表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したらペットたちが美人のモン娘になりました  作者: 爆微風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/84

第二十六話 ご意見番探偵肩透かし




 風呂場の襲撃から、マリーアの視線に何か含みを感じてしまって…… 朝ごはんの時間から少し、一人で意識してしまう。

 いいや、余計なコトは置いておこう。



「お父様、領民達からの意見や不満、不信を抱いている事柄などを聞く機会を、設けてみたいと思っているのですが」


「それは、確かに必要かも知れないが。タズマは忙しいだろうし、誰かに任せるということだろうか」


「いいえ、誰かに頼むワケではありません。まずは試しに商人や領民の亜人種族に話を聞きたいのです」


「これからの街作りのため、か。相変わらず努力家だな」



 そんなつもりはないが、身体が一つしかないワケだしやるべきだと思ったらやるものだ。


 そんな考えだから前世で身体を壊したのかもな…… まぁいずれ自重するとして、今回の要点は熊人(ベアリア)のオートレットとの会談だ。



「マリーアの友人でもある熊人の商人との予定を立てています。会議室を使わせてもらってよろしいですか? 僕とオーネ姉さんとマリーアと、シーヴァに立ち会ってもらうつもりなのですが」


「ふむ。マリーアは午後の休みを申し出ていたね。いいとも。好きに使うといい。頑張ってくれて嬉しいが、タズマもちゃんと休むべき時には休むんだよ」


「ありがとうございますお父様。今回の相談者はオートレットさんと言います。見上げるくらいに背丈の大きな女性なんですよ」



 食事の席で最終確認は終えた。

 無論、姉さんと執事に予定を話してあるから、部屋自体はもう押さえてあったのだが、オートレットは部外者だし容疑者でもある。


 敵対勢力というのがまだ不明だが…… そのまま招き入れるワケにはいかない。


 だからちゃんと屋敷の主であるお父様に話を通さなくてはならないし、その相手がどういう人物なのかは伝えておく必要がある。

 例えそれが、表面上のものだとしても。



「ふむ。シーヴァさんが鳥の肉を仕入れたという商人か。マリーアの口利きなら安心だ。あまり困らせるような細かなことまで聞いてはいけないよ」


「はい。お父様」



 そうして舞台を整え、マリーアが俺を見てにっこりとうなずいた。

 あとは、熊人(オートレット)の状況次第、俺のできる限りで対応しよう。




 ☆




「今回はお招き預かり、誠にありがとうございます」


「いいえ、こちらこそご足労いただきまして。どうぞ、お掛けください。自然にしていただいて」



 マリーアに案内され、大きな熊人(ベアリア)オートレットが屋敷に訪れた。


 商人とは言うが、今日は品物を持たず、彼らの正装である長布を肩掛けに、胴体をグルグルと巻いた姿だ。

 青と黒の縞模様は涼やかで、体毛が多い熊人の姿でもこの夏の暑さを忘れさせる。



「綺麗な布ですね。中々の品のようです」



 そう言うと、彼女ははにかんで答えてくれた。



「ありがとうございます。何度かお褒めいただいたのですが、この(よそお)いは聞きかじりでして。この布はちゃんと伝来のものなんですけど、親代わりに教えてもらったやり方ですし、服に着せられている感じだから少し恥ずかしいです」


