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01話:いつも通りバイトをしていると

サクっと終わる短編を作ってみました。

大体三万文字くらいで終わりますので良かったら暇つぶしに読んでいって頂ければ幸いです。

 大学終わりの夕方。


「ふぁああ……ねむ……」


 俺はバイト先のファミレスのレジ前に立ちながら大きな欠伸をしていっていた。もちろんお客さんがいないのを見計らっての欠伸だ。流石にお客さんに見られながら欠伸をするのは接客業としては良くないからな。


 いやそれならそもそもバイト中に欠伸すんなよって話だけど、でも昨日は夜遅くまでレポート課題をしてたから今日は一日中ずっと眠かったんだよ。だから今日は欠伸くらいは許して欲しい。


 という事で俺の名前は鮫島佑さめじまたすくという大学二年の男だ。趣味は筋トレと読書かな。まぁ何処にでもいる至って普通な男子大学生だと思う。


―― ピロリン♪ ピロリン♪


「ふぁああ……あ、いらっしゃいませー」


 そんな感じでさっきから大きな欠伸をしていってたんだけど、急にファミレスのドアが開く音が聞こえてきた。なので俺は欠伸をするのを止めて接客業務に戻っていった。しかしファミレスに入ってきたのは客ではなく……。


「お疲れさまですー! あ、おはようございます、先輩ー! 今日も可愛い彩ちゃんがやって来ましたよー!」

「なんだ。姫川か。お疲れ」

「ちょっとちょっと、なんですかその塩対応はー? こんなにも可愛い彩ちゃんと一緒のシフトで先輩だって本当は嬉しいでしょー? ふふん、だからもっと素直に鼻の下を伸ばしてくれてもいいんですよー??」

「別に嬉しくねぇよ。いいからさっさと働け」


 ファミレスに入ってきたその女の子は楽しそうに笑いながら俺に軽口を叩いてきたので、俺はその女の子にツッコミを入れながらさっさと働くように指示していった。


「あはは、女の子にそんな事言うなんて先輩モテませんよー?」

「うるせ。学生の本分は勉強なんだからモテなくても別に良いんだよ。ってかドア前に立ってたらお客さんに迷惑になるだろうから、せめてこっちのレジ側の方に来てから話せよ」

「はいはい、わかりましたよー。それじゃあ先輩のお隣失礼しますねー!」


 そう言ってその女の子は楽しそうに笑ったままドア前から離れて俺が立っているレジ側の方に移動していった。


 という事で改めて紹介するとコイツの名前は姫川彩(ひめかわあや)。大学一年生の19歳の女子だ。


 姫川とは通ってる大学は違うけど、でもお互いに大学生という事でバイトの時間帯が結構被っているため、バイト先では一番多くシフトが同じになる女の子だった。


 性格に関しては天真爛漫でとても明るくて社交的な感じのいわゆる陽キャな女子だ。大学が違うから姫川の日常生活はどんな感じかは知らないけど、でも友達は沢山いて毎日友達と遊んだりして凄く充実した日々を過ごしていると本人は言っている。


 そしてその社交的なコミュ力を存分に発揮して、ファミレスのバイトメンバーの皆ともいつも物凄く仲良くしており、気が付けばバイトを始めてたったの半年くらいでバイトメンバーの皆から可愛がられるアイドル的な立ち位置にまで上り詰めていた。


 でもそんな天真爛漫かつ明るくて社交的な陽キャの姫川なんだけど、何故か俺に対してはいつも見かける度に軽口を叩いてきたりちょっかいをかけてきたりするんだ。


 一応俺の方が年上だし、本人も俺の事をちゃんと先輩と呼んでいるのに、それなのに俺を先輩だと思ってる素振りは一切見せずに、いつも軽口を叩いたりダル絡みをしてきたりするという超絶クソ生意気な後輩だった。


 そしてそんな社交的な陽キャ女子に対して俺は一人が好きで陰キャな所も多いという自負があったので、姫川との相性は水と油みたいな感じだなといつも思っていた。同じ中学とか高校だったら絶対にお互いに友達とかにはなってなかったと思う。


 でもさっきも言ったようにバイトのシフトがかなり被っている事もあって、気が付いたらいつの間にか俺は姫川とよく喋る間柄になっていた。


 陽キャの姫川と同じ学校だったとしても陰キャな俺との接点がないから友達になる以前に知り合う事すら絶対にないと思うんだけど、本当にたまたまバイト先で同じ時間にいる事が多いからこうやって沢山喋るようになったという感じだ。


 こういう学校では絶対に友達にならないようなタイプの人と出会う事が出来るのはバイトならではって感じだよな。


(それとこれを認めるのは非常に癪なんだけど……姫川にはもう一つ大きな特徴があるんだよなぁ……)


 それは姫川はいつも自分の事を“めっちゃ可愛い”だとか“最強に可愛い”みたいな自画自賛を毎日のように言ってるんだけど……でもその姫川の言葉は腹立たしい事に完全に合っていた。


 俺の目から見ても姫川は滅茶苦茶に可愛い。正直に言って俺が今まで出会った事のある女の子の中で姫川がぶっちぎりで一番可愛いと断言出来るくらいだ。


 だって姫川の顔は小さくて目はパッチリとしているし、サラサラな髪の毛は凄く綺麗だし、服装もいつもオシャレで、何だかアイドルとかモデルみたいな可愛さを持っているからな。


 それにファミレスのバイト中に姫川が男性客からLIME交換を要求されたりしてる所とか今までに何度も見かけてるし、おそらく姫川は大学内外問わずめっちゃモテてるんだろうな。


「? どうしたんですか先輩? 私の事をそんなジロジロと見ちゃって?」

「ん? あぁ、いや、ちょっとな……」

「んー? あぁ、わかった! こんな可愛い彩ちゃんが隣に立ってるから先輩はドキドキしちゃってるんでしょー? ふふ、そういう事なら素直に言ってくださいよー! というかそんなの全然恥ずかしがらなくていいですよ! だってこんな可愛い女の子が隣に立ってたらドキドキしちゃうのは男の子としては当たり前ですもんねー!」

「全然違うわ! はぁ、全く、お前ちょっと自意識過剰すぎだろ。でもお前のそういう自信満々な性格は見習いたい所でもあるけどな」

「あはは、先輩はすっごい卑屈さんですもんねー。よし、それじゃあ私の事を沢山見習っていって明るい先輩になってくださいね!」

「うっせ」


 こうして今日もそんな軽口を叩き合いながら俺と姫川の日常が始まっていくのであった。

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