14.
今日からダンジョンアタックだ。まず、宿を引き払い、馬でダンジョン迄いく。入口で1週間の予定と伝えて中へ。こないだの続きからになるので5階層への転送の魔方陣に乗った。
つい先日、ボス戦をした部屋の外へとたどり着いた。
そのまま6階へと進んだ。
そこからは順調にただ急ぎもしていないので1日に3から4階層進む予定だ。
今日の目標は10階ボス部屋前のセフティーゾーンまで。
順調にサクサク進む。こないだ同様、先頭を交代で行いながら連携の練習や従魔達のストレス発散にと楽しい。
ダンジョン内で日が落ちる訳では無いが丁度夕食時間前に10階のセフティーゾーンに到着した。
三人は野営の準備を私は夕食の準備をする。此方の用意が終わる頃、野営の準備も終わった様だ。
みんなで食事を囲む。
「ミーナ、これ美味いぞ。」
ロトががっつく。
そんなに慌てなくても充分量は用意したから大丈夫なのに。呑気にそんな事を考えながら食べているとどんどん鍋の中身が減っていく。ヤバイ。食べ遅れてる。私も慌ててお皿におかわりをよそい、自分の分を確保した。
今日のメニューはブラウンシチューとロースト肉、サラダとナンだ。ロトはいつもの事だがマリアやアルトも良く食べる。あっと言う間に鍋が空になった。
「足りた?デザート食べる?」
「「「食べる」」」
仲が良い事だ。この後、見張りの順番を決める。私は朝食の準備が有るから一番最後に固定となり、他の三人は日替わりで順番を回すそうだ。ありがたい。
一日中動いて疲れたので早々にテントに入った。ミーナはいつの間にか眠りについていた。
4時ごろマリアに起こされる。
「ミーナ、交代よ。特に何もなかったわ。私は少し仮眠するから後はお願いね。」
私はテントの外に出る。少し肌寒いので焚火で暖をとり、暖かい飲み物を飲んだ。それから朝食の準備をする、朝は簡単にパンとスープだ。コンロを出してスープを仕上げる。パンも焚火で温めているとアルトが、起きてきた。
「ミーナ、おはよう。良い匂いだね。朝から温かい物はありがたいや。」
食器を取り出してアルトと私の分をよそう。食べ始めると今度はロトが起きて来たのでスープを渡し、パンはセルフで取って貰う。朝から中々の食べっぷりだ。最後にマリアが起きて来たのでスープを渡す。彼女は朝食はそんなに量がいらないらしく、眠そうにスープをすすっていた。各自食事も終わり、片付けを済ませて出発だ。
まずはボス戦。
中に入ると5階層と同じボスだったので呆気なく終了。
ドロップアイテムと宝箱を回収して先へと進む事にした。
ここから少し攻略が難しくなるとの事。今日の目標は15階層のセフティーゾーン。魔物のレベルが少し上がり、時々連携のある戦い方をする集団に出会う。さほど問題もなく、今日も目的地に到着だ。
昨日同様、野営と食事の準備を済ませて4人で焚火を囲みながら夕食。本日のメニューは色々具材を串焼にした。後はおにぎりだ。
ロトを先頭に美味しい美味しいと次々に食べていく。あっと言う間に無くなった。食後のデザートを食べて私は就寝した。
翌朝、ロトに起こされる。
昨日、私のすぐ後に寝てしまったそうで眠たく無いからこのまま一緒に見張りをしてくれるそうだ。
お言葉に甘えて私は朝食の準備をする。朝はスープとパンを定番にするつもりなので鍋をコンロにかけ、パンを温めているとロトが鍋にへばりついているのが目に入った。
「もしかしてお腹空いてるの?少し早いけど食べる?」
満面の笑みで頷く。
他の二人の分をちゃんと残しておく様に言い聞かせて食器を渡した。
嬉しそうに食べ始めた。そうこうしていると他の二人も起きて来たので食事を済ませてしまう。
片付けたら今日も出発だ。
本日の目標は20階層ボス部屋前のセフティーゾーンまで。
昨日のペースで行けるなら大丈夫だろうとの事。早速進む事にした。
今日も順調に進む事が出来た。
いつも通り別れて準備をし、夕食を食べ終わった頃、下の階から冒険者パーティが現れた。
今までも時々、すれ違ったりはしたが戻ってきたパーティは初めてだ。
アルトがどうやら顔見知りらしく、話をしに行く。
しばらくして、難しい表情のまま戻ってきた。
「どうやら22階層でモンスターハウスが起きている様だ。あっちのパーティがなんとか攻略しようとしたが数が多くて断念して戻ってきたらしい。明日朝一番で入口に戻りそのままギルドに報告に行くとの事だ。俺たちでとりあえず一度アタックしてみるか。」
アルトの意見に賛成した。
彼方のパーティに私達がアタックする事もギルドに報告して貰う様お願いして、今日は就寝した。
翌朝、テントから出て行くとアルトが此方に気付いた。
「おはよう。ミーナ。彼方のパーティはもう出発する様だ。俺達も準備して、下に進むとするか。」
私は急いで朝食の準備をした。
アルトが他の二人を起こし、食事を済ませて出発だ。
21階層は特に問題もなく、階段に到着した。
階段の中頃から次の階の気配を探る。
すごい魔物の数だ。
階段に四人、集まり作戦会議。ここで私はふと思いついた。
「ねぇ、アルトさん、一度試してみたい事があるのだけど」
私の作戦はこうだ。
私は音を奏でる事ができる。そこで睡眠効果のある音を魔力に乗せて奏でるとフロア全体の魔物を眠らせる事が可能だ。眠らせた魔物の四方向から一気に倒していく。私は中央で魔物の処理をしながらドロップアイテムを魔法で回収するので三人とジンに上下左右に散らばって貰う様お願いする。ジン以外の子達は私と一緒に行動だ。大体睡眠効果ぎ三時間位なので途中で起き出すようならもう一度奏でる。仲間には効果がないので安心して貰う。
三人はもはや呆れるのも馬鹿らしくなったみたいで直ぐに了承してくれた。
「じゃあ、奏でるからちょっと待ってね。」
私は収納から横笛を出し、魔力をこめて奏でる。そのまま階段を降り切ると大量の魔物がところ狭しと寝ている。すごい光景だ。
「成功ね。じゃあみんなに補助魔法を掛けるから真ん中に向かってどんどん処理してね。さっきも説明した通り、ドロップアイテムは魔法で回収するから無視してくれて大丈夫。もし、どうしても欲しい物があったら念の為、自分で拾ってね。」
そう伝えて、みんなに身体強化と攻撃力UP、防御力UPの魔法をかける。
一斉に四方に飛び出していったので私は回収の魔法を発動さし、正面に向かって魔物を処理しながら中央を目指した。
フロア中央に到着後、従魔達と協力しながら魔物をドロップアイテムに替えていく。その間にも、フロアの至る所からアイテムが回収されていく。マジックバックに収まるだろうか。
かれこれ2時間半が経過した。戦闘の音は聞こえるがまだ、四方向共姿が見えない。
私は追加で音を奏でる事にした。
それから魔物を処理しつつ周りの様子を伺っていると二時間後、先ずはジンの姿が見えた。
ジンが走り寄ってくる。
『主、ただいま。』
大暴れ出来たのが楽しかったのかご機嫌だ。
「ジン、ご苦労様。他の三人がまだだけど、どこか手伝いに行って来る?気配からするとマリアが少し苦戦してるかな。魔力切れ起こしても大変だし、お願いしたいな」
ジンにお願いしてみたら、嬉しそうに尾尻を揺らさしながらマリアの方へ走っていった。勿論魔物を蹴散らかしながら。
そこからさらに一時間後、漸くみんなが中央に集まった。
「流石に疲れたぞ。」
ロトが愚痴る
「とりあえず、階段があっちにあって横にセフティーゾーンがあったからそこまで移動して休憩するか」
アルトもおつかれのようだ。
みんなで階段迄歩いて行き、セフティーゾーン内で休憩する。
「お疲れ様でした。ドロップアイテムの数でいくと魔物の数は328でしたよ。中々の量でしたね。これがあと2階層有ると言う事だよね?」
コテンと首を傾げて聞いてみると
「ああ、そうなるな。モンスターハウスになると何故か地形に関係なく、だだっ広いだけのフロアになってやたらと大量の魔物が発生している。この状況が後2階層だ。今日はここまでにして明日、朝にダンジョンマップが元に戻っているか確認したら次の階に降りて今日と同じ方法でいくとするか。」
アルトが応えてくれた。
この案に全員が賛成との事で少し早いが昼も食べてないので大量の夕食を準備した。食事をしているとジンからの提案で今日の見張りのはジンが一晩中しといてくれるらしく、4人ともしっかり睡眠を取ったらどうだとの事だ。ジンは従魔なので多少の無睡眠はどうって事ないらしい。この提案に乗る事にし、4人揃ってテントで爆睡した。
翌朝、みんなスッキリ顔で起床。各々ジンにお礼を言っている。
周りを見渡すとダンジョンマップはもとの様子に様変わりしていた。
その後朝食を済ませて次の階へと移動した。此処から2日間、昨日と同じ方法でモンスターハウスを片付けた。