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異世界転生したらペットたちが美人のモン娘になりました  作者: 爆微風


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第四十六話 レベルアップ




 既に防衛の兵士たちは倒されている…… そんな俺たちの予想は当たっていたようだ。


 降り立った広場には何人もの住民が倒れ、血を流していた。

 すぐに仲間が確認をしたが、十九人全て事切れていた。


 もう、これ以上は殺させない。



「飛行船(仮)で残ってる住民を運ぶには、デカイのは危険だ…… シーヴァ、プチ、俺のスキルを使うよ!」


「了解しました!」


「一緒にあのデカイの倒して、誉められよっ」


「わぅっ!」


「にゃんっ!」



 仲良くなってるな、コンビ歴も長いからか。

 二人に任せれば大丈夫、そんな安心感もある。



「タズマ君、下がりなさい! あの大物は手強そうよ!」


「いえ、二人なら行けます! 頼むっ、『支配者の祝福ブラッシングオブザルーラー』っ!」



 しかし、このスキル発動は一瞬の驚きをもたらした。



「魔力が、溢れる!?」



 飛行船(仮)で使っていたそれが、一気に回復された気がしたのだ。

 魔力をエネルギーとして動かす小さな魔道具に新しい魔石をはめたような、いや、新しい電池を入れた時計のような。



「はぅ、わううん♡」


「はにゃあぁん♡」



 二人とも、俺と同じように感じているのだろうか。


 だが、そんなコトを考えてる暇はない、二人も大型の魔物に斬りかかる。



《ガギギギギンッ》



 プチの双剣が、角、四肢と切り落とし、魔物の向こうへと既に駆け抜けていて。



《ビシュ…… ゴドンッ》



 シーヴァが振り上げた大剣により、魔物の首が落ちていた。



「てごわぁ…… くなかったわね……」



 ヘルートさんも苦笑い。

 しかし、体勢を整えられた。



「私はまた住民を安全地帯へ運んできます。衛兵さん、あなたは残って、子供のいる場所へと誘導をして欲しい」


「分かりました!」


《ビシィ》



 なにやら衛兵さん、俺を偉いヒトの一人か何かだと思ってるッポイな。



「俺は徴兵されただけの貴族ですから。あまりへりくだらないで……」


「分かりました!」


《ビシィッ!》



 絶対分かってねぇ。


 往復二・三分とはいえ、状況が変わっていないとも限らず、まさかの事態に備えて【浮遊飛行(ホバーフライト)】は少し高めをキープした。



 キヨの守る安全地帯には更に人々が集まっていた。



「あの空飛ぶ舟は君が!?」


「あの声は、あなただったのね。本当に助かったわ」


「王都からは、すぐに救援が来るのか?」



 ワッと囲まれて、そもそもキヨも質問されていたようだが、外見から聞かれなかったこともあるらしい。

 大人なんだから、そこら辺は連携を図って欲しいよね?



「タズマはん、きよります!」



 質問には簡単に、しかし魔物の群れが迫っていたので切り上げる。



「何しろ、今は忙しいってば!」


「タズマはん。相手は開けたトコで数十匹。こういう時は…… 【嵐気流(サイクロン)】!」


《ビュゴォッ…… ォオオオオ!!》


「うん、大魔法だね…… 分かったよ、後で教えてくれ」



 最近、と言うか王都への旅路で、あまりに俺が付与魔法と回復魔法だけを集中して覚えているものだから『魔物を実際に倒せる手段は持っていないとあきません』と言われていた。


 実際に扱わなくても、周りが安心できる…… そう言われると、覚えないワケにもいかない。



 風の大魔法は滅多に見れないものだからか、避難者たちはみんな口を大きく開けていた。


 キヨを睨んでいたオッサンは顔面蒼白になっていた。


 うーん、ざまあ。



「色々と疑問や質問は尽きないのでしょうが、私たちはあなたたちを助けたい。お願いですから協力してください。船で救援が向かっていますから、逃げてここまでこられた方々には手助けをして、みなさんの身の安全を優先してください」


「ご立派ですタズマはん……♡」



 スピーチ終わり。


 ツキイチの会議を進行させるよりは楽だった。

 さっき風に巻き上げられた魔物が地面に叩き付けられたのは、このタイミングだったのでまた避難者がビクッとしたけど。


 恣意行動じゃないよ?




