第8話 獣耳の少女
俺が返り血の付いた鎧を見て項垂れてる所に獣耳少女が近づき話しかけてきた。
「危ない所をありがとうございます、助かりました。」
「ああ、大変だったね。大丈夫?怪我はない?って傷だらけじゃないか。」
獣耳少女の服は所々破けてボロボロになっており、更にあちこち傷だらけで少し出血もしていた。
俺は思い出したように鞄からHPポーション(小)を取り出すと、獣耳少女に飲むようにと差し出した。
「これは!!HPポーションですか?こんな貴重な物貰えないですよ。」
「いいから飲みなさい。」
「でも・・・やっぱり受け取れませんよ。」
頑なに受け取ろうとしないので、多少荒っぽかったがHPポーションの瓶を開封して獣耳少女の口に突っ込んで無理矢理飲ませた。
「ゴホッゴホッゴホッ!」
少々咽せさせてしまったが、HPポーションの効果はすぐに表れ少女の傷は完全に回復していた。
とりあえず傷も癒えて安心したので、獣耳少女にどうしてモンスターに襲われていたのか尋ねてみた。
本当は聞きたい事が山程あるのだが、いきなり突拍子もない事を聞いたりして不信感を抱かれないか心配なので我慢した。
それに俺が異世界人だと知られた場合、どういう反応をされるのか分からないからという事もある。
「俺の名前は亮助。君の名前はなんて言うんだい?歳は?」
「あっ、はい、貴重な薬をありがとうございます。名前はあんずです。歳は13です。」
「なんでジャイアントバットに襲われてたの?」
「実は食べ物を探そうとあそこに見える村から出かけてきたんですけど、中々見つからなくって。その時この岩山から食べ物の匂いがしたので登り始めたら、運悪くジャイアントバットに襲われたんです。」
「食べ物の匂い?あっもしかしてこれかい?」
俺は鞄から携帯食料を取り出してあんずに見せた。
「そそそそ、それです。じゅるるるる~~~。」
あんずが取り出した携帯食料を見て、ものすごいヨダレを垂らし欲しそうにしている。
やれやれと思いつつも携帯食料と無限水袋を渡すと、あんずはそれをあっという間に食べ終えた。
しかし全然足りなそうなので携帯食料をもう4つ渡した。流石に5食分食べれば満たされるだろう。
それにしてもあんな遠くから俺が食べていた携帯食料の匂いが分かるなんてすごい嗅覚だな。獣耳が付いてる事と関係あるのかな?
あんずが携帯食料を食べてる間、【解析】でステータスを覘いてみた。
【ステータス】
名前:あんず 性別:女 年齢:13
種族:半犬人族 職業:なし
装備
右手:なし
左手:なし
体:布の服
頭:なし
腕:なし
足:なし
その他1:なし
その他2:なし
その他3:なし
HP 55/55
MP 0/0
腕力 8
耐久 7
体力 9
敏捷 12
魔力 1
知力 2
魅力 9
器用 9
幸運 3
下級技能
【超嗅覚】【超聴覚】
中級技能
なし
上級技能
なし
固有技能
なし
称号
なし
【超嗅覚】鋭い嗅覚で遠くの臭いを感知する。
【超聴覚】敏感な聴覚で遠くの音を感知する。
成程、犬だから鼻が利くって事か。
パラメータは全体的に俺より少し低いくらいだけど、俺はこの子より強いって事なのだろうか。もっと情報が必要だな。
ところで半犬人族って何なんだろうな。何かとのハーフって事か?
ステータスを閉じて、まだ携帯食料を食べているあんずを見る。
先ほどまで気にならなかったのだが、よく見るとあんずは歳の割にかなりとんでもないプロポーションをしている。
背丈は150センチ程でスラッとしているのに出ている所はちゃんと出ている。
胸はおそらくD~Eカップはある。巨乳だ。しかもこの世界にブラジャーはないのか、ノーブラだ。装備は布の服だが下はズボンでなく膝丈のスカートだ。たまに見え隠れする太股が何とも色めかしい。
プロポーションも素晴らしいが、ハッキリ言って顔も可愛い。髪は栗色でボブカット、その上に耳が出ている。俺基準だが美少女である。
ステータスでも確認したが13歳だった。この世界の体の成長はどうなんてるだ?食生活か?種族の関係か?
そんな事考えていたら急に恥ずかしくなってきた。何だかドキドキしてしまう。
いや、あんずは20歳年下だからね。欲情なんてしませんよ。何度も言うがロリコンでもありません。
そう思いつつも無意識の内に心の中で元の世界にいる嫁に謝っていた俺なのであった。