表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したらペットたちが美人のモン娘になりました  作者: 爆微風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/84

第五十三話 潜む闇 蠢く




 轟音が街道の先から聞こえた。



《バァアンッ!》



 馬車が傾き、馬が嘶き馭者が悲鳴を上げて知らせる。



「や、野盗です!」


「なんじゃ、今回は働かなくていいと思ったのに!」


「今日は、絶好のパーティー日和らしいですから、ね!」


「だな」



 こんなパーティーへは不参加としたかったのだけど。

 馬車の姿勢を【浮遊飛行(ホバーフライト)】で整え、止める。


 人数は、探索魔法によると進行方向右側に十九人。

 貴族を狙ったにしては少ない。



「剣星様、少数ですが……」


「別動隊がおるんじゃろ。先頭車両あたり、マズイのぅ」


「では、私は仲間と先頭へ行きますね」



 進んで危険に飛び込むというつもりではなく、この馬車列にはチアキもいる。

 知り合いを救いたいのは当たり前だ。



「ならば、腕の使えぬ儂はここを守ればいいか」


「はい。お手数をかけます」


「掛けられる手は使えないんじゃがのぅ!」


「剣星様お戯れを」


「我々がお守りいたします」


「この程度の襲撃で、おなごに守られては死んだアイツに顔向けできんな。下がっておれ」



 ハッキリ言って心配はしてない。

 試しにと一週間前、剣星様に体術訓練されたとき一方的に倒されているから。


 俺は靴を浮かせて先頭車両へと急いだ。

 後ろにはシーヴァ、キヨと続き、横にはプチ、上にはユルギが飛んでいる。


 何も言わなくてもこの形になるのは頼もしさしかないね。



「プチ、一人は生かして残すんだ、出来るか!?」


「任せて」



 言うや馬車に取り付こうとしていた兎人(ラヴィラ)の足を斬り、引き落として後頭部を地面に叩き付ける。


 確かに殺してないけど…… 痛そう。


 先頭へと走りながら五人程倒して到着すると、何ヵ所かで使われていた『爆裂火矢(ばくれつひや)』が足元に刺さった!



「【土壁(アースウォール)】」


《バァアンッ!》



 炸裂前にキヨの魔法がコの字型に囲って防御してくれた。

 火矢が飛んできた方向は前方…… 別動隊がもう目前に迫っていた。



「キヨ、ありがとう!」


「パーティーでわっちにお酌をさせて貰えるなら安い仕事です」


「あっ、ズルい、ボクはさっきも活躍したよ!? 食べ物はボクが持ってくからね?」


「プチのスイーツ食べて太ってる俺をさらに太らせる気!?」



 仲間たちが『のんき』なので釣られて笑ってしまう。

 俺はこちらに向けられた弓と火矢に向けて、教わった中級魔法を使った。



「【雨滴散烈(スプラッシュボム)】!」



 馬に乗り駆けてくる野盗に水のツブテが打ち掛かって、馬上から落としていく。

 弓にも当たり、火を消していたので狙いがそれても爆発はしないだろう。


 手桶くらいの水の塊でも、質量があるからぶつかれば痛い。



「タズマはんが水の魔法なら…… わっちは氷ですわぁ♡」



 後詰めはキヨがしてくれる。

 迫っていた集団は三十二、全てがそこへ凍り付けになっていた。


 と、風切り音が……。



「ご主人様ぁっ!」


《ギンッ》



 シーヴァの剣に防がれ、矢が落ちる。



「ご主人様、ご無事ですか?」


「お陰さまでね。会場入り前に一緒に散歩しよう」


「わぅううんっ♡」



 俺も、図太くなった気がするな。

 この野盗…… 彼らは『強奪集団(ギッパー)』と呼ばれている。


 国が亜人へと迫害をしてきたタイミングでこの異界溢れ(パンデミック)だったから―― 職に就けず身の置き場を失った集団が生まれたのだ。


 だからとそれを放置する貴族はいないハズが、一部地域では増え続けているのだと言う。



 特に―― 疑わしいとされている貴族の土地で。



「これが本体らしい…… 探索魔法によると四十九人、う、一人反応がおかしい……!」


「魔剣持ちが居ます! 下がってください!」


「っ! キヨ―― 初撃撃破できるか!?」


「はぁい、タズマはんのお望み通りに……」


「頼むよ、【支配者の祝福ブラッシングオブザルーラー】っ!」



 強化スキルを使って、キヨの魔法を高める。

 そして、大魔法の範囲攻撃で殲滅する!



