やばい!って、あれ?
レイアの先導で、ボス部屋へと続く扉を開き奥へと進んでいくヴァルキリー・ファミリーのメンバーたちがたどり着いたのはダンジョンではありえないほど広い場所だった。
「なんだここ? めちゃくちゃひれーな」
「なに言ってんのよ、そんなの見ればわかるでしょ」
ウルの率直な意見にレイアはあきれたように返す。レイア達がたどり着いた場所の広さはゆうにサッカー場が二つほど入るぐらいの広さの空洞であった。その広さに驚きながらあたりを見回していると、空洞ないが急に明るくなった。
「うわ!? まぶし!」
「みんな! あそこ、何かいる」
メンバーの一人が空洞の奥で揺らめく影を見つけそう叫んだ。それを聞いたメンバーたちは一斉に戦闘態勢をとった。そしてゆっくりと影に近づいていく。
「あれがボスか? なんかワカメみたいだな。」
「気を抜くんじゃないわよ? あれでも激レアのボスモンスターよ」
「わかってるけどよ」
モンスターらしき影に近づきながらウルは少し違和感を感じた。
「なぁ、なんかおかしくねーか?」
そう言って振り返ったウルはその違和感の正体を目にした。そこには暗闇しかなく、今までいたはずのメンバーの数人が消えていた。
「おい! 何人かいなくなってんぞ!!」
「は? そんなはず……」
ウルの言葉にレイア達も振り返えろうとしたとき、レイアの視界が急に薄暗くなり、何事かと上を見た。
「な!? 全員退避!!!!」
レイアの突然の叫びに、数人がすぐに反応して後方へジャンプした瞬間、上から大きな黒い布のようなものが落ちてきた。と思った瞬間それが膨らみ周囲にいたメンバーたちが暗闇に飲み込まれ、その場には数えるほどのメンバーしか残っていなかった。
「おいおいおいおい!!?? ふざけんな! 」
「気を抜かないで! 次が来るわ!!」
「な!?」
レイア達は大急ぎで黒い布の範囲の外へ移動しようとするのだが、後ろはすでに暗闇に包まれており下がることができない。やむなく奥のほうへと逃げるレイア達は、何とか回避することに成功した。
「ったく、あんなんありかよ、一気に半分以上も人数削られちまったじゃねーか!! 」
「あんなのがあるからこそ、ここはこれだけ広いのかもね。」
「初見殺しもいいとこだぜ、マスターが気づいてなかったら今頃全滅してるっつーの!!」
「……マスター! 見てください!!」
ウルがそんな文句を言っていると、茶々がレイアを呼ぶ。
「どうしたの?」
レイアが自分を呼ぶ茶々のそばまで来て気がついた。あれだけ遠くに見えていた影がだいぶ近くにみえたからだ。
「だいぶ近くまで来たわね。」
「はい、それによく見てください。あれ、ここまで来て気づきましたけどモンスターじゃないみたいです。」
「え? 」
そう言われ、レイアは影をじーっとよく見てみると……
「あ、ホントだ。よく見たら宝箱じゃない。」
「はい、はっきりとはわかりませんが、よく見てみればシルエットが宝箱です。」
「なんだ? あれが宝箱なのか?」
今まで文句を言っていたウルも様子が気になり、二人のところまで近づいてきていた。
「そうみたいね。でも、だとしたらボスモンスターは、どこにいるのかしら?」
「確かにそうですね?」
メンバーは改めて空洞内を見渡してみるが、モンスターの影らしきものは一切なく、ただ暗闇がある部分と自分たちのいる暗闇に包まれていない部分があるだけだった。




