い乗り気で来られるとは思わなかったからちょっとビックリしたじゃねぇか」
「ふふ、そんなの乗り気になるに決まってますよ! だってご飯を誘ってくれるって事はつまり先輩の奢りって事ですよねー?? あはは、そんなのすっごく嬉しいに決まってるじゃないですかー!」
「は、はぁ? いや、まぁ別に奢るのは良いけど、でもあんまり高いのは無理だぞ?」
「あはは、冗談ですよ冗談! ちゃんと折半にしましょう! よし、それじゃあ私の方で美味しそうなご飯屋さんを探しておきますね。あ、でもクリスマスだから混んじゃう可能性とかもあるので、もしも予約とか取れそうだったらすぐに予約しちゃっても大丈夫ですか?」
「お前の方で店を探してくれんのか? それは助かるわ。あぁ、わかった。それじゃあ美味しそうなご飯屋があったら予約しちゃってくれて良いぞ」
「はい、わかりました! これはクリスマスが楽しみですねー! あはは、美味しいご飯を食べれるのが今からすっごい楽しみだなー!」
「まぁその前にバイトが沢山あるけどな」
「ちょっと先輩! そういう事を言うのはモテませんよ?? 女の子が楽しみだって言ってるんだからそこはちゃんと同調しなきゃ駄目ですよ!」
「そういうもんなのか。まぁそう言う事なら……あぁ、俺もクリスマスが凄く楽しみだよ。ま、という事でそれじゃあクリスマスもよろしくな。姫川」
「はい、もちろんです! 先輩!」
そう言って姫川は満面の笑みを浮かべていった。そしてその姫川の笑顔は本当に可愛らしい笑みだなと俺はそう思っていった。
……ま、でもそんな事を本人に言ったら調子乗るから絶対に言わないけどさ、はは。
【終】
本作品はこれにて終了となります。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。
他にも色々な作品を投稿していますので、良かったらこれからも筆者の作る作品を楽しんで貰えたら嬉しく思います。
という事で最後に改めてここまで読んで頂き本当にありがとうございました。