 ☆




 オオカミ、トカゲ、オオカミ、トカゲ…… と、他の魔物が混じっていない理由が分からないが…… 道中とは比べ物にならないほど大量の魔物がまだまだ外から入ってきている。



 魔物が現れてくる方向、山側は、最初に剣星様が向かった方向だ。



「つまり、侵源地の方向へとここの兵士たちは防御陣を展開し、それを助けるべく剣星様はそちらに向かったのか…… そんな、激戦区なのに!? たった一人で?」



 そう考えたものの、飛行船(仮)を放り出すワケにはいかない。


 戻ると、広場にはシーヴァ、プチ、ユルギ、ヘルートさん、その他に居たのは衛兵さんだけだった。



「お帰りなさいませご主人様。声の届く範囲にはもう生きている人は……」


「そうか、動けないヒトや隠れているヒトも居るかも知れない。声かけはしていこう。俺がボートでみんなを運ぶからね、衛兵さんの誘導で教会を目指そう」


「はいっ」


「あるじ、またデカイのきた」


「倒しておかないとな! ユルギは目がいいな、助かるよ」


「にぇっひぇい、しょれほどでもぉ♡」


「大きな魔物、次は私が見付けて見せます!」


「いいや、ボクが」


「何を張り合ってるのあなたたち……」


「あるじっ、次はっ、うちがやるよッ!」


「よし、ユルギ、頼む!」


「た~♪」



 俺のスキルに反応し、やはり回復した気がする…… 空高く舞い上がった彼女は、銀色に光って見えた。



落天爪衝撃(カー・ド・マァン)!!」



 瞬間、流星の如く急降下したユルギの爪に、大型のオオカミの頭は叩き潰されていた。



「あなたたち、メチャクチャ強いわね……!?」


「ヘルートさんもお強いですけど」


「ううん、思想審査とか飛ばしてでも仲間にしておいて良かったくらいよ…… 剣星様が熱烈に語る意味も少し分かったわ」



 あの剣星様が誰のナニを語っていたかは少しだけ、ほんの少しだけ興味あるけどスルーしとこ。



「お待たせしました衛兵さん。教会はどちらに」


「南の海の方向です。あの、大きな影の魔物には全く敵いませんでした…… 気を付けてください。こちらです」



 子供の命だ、最短距離で的確に進もう。


 既に時間が掛かっている…… 判断に間違いがなかったかと、緊張しているのは隠す。



「みんな乗って。降りやすいように低く飛ぶよ。先頭はプチ、衛兵さんがナビ、左右はシーヴァとユルギ、真ん中で衛兵さんのフォローをヘルートさん、お願いします」


「タズマ君、立派ね。でも無理はしないで。本来なら、大人の私が指揮(それを)する立場なのだから」



 んー、このメンバーの力量把握してるの俺だしなぁ。


 なので、指揮を交代するとしたらもっと内情とか知ってもらってから。



 俺に同伴してくれているヘルートさんの話によると、剣星様は大体、単独で動くらしい。


 それがどんなに困難な仕事であろうと、こなして戻ると。



『儂が死ぬ時は老衰か腹○死』



 そう言って(はばか)らない。


 存在がセクハラかよ。

 なので、あんまり心配はされていなかった。



「そですか。何か、心配して損した気分です……」


「ふふふ、そんな珍しい反応されると嬉しいですね。何せ、あの方は王都の名物みたいな存在ですので」



 まぁ…… 王族の謁見よりは、ポピュラーなのかも知れない。




 ☆




 皆を乗せて、進む先。

 海辺には近いが港からは離れたそこに、大きな影が『立ち塞がって』いた。


 遠くからでは今一大きさが把握できなかったけれど、大型バスを立てたくらいの大きな黒い塊がいる。



「まさか、アレ!?」



 遠くからも見えていた…… そして近付くと圧力がすごい。



「教会の屋根に頭を並べそうな『黒い巨人』がいますねぇ!」


「あそこまで、大きくはなかったのですが……!」


「イヤアレしかいないでしょ!?」