「はぁあんっ…… 気持ちえぇ……♡ あんさんら、狙う相手が悪うござんしたなぁ? ……往生なさりや。【水の魔境(ウォータールーム)】」



 進行方向左手、川が流れる辺りからの集団突撃は、水の壁に囲まれ、水に埋め尽くされた檻に閉じ込められていた。

 ただの水のワケもなく、その中は渦が縦横無尽に進み、搔き乱している。


 魔剣持ちとされていた熊人(ベアリア)も、中で溺れていた。



「後は…… 反応無しか。うん、みんなお疲れ様」



 襲撃は何台かの馬車が横転していた程度の被害で治まった。

 少なくない数の馬が死に、馭者が傷付いたが、こちらの死者はないようだ。



「何とかなったの、お手柄じゃ」


「いいえ、まだまだ手早く対応が出来たはず…… 本隊を見落としていましたし。探索魔法にもう少し習熟します」



 そう言うと、剣星様は大笑いをして睨んだ。

 笑ったと言うより、睨んだのだ。



「生真面目はいいが、周りの面倒もたまには見るんじゃよ。オヌシが倒れて悲しむモノを、悲しませないようにな」



 きっと、俺のこの姿勢はあまり良くないのだ。

 だから、剣星様はアドバイスをくれた。



「にしても、もうちょっと分かりやすくお願いします……」



 何にせよ、怪我人を探して治療に当たることにする。

 近衛兵にも何人か大ケガをした者がいたし―― 知っている顔が増えたので、その人たちの無事を知りたかったから。




 ☆




「道中では大変なことが起き、誠に遺憾に存じます―― 王女殿下……」



 音を付けるなら『ニチャア』って感じの笑顔でソック伯爵は迎え入れてくれた。



「警備を三倍にしておりますが、あのハエたちはのらりくらりと逃げておりまして…… 大変に申し訳なく思っております」


「伯爵、このような管理態勢で園遊会とは? 民草への安心感もなく、これからの苦難を乗りきることが叶うとお思いか?」



 おや?

 伯爵相手に真っ向から張り合ってる美少女はいったい誰だろうなぁ~?


 なんか見たことある美少女だぁ。



「ご主人様、姫の公務ですので、我々も控えましょう」


「あ、アレはやっぱり、チアキなんだ……」


「ボクも、ウソだと思った」


「じゃが、事実ですな…… 下がりなされ」



 剣星様もいつの間にかお辞儀…… 敬礼してた。

 それに、先に到着していたランダー伯爵もこっちに目配せ(ウィンク)してる。


 親子揃ってお茶目だ。



「……を受け、ソック伯爵には菜園管理権利の剥奪を申し付ける」


「ははぁ、謹んで承ります……」


「……どういうわけで、ですか?」



 こそっと剣星様にそう尋ねると、声を潜めて答えてくれた。

 王族を招く時は一流のもてなしと警備をしているのが当然で、それを欠いたソック伯爵は園遊会自体の中止もしくは他の貴族へと出資して次回の開催をするべし、となっていた。


 そして馬車や馬や兵士の被害分の保償を、大きく抱え持つ菜園の稼ぎから出させると、そういう流れなのだ。



「更に、一時期は抑えていたハズの強奪集団(ギッパー)をあんなに増やしてしまっていてはのう…… 今回の園遊会は流れたか?」


「うぅん、パーティーはどっちでもいいけど、みんなのドレス姿は、折角だから見たかったな……」



 ポソッと、呟いただけの言葉が……。

 物凄い影響力を持った瞬間を、見たことがあるだろうか。



「パーティーの開催を求めます!」


「ひっ、姫様!?」


「パーティーのために用意された品々、無駄にするのもいけません。これからは節制が求められるからこそ、無駄にするわけにはいかないのです」



 その、適当だけれどそれっぽい宣言に、貴族様たちは流されて…… 宮仕えの不運を見た気がする。


 そして、何人かの視線が俺に刺さるのを感じたがスルーした…… いやスルーしたい。



「だって、俺は悪くないでしょ……」


「ふはははは、いかん、笑いが止まらん!」


「良い酒飲み話が増えたわ」


「え、マジですか……?」



 そんなワケで、明日はパーティーだ。







ご覧いただきましてありがとうございます。

一言の感想でもいただけると張り切ります☆

ブックマークや下の星でポイントをつけて応援していただけるととても嬉しいです。

よろしくお願いいたします☆(°▽°)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