「いや、お似合いですよ」



 ヤクザ映画のサラシみたいで…… とは思っても言わない。

 それよりも、姉の表情が優れない。

 まあ、理由は分かっている。


 これ、操られていたりはしないんじゃないか。


 自然な受け答えだし、体格が大きいとはいえ、丁寧だし……。


 何より、姉さんの『鑑定』に異常が現れなかったというコトは。

 魔法も掛かってはいない、薬を飲まされたか射たれたかの酩酊や催眠でもない。

 マリーアの勘違いなんじゃ…… と思ったけれど、振り返ったマリーアの表情は優れないまま。


 どうやら、違和感があるというのは、間違いないようだ。



「あの、オートレットさん」


「オッタと、お呼びください……」



 その声音に、なんかゾワッとした。

 どうやらマリーアも、姉さんも感じたらしい。


 色目、なのかな。

 大きな身体で毛並みも多いけれど、女の人なんだと理解した。

 ただ、まだ子供の俺に向けてというのが不可解なだけだ。



「じゃ、じゃあオッタさん。今回は領民からのご意見や不信を抱いている事柄などを聞きたいということでお招きしたのですが、オッタさんから私に何かありますか?」



 直接的に聞くつもりはなかったんだけどね。

 操られていないのなら、あと思い付くのは騙されたり偵察を頼まれている可能性だ。

 その場合、実力行使とかがあり得ると思ってシーヴァに武装させていたけど。


 こうなれば直談判。

 話の流れを動かして、聞き出すに限る。



「はい。ご意見というか、あの、申し出たいコトが」


「どうぞ、マリーアを介しては言えなかったことなのですね?」


「はい。実は…… この屋敷が、狙われているのです」


「それは…… 詳しく、ご説明いただけますか」


「勿論です。コトを知ったのは、買付け人の何人かが話していたのが最初で……」



 以下、オートレットさんが話してくれた事を時系列で整えてみた。



 肉と素材を卸売りする時、情報に(さと)い業者が男爵家の図面を高く買いたいという客と話したというのを聞き、マリーアとそんな話をした。


 別の業者からも、同じく図面や簡単な見取り図でも買うと言っていた()の話が聞こえ、更に自分にも手に入らないかという依頼が来た。


 だが、新たな街作りの機運が高まり、物品の流れが早く何もかも『品薄』な現在、金になっても犯罪(はんざい)(まが)いなコトはできない。

 客商売として信頼は失えないと断ったところ、頼っていた仕入れ先から出入り禁止を受けた。


 結果、高品質で名前を売っていたような商人(モノ売り)が、大した物が揃わないという日々が続き、困って…… そして、せめてこの話を伝えなくてはならないと男爵家の誰かに面通りをしたいとマリーアに願った。



「そうだったの。それならそうと、私には全部話してくれたら……」


「男爵家勤めのマリーアにそんな愚痴言ったら、アンタ見取り図見付けてきちゃうでしょ」



 話が終わると、泣き出すマリーアをオートレットが抱きしめなだめていた。



「つまり、マリーアの勘違いね~」


「え、ちょ、マリーア?」


「ごめんなさい。貴女の様子がおかしいから、私からタズマ様に話を聞いてほしいと願い出たのよ。もしも薬とかで混乱しているようなら、解毒していただけるように」


「なんて、こと。そんなの、あぁ、ご迷惑を」


「いや、でもこの話が聞けたのは大きいよ。狙われているとハッキリしたし、何よりそんな取引に発展してるなんて見過ごせない」



 姉さんが大きくため息をついたけど、話の全貌が分かると見えてくることが多い。


 まず、我が家が狙われているのは分かる。

 あのザーマスさんみたく、集落の分布図を狙っている人もいるので、家の金庫などを狙うというなら小金を使って企みを果たそうとしてもおかしくない。


 その相手が『男』を使ってるということも分かった。

 この話をお父様や兄弟にも共有して、防衛策を整えなくちゃ。



「オーネ様、タズマ様、ご迷惑、お手間をお掛けしました。この始末、どのようなことになろうとも、私の一身にて償わせていただきます」


「まってよ、幼馴染みの迷惑とか考えてんなら、一緒に受けさせてもらうし」


「マリーア、早合点しないで」


「しかし、私の間違いからお時間を割いていただいて、この結果では……」


「タズマ様っ、アタシの身体でよかったら好きにしていただいて、いいからさ。マリーアはアタシのコトを心配してくれただけ、なんにも悪くないんだよ」


「待って待って、今回の話は収穫多かったんだけど」



 言葉の端に、ねっとりとした湿度を感じたので引きつつ。

 この幼馴染みの二人が庇い合う姿はなんか尊く思う。


 そうだな、マリーアには責任ないし……。



「オッタさん。貴女にお願いがあるんです」


「何でも言っておくれよ。今すぐ脱げっていうなら、そうする」


「言いません」



 なんか既視感。

 オートレットさんに頼みたいのは商人としてだ。



「新しい街作りのための工事現場に、食材や工具の搬入の業者を探していました。専属で、引き受けていただけますか? あまり利益は出ないかも知れませんが、執事に『領主裁量』の達示を作らせます。これがあれば出禁扱いはされないはず」


「きゃあ」


「きゃあ?」


「んっ、んんっ、何でもっ」



 肌の見えている頬と鼻を真っ赤にして、俺を睨むオッタさん。

 いや、瞳が潤んでいるけど、見下ろされてるから。



「慎んで、受けさせていただきます。レンガから下着まで、何でも仕入れてみせますよ」



 こうして、腕利きの商人が仲間になった。

 ちょっと湿度が高いけど。




 ☆




 オートレットさんを見送って。

 マリーアも一緒に寄り添い帰っていった。

 本当に仲が良いんだな。



「さて、お父様には書面にしてから報告だなぁ。この件でマリーアに何かを負わせることはしないし、姉さんもそれでいいでしょ?」


「うん。でも、タズマ狙いのあの商人はちょっと不安だわ…… シーヴァさん、ちゃんと見張ってて」


「勿論ですわっ…… 血迷った瞬間、切り捨てて見せます」


「待て」


「きゃいんっ」



 前も思ったけど、シーヴァ、物騒。


 そして明日は、街作りの候補地の『実踏(じっとう)』だ。

 うーん、休みはしばらく取れないなぁ。





ご覧いただきましてありがとうございます。

がんばって続きを書いていきますので、ブックマークや下の星でポイントをつけて応援していただけるととても嬉しいです。

よろしくお願いいたします☆(°▽°)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