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転生だと思ったら、リサイクルだった。

作者: 北宮 高

カクヨムにも掲載していました。読んで頂ければ幸いです。

 

 暗い、もうすぐ零時になる。可愛い子供達を体の中に入れていた。

今日は大勢来てくれた。


でも、もうすぐ私の子供達を狙って怪物が来る。


昨日の夜は三匹に襲われて、子供が三人食べられてしまった。

私はただ見ているしか出来なかった。


黒く艶のある金属のような鎧を纏っていた。


不気味に静まりかえっていた。


時々、「ブーン」と長い音が聞こえた。私が来てからもその音は時々聞こえた。


私のいる地域より、右の地域に白い大きな建物と言うか? 

箱があり其処から聞こえてくる。


何かを作っているのか? たまに「ドシーン」と音が聞こえた。


私は昨日の朝に此処に来た。その音は昼間に多く聞こえた。


 私はここに来る前のことを思い出した。私は転生した事は分かっていた。


皆は規則正しく並んで待っていた。使命に燃えていた。


私達は身分が低く下から二番目と言われた。


でも私達より上の身分の高い子守達の情報は教えて貰えなかった。


「ジャリ、ジャリ、ジャリ」と音が聞こえた。奴らが来る! 


子供達は「怖い、怖い」と騒ぎ始めた。


三か所ほど空いた窓から怪物二匹が光っている金属の壁を降りてくるのが見えた。


そして、窓からあの醜い顔を覗かせた。又、今夜も子供が食べられると覚悟をした。


中に入りかけたので「止めなさい、帰りなさい」と叫んでも無駄だった。


「うるせい! 婆、騒ぐんじゃない」


「婆じゃない、私はまだ此処に来て2日目です」


「関係ねえ! そんなに抱えていて重たいだろう一人位食わせろ」と威嚇してきた。


その時、空気が流れ、何とも言えない臭いがしてきた。野生動物の臭いだった。


入ろうとしていた怪物は嫌な空気を感じて一旦止まった。


急に怪物の体が空中に浮かんだ。


「バリ、バリ、グッシャ、グシャ」と音がして怪物の体液が滴り落ちて来た。


他の一匹の怪物は「ジャリ、ジャリ」と音を出して慌てて逃げて行った。


でも金属の壁を登る手前で捕まったらしく、また「バリ、バリ、グッシャ、グシャ」

と音がしてきた。


異常な状景に体が震えた。


それを感じた子供達は静かになった。


窓の外に灰色の物が動いているのは分かった。でも大き過ぎて全体が把握できない。


(大きい私の子供の全て食べられてしまう。どうしよう)


「ズズー ズズー」私達を覆っていた屋根がズラされてしまった。


(見えた! 怪物の100倍位の大きさだ。化け物だ、ヒエー)

(こっちを見た、目が二つ光っている。来ないで)


化け物は近づいてきた。私の体の中を覗いてきた。


「止めて! 子供は食べないで!」


「そんな物たべねーよ、中に怪物がいないか? 見ただけだ」


「あー良かった。怪物を退治してくれんだ、ありがとう」


「退治ではない、餌だから食べた。歯がむず痒くなってきた。かじらせろ!」

と歯をむき出し向かって来た。


「止めて、私に危害を加えると酷い目にあうから」


「誰から?」


「私の御主人様から」


「ああー あの鈍い体だけ大きい木偶の坊が笑わせるな!」


「ぎゃー」と私は体の三分の一程かじられて、可愛い子供の半分を暗い闇の中

に落してしまった。悲しい。


朝、鳥の声が聞こえて来た。


同じ時間に御主人様がやって来た。


異常に気が付き屋根を持ちあげた。


そして、私の体を少し上げて、子供がこぼれないようにしてくれた。


それから屋根を掛けた。その日も子供達は次々にやって来て私の体に入った。


恐れていた夜が又やって来た。


零時になった。怪物は来なかった。やはり化け物の噂が広まっていたらしい。


化け物は来るだろう。又歯がむず痒いと言って今度は殆どかじられるだろう。


子供達も全て暗闇に落してしまう。


覚悟をしていると、隣の地域の白い箱の下から「ぴー」と音がしたが、

また「ブーン」と何時もの音にかき消されてしまった。


とうとう化け物は来なかった。


朝、鳥の声がして、同じ時間に御主人様がやって来た。


今日の朝で私の使命は終わった。


私と子供達は別の場所に移された。


そして使命を終えた安堵感にしたっていたら、野生動物の臭いがして来た


この前の化け物がいると不安になり見渡すと厚い紙に挟まれていた。


粘着物で身動き出来ない状態で、暴れて彼方此方から血が出ていた。


「助けてくれ!」


「もう、諦めなさい、私を襲わなければ、御主人様に気が付かれなかったのに、

残念ね」


「これから俺達はどうなるのか?」


「市の焼却場で燃やされるの」


「いやだー!」と鼠は叫んだ。


(私はペットボトルから生ごみネットに転生した。焼却場に行く前に

転生しなければ、何に転生しようかな?)


いや、無理だろ? それは転生ではなく、リサイクルだろ!




読んで頂き有難うございました。

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