 内心では『ムリだ!!』という回答をしていたけれど、そんなワケにはいかない。



「ご主人様、私が先陣を切ります!」



 シーヴァが真っ直ぐ俺を見て言う。



「無理はしないで。まず足止めだけ。巨人クラスの魔物なんて聞いたことないんだから」


「はいっ、参ります!」



 道路にボートを下ろし『支配者の祝福ブラッシングオブザルーラー』を使うと、今度は頭の中に不安が渦巻き始めた。



「ううう、ご主人様……?」



 そう、だった。


 このスキルは、関係性と、『心』が反映される。


 説明にはなかったが、これは対象者(シーヴァ)の心の内側が現れているのか。



「落ち着いてシーヴァ。良い騎士は、自分の力量を誤らないモノだそうだよ。ここで無理されても困るんだ。俺はシーヴァの事が大切だから」


「っ…… 申し訳ありません……」


「それで、シーヴァならどう攻める?」


「えっ!?」



 ここで、上手くいかなかったからと、失意のままシーヴァを下げたりしたくない。

 教会の屋根が見える辻までみんなを運んでから、もう一度問い掛ける。



「俺の指示だと、全力のシーヴァが見られないと思うから。見せて、教えて欲しい。今まで見せてないシーヴァの本気を」


「……はい、では、獣人化(ビィストモード)になります!」



 この世界の亜人は、普段はヒトガタでも、全力や本能の力を発揮するために『変身』する種族がいる。



「ご主人様…… 良く、見てください……」


「う、うん。がんばれ」


「はいっ」



 以前、プチがユルギとキヨの顔合わせに変身したように、シーヴァも『獣人化(ビィストモード)』になろうと…… 今まで頑なに着たままだったメイド衣装を脱ぎながらこちらを見ていた。


 俺の喉が、鳴る。


 ボートの上で、上着を脱ぎ、スカートをはずすと、ショートパンツとコルセット、あとは下着という姿に。


 しかし肩からザワザワと体毛が伸びて、肌を一気に隠す。


 普段から豊かなシッポが、倍に膨らみ揺れた。


 顔付きがどんどん変わって、オオカミの顔に。



「ご主人様、あなたの切り札として、敵を断ち切って参ります!!」


「分かった! いくぞ、『支配者の祝福ブラッシングオブザルーラー』!!」


「応えます……!」



 かけ直したスキルは、シーヴァを金色に輝かせて。


 武器を構え駆け出すシーヴァは、美しい騎士然としていて……。


 身体が剣そのもののような、壁を駆け上がり黒い巨人を切り伏せる姿は、圧倒的だった。



《ッド、ドドドンッ》



 地響きをたてて、腕を振り下ろそうとしていた巨人は道路方向へと倒れ、消えていく。



「やった!」


「やりましたぁあ!」



 空中を回転して着地したシーヴァはダッシュで戻ってきて、思わず喜んでハグしてしまった…… まあ、完全に胸の谷間にハマりましたとも。



「シーヴァ、待って、子供たちがっ」


「やぁ、あぁあ、きゅぅうん、ご主人様ぁ……」



 いつもの素肌のピトピトするのも、ふわふわモコモコな谷間も、なるほどどちらも、どちらもで。




 【目標撃破数達成。スキルがレベルアップしました】




 いや、は?



「何だか、変な声が……!?」



 俺たちはここで立ち止まってしまい、その時倒した巨人が『消えた』ことに、誰もが気付いては居なかったけど……。



 子供たちは軽症の一人を除いて無事だった。


 衛兵のお兄さんの弟が、護身用に持っていたナイフで最後に戦っていたという。


 ところが、そのナイフには魔法が込められていたらしく、真っ先に狙われたのだそう。


 魔物が武器を狙う?


 その知性的な行動にはヘルートさんも首をかしげていたが、無事に十名の子供を保護することができたのだった。







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