第60話 ナナとの行為と幽霊騒ぎ
風呂から上がり服を着た後、3階の大きなベッドが置かれていた部屋に移動した。
風呂では何も起こらなかった。いや、起こらなかったわけじゃないが。
2人から「お背中流します。」と言われ体の隅々まで洗われた。とっても恥ずかしかったよ。
ただ、「洗いっこしましょう。」じゃなくて良かった。そんな事になったら理性が飛びかねないからだ。
何とか理性を保ち、反応もせず無事にやり過ごした感じだ。
この後は就寝となるのだが・・・・そう、ナナを抱かなくてはならないのだ。
部屋に入ると大きなベッドには昼間ナナが買ってきたであろう布団が既にセットされていた。
先にベッドへナナが上がる。そしてお約束っぽい誘いの一言。
「亮助様、優しくしてくださいね。」
続いて俺もベッドに上がる。
更にあんずもベッドに上がる。
ん?え?えーーーーー!!
「ちょっちょっと待て!あんず、何でお前もいるんだ!?」
「何って一緒に寝る為だよ。」
「この後何が起こるのか分かってるのか?」
「分かってますよ。私の事は気にしないで。」
気にするわ!ってか分かってるんかい!
もしこのまま始めて13歳の子供を含めた複数プレイなんて事になったらシャレにならない。
ここは親であるナナに説得させて、他の部屋に行ってもらおう。
「ナナ、流石にまずいだろ。あんずを他の部屋に行かせてくれ。」
「亮助様、気にされなくても結構ですよ。」
「え?」
「あんずにはそろそろこういう事を教えなくてはと思っていました。丁度いい機会ですから見ていてもらいましょう。」
嘘だろ?嘘だと言ってほしい。
あんずはまだ13歳の子供だよ。そういう知識に興味を持ったりするのはいいとしても、親の行為を見せて教えるって・・・この世界では当たり前に事なのか?
もしかしてナナは見られて興奮するとかそういう性癖があるのか?俺にはないぞ!
「ナナ、残念だけどあんずに見られたままじゃ君を抱けな・・・おわっ!むぐっ!」
話してる途中でナナに押し倒されてキスされた。
しかも今までと違いただのキスではない。ベロチュウだ。
舌を入れられこねくりまわされる。俺の理性はそこで吹っ飛んだ。
ナナの服を脱がし、行為に及ぶ。あんずがばっちり見ているのにもう気にならなかった。
激しく動いてるせいかお互いに汗をかく。しかしその汗のにおいがいやらしさを増幅させる。
程なくして行為が終了した。
「すごく良かったです。」
そうナナは言ってくれたがまだ満足してなさそうに見えた。
自分の精力が20代の頃より低下しているのは実感していたが、いざその場面に直面するとショックだった。
この世界ではレベルアップすればステータスが上がるのだから体力の上昇に伴い勢力も上昇してくれないだろうか。
冷静になってくるとあんずに見られてた恥ずかしさが込み上げてきて、何処か穴にでも入りたい気分になった。
その後、3人で風呂に入り直してからベッドに川の字に寝たのだった。
就寝後暫くして・・・
誰かが俺に話しかけてくる。あの夢だ。
・・・っているぞ・・・待っているぞ・・・
・・・来い・・・早く・・・・・・・・界へ・・・
目が覚めた。またあの夢だった。知らない男が俺に話しかけてくる。
今回は冷静になれたのだが、肝心な部分が聞き取れなかった。
ガリアムに来てから2度目の同じ様な夢、俺の事を何処かで待っている知らない男、行方不明の元家主、そしてこの屋敷の開かない部屋。もしかして夢に出てくる男はアイゼンシュタッドで何らかの理由で俺を待っているのではないかと考えた。まぁでも俺の事を待ってる理由が分からないし、そもそもアイゼンシュタッドは知り合いでも何でもない。全て推測にすぎない。
俺は水でも飲もうかと体を起こした。その時・・・目の前に青白い人影が立っていた。
「うわぁぁぁーーーーー!!!」
俺の叫び声でナナとあんずが飛び起きる。
「どうしました?亮助様!」
「あっ、あれだよ。」
俺が青白い人影を指差すとそれは部屋の扉の方へ移動してスゥゥーーーッとゆっくり消えていった。
「2人とも見たか?」
「はい。」
「見えたよ。」
「あれは何だ?幽霊か?モンスターか?」
「モンスター・・・ではないと思います。あのようなモンスターは見た事がないので。」
とうとう起こってしまった幽霊騒ぎ。
ちょっと影が・・・とかそういうレベルじゃない。完全に人影、モロな奴だ。
昔からこういうの怖かったけど、いざ実際に見たらもっと怖い。
ナナとあんずは平気そうにしている。慣れてるのか?
もう人影は消えてしまったのだからとにかく落ち着かなくては。【平常心】は常に発動しているので落ち着きは割とすぐに取り戻せる。
驚かなくなる技能とかあればいいんだけどな。【恐怖耐性】とかあるならば取得したい。
あんずがベッドから降りて窓際へ向かう。カーテンを勢いよく開けると外が明るくなり始めていた。いつの間にか夜明けだ。
屋敷に住み始めて2回目の夜が明けた。モーリスとの契約までそんなに時間がない。
このまま契約はやめた方がいいのか?解決できずとも契約した方がいいのか?運よく解決できるのか?
一体どうなる事やら。
変な夢だの幽霊騒ぎだの慌ただしかったが、気持ちを切り替えて着替える。
万が一この屋敷を諦める事になった場合、他はこの屋敷より高いため金が必要だ。
とにかく迷宮へ行って稼がなくてはいけない。幽霊騒ぎも気になるところだが、これ以上調べる術はないものか。
「ナナ、あんず、あの人影について調べる術はないだろうか?」
「う~ん、あのようなものは初めて見ますので・・・」
「じゃあ、あれはどうだ?あんずの【魔気感知】で分からないか?モンスターじゃないとダメか?」
「やってみる。」
あんずが何やらブツブツ言いながら人影が通った場所を調べ始めた。
「少しだけど魔気を感じる。」
「本当か?」
「でも時間が経ってるから部屋の扉の所から先は消えちゃって分からない。」
「まだそんなに時間経ってないだろ?」
人影を見てからまだ1時間位しか経っていない。どういう事なのか?
「亮助様、魔気は割とすぐに散って消えてしまいますよ。」
「そうなのか?」
「魔気に限らず、聖気等もそうです。アポ村南の森やこの街の迷宮のように魔気が溜まりやすかったり集まりやすい場所なら別ですが。」
「つまり今いるこの屋敷は魔気が発生しても溜まりにくいから短時間で散って消えてしまうと?」
「そういう事です。」
それならばこういうのはどうだ?
次に人影が現れたらすぐさまあんずに【魔気感知】で調べさせればいい。そのまま人影が移動して消えても何処に行ったか分かるはずだ。
「それはやってみる価値あると思います。」
ナナもその案に賛成のようだ。
「じゃあそういう事で、昼間は3人一緒に迷宮で稼ごう!」
「かしこまりました。」
「楽しみー!」
あんずは斧を実戦で使えるのがうれしいらしい。
ナナもあんずも戦闘センスは抜群だ。稼ぎは期待できるだろう。
俺達は準備をして迷宮へと向かった。




