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初めての夜2

ダイレクトな言葉はありませんが、マズイ場合は教えて下さいm(_ _)m

 目を開けると薄っすらと明かりが見える。


 辺りは静まり返り、わずかに虫の声が聞こえる。


 オリビアはゆっくりと身体を起こすと、先程の明かりをぼーっと見つめる。

 どうやらそれは部屋の隅に置かれたランプの様だが、光を絞っているせいかやけにぼんやりとしている。



 暗闇に目が慣れ始めて視線だけで辺りを観察すると、どうやらここは見慣れない部屋の様だ。

 オリビアは未だぼーっとする頭で無意識に首を傾げる。


 確か自分の部屋のベッドで寝たはずなのに、何故か見知らぬ部屋にいる。

 誰かが運んでくれたのだろうか。


 カーテンの向こうから光が入ってきていないところを見ると、まだ夜中だろう。

 いつもより早く寝てしまったせいで、意味も無くこんな時間に目が覚めたのだろうか。


 オリビアは頭をぽりぽりとかく。


「まあ、よく寝たからいいか~」


 取り敢えず一旦ベッドから降りて部屋を散策してみようかと考えたオリビアだったが、


「そう、それは良かった」


 突然の背後からの声と、しっかりと掴まれた足首に驚いて心臓が跳ねる。


「っふへ!?」


 勢いよく振り返ると、そこには横になったまま肘枕をしたシリウスがオリビアの足首をしっかりと握っていた。


「シ、シリウス?!」

「おはようオリビア。と言ってもまだ深夜だけどね」


 そう言って足首から手を離したシリウスの表情は、暗がりではよく分からなかったが機嫌は大層良さそうだった。


 オリビアは軽く息を吐いて四つん這いでシリウスに近付くと、ぺたりと側に座る。


「もう~びっくりした~。ここってシリウスの部屋?」

「う~ん。私のと言うよりは、2人のかな」

「2人の?」

「結婚したのだから、寝室は同じにするべきだろう?」


 シリウスはオリビアの手を握り込み、親指で甲を優しく撫でる。


「あ……そっか。夫婦だ」

「そうだよ」


 その言葉と共に、シリウスは握り込んでいたオリビアの手をぐいっと引っ張る。


「えっ?」


 思わずベッドに倒れ込んだオリビアは、気が付くと自分の上から至近距離で見つめるシリウスと目が合った。


「シ、シリウス?」

「オリビアは以前の、前世って言うのかな? その時の記憶があるよね」

「う、うん……」


 唐突の話題に、オリビアは混乱しつつも頷く。


「その世界では、結婚したその日の夜に夫婦で何かした?」

「え? 結婚した日の夜? 夫婦で?」

「そう」


 シリウスの顔が徐々にオリビアに近付いて来る。


 上から乗られているはずのオリビアだったが、シリウスが自らの腕で体重を支えているのか身体にその重さをほとんど感じない。


「夜……」


 近付いてくるシリウスの顔にどぎまぎしながらオリビアは思考を巡らそうとするが、何てことはない、直ぐにその問いの答えは見つかった。


 し……初夜だ!!



「うん?」


 真っ赤になって視線を泳がせるオリビアに、答えを導き出せたのだろうとシリウスには容易に想像出来た。



 口付けやイチャイチャなどは頻繁に行っていた2人だったが、そういう事、所謂本番は結婚までお預けなんだろう、と何となくオリビアは感じていた。


 しかし昨日2人は結婚したのだ。


「うっかり? ……すっかり忘れておりました……爆睡してしまい申し訳ございません……」

「どうしてそんな他人行儀なの?」


 シリウスは可笑しそうに笑う。


「あうあう……」

「ふふふ、可愛いね」


 シリウスはオリビアの頬を優しく撫でる。

 暗がりでもここまで近付くと、お互いの表情がよく分かる。


「……オリビア」

「は、はひ?」

「抱いても、いい?」


 耳元で囁かれ腰の辺りからゾクゾクと何かが這い上がり、オリビアは思わず身悶える。


 シリウスの手が頬を滑って唇を一撫でした後に顎に添えられる。


「ねえ、いい?」


 今度は唇が触れそうな距離で囁かれる。


 触れそうな、いや僅かに触れているであろう唇の表面から甘い痺れが全身に行き渡り、オリビアは堪らず口を開ける。


「あ……シリ、ウ……」


 シリウスが着ている上着を弱々しく握りしめるが、指先がじんとしびれて全く力が入らない。


「オリビア……」


 どちらのものかも分からない熱い吐息が、重なった2人の唇から漏れた。







 嵐の小舟の様に揺さぶられ、訳も分からずシーツを握りしめたオリビアが僅かに目を開けるとシリウスと目が合う。


「あっ……」


 いつもと同じコバルトブルーの瞳のはずが何かが決定的に違う。


 甘さを含んだとろりとした濃い色の中に、鋭い獣の様な光が見える。


 シリウスの額から滴り落ちた汗がオリビアの頬に落ち、首筋を伝っていく。


 その感覚でさえも堪らずに、オリビアはシリウスの首に手を回して強引に引き寄せて唇を合わせた。



 ああ、ひとつになりたい。

 もっともっと繋がりたい。

 融け合いたい。


 オリビアの本能がそう叫ぶ。



 シリウスはそんなオリビアに気付いて深く唇を合わせ、舌を絡ませて口内を貪る。


 擦れあった肌が、吐息が熱を持って眩暈を起こす。



 ああ、ダメかもしれない……。


 全てが、身体が征服されていく。



 度重なる絶頂の中で、オリビアは初めて身体の繋がりを知った。




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