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異世界アラサー転移者の冒険  作者: モッチ~
第4章 迷宮都市ガリアム編
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第61話 斧の破壊力

迷宮に到着し、早速ヘレンに手続きをしてもらう。


「亮助様にはまだ説明してませんでしたが、ガイドを雇いませんか?」

「ガイド?」

「迷宮の案内兼荷物持ちの事です。残念ながら戦闘は出来ませんけど。」


ヘレンが説明してると人族や亜人ら数人の子供達が受付の所に集まってきた。


「子供なのか?」

「ええ、スラム出身の子達です。以前から街はスラムをどうにか出来ないかと考えているんです。対策として子供達に職を与えようという事です。ちゃんと迷宮での訓練も積んでいます、いかがでしょうか?」

「う~ん、でも戦えないんじゃあなぁ。」

「一応モンスターに襲われた時の対処も学んでおりますよ。」

「ちなみにいくらだ?」

「1日単位の料金となっていて、1日銅貨1枚です。」


ヘレンも仕事に一生懸命なのは分かるのだが、こちらにもそんな人を雇うような余裕はない。

今の全財産は金貨16枚と少々だ。屋敷を金貨5枚で買うとして残りは金貨11枚と少々になる。その残りがこの世界で暮らしていくのに余裕があるのかどうか考えたら多分ないだろう。かけるべき所にはお金をかけて、無駄な事には使わない。そして出来る限り稼ぐ、これがベストな選択だ。

ヘレンには悪いが、ここは丁寧に断っておく。


「左様ですか、無理にお願いしたみたいになってしまって申し訳ありません。お気を付けて行ってらっしゃいませ。」


ヘレンに見送られ迷宮への階段を下っていく。



ズドォーーーーン!!

何か重い物を勢いよく落としたような低めの轟音が鳴り響いた。

轟音の原因はあんずの装備している重力の戦斧だ。

迷宮を進んでいたらコボルトLv.1が現れたので試しにあんずに斧を使わせた。

あんずは勢いよく斧を振りかぶってコボルトに斬りつけた。いや叩きつけたって方が表現は合ってるかもしれない。

そしてあの轟音。

コボルトは一撃だった。一撃でペシャンコだった。

地面は軽くえぐれて凹んでいる。


「やりすぎだろ、あんず。」

「えへへ、少し力み過ぎたかも。」


呆れつつも、とりあえずコボルトのドロップアイテムであるコボルトの短剣を拾う。

今までもそうだったがどんな状態になってもドロップアイテムは必ず残るようだ。


「次から弱いモンスターには加減するんだぞ。」

「はーい!」


分かったのか分かってないのかあんずの適当そうな返事が返ってきた。


「あっ、こっちだ!」

「すごい音だったわね。」

「見ろよ、あの子がやったみたいだぜ!」


周りを見るといつの間にか他の冒険者が何人か集まってきていた。

やばい、こんな事で顔が広く知られるのは御免だ。


「ナナ、あんず、次に進むぞ!急げ!」


俺達は逃げるようにして迷宮の奥へ進んでいった。

迷宮1階層のまだ俺達が行ってない部分の攻略を進める。

遭遇したモンスターが1体の場合はナナに任せ、俺とあんずが補助。2体以上の場合は俺とあんずも直接戦う。

あんずには再度先程のような事がないように注意しておいた。

遭遇するモンスターはゴブリンやコボルト、ジャイアントアントが中心だが、昨日とは違ってジャイアントバットにも遭遇した。更にキラーラビットという鋭い牙を持ち、素早い動きの青い目をした大きなウサギのモンスターにも遭遇した。

1階層のため遭遇するのは全てLv.1だが斧で戦うあんずに対して素早い動きのキラーラビットは相性が悪いようだ。攻撃が当たりづらいのであんずが珍しくイライラしている。

キラーラビットは俺がファイアボール、ナナが剣で始末した。


「あんずだって魔法使えるんだから使えばいいんだよ。」

「今までまさか自分が魔法使えるようになるなんて思ってもなかったからまだ慣れたいんだよ。咄嗟に魔法を使うって選択肢が頭に浮かばない。」

「亮助様、私もそうです。」

「そうか、2人共次第に慣れてくれればいいよ。」


斯く言う俺もまだまだ慣れたと言えるもんでもない。

馬鹿の一つ覚えのように通常攻撃か魔法攻撃を行い続けている。通常攻撃と魔法攻撃が使えれば十分じゃないかと思われそうだが、何か満足できていない。うまく言えないけど、もっと流れるような戦い方ができたらいいなってのが理想だ。

その時だった。


チロリ~ン♪

○上級技能【技能補助】を取得しました。

○固有技能【技能取得補助】を取得しました。


上級技能【技能補助】様々な状況にて最適な技能の使用を補助・提案する。

固有技能【技能取得補助】【技能付与】にて奴隷に付与した技能を経験を積ませる事によって取得させる事ができる。


毎度毎度都合よくこうも簡単に技能を取得って・・・

ずっと行動を誰かに監視されてるんじゃないかと思ってしまう。

まさか勇者大吾が言ってた女神とやらが俺の事を監視してるんじゃないだろうな。

技能くれるのはありがたいが、直接会って一度引っ叩いてやりたい気分だ。

まぁしかし、今そんな事考えても仕方ない。何にせよ技能の取得はメリットになるから変な考えを持つのはやめとこう。


迷宮散策を続ける。

あんずが【魔力操作】に慣れてきたようで、モンスターを仕留める際に地面をえぐる事が無くなってきた。ゴブリンやコボルト程度なら首をはねたり、真っ二つにしたりして見事に一撃で仕留める。

俺の方はというと、【技能補助】を使って戦いに参加していた。【技能補助】という技能は頭の中に指示のような物が聞こえてくる。例えば、モンスターとの戦闘の際にどうすれば効率良く動けるのかAIのような声が聞こえてくるのだ。

とは言ったものの現在遭遇するモンスターは弱いせいか、あんずが戦ってるのに対して、


(魔法での補助を提案します。)


そう頭の中に聞こえてくるだけだ。

なんか役に立ってるか微妙だが、この先もっと真価を発揮してくれると思いたい。

そうして進んでる内に俺達は2階への階段を発見した。


「ようやく階段を見つけたな。ナナ、時間は大丈夫か?」

「はい、まだ余裕がありますから進んでも問題ないと思います。」


1階も2階も出現するモンスターのレベルは同じはずだから余裕だろう。

このまま2階も探索する事にした。

